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元アナウンサーとして、マスコミ業界の裏側を伝えます。洋楽番組を担当したので非常に洋楽にも詳しいので、そのあたりもバッサリ斬ります。イギリス留学経験の楽しい話も!

マクドナルドの凋落に歯止めはかかるのか?

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マクドナルドの8月の来客数と売り上げが発表され、売上高がおよそ25%減になった。惨憺たる業績と言っていい。

 

ここまで落ち込んだ原因はなんなのだろうか。考えてみた。

あえて、中国製チキンナゲットの影響以外の理由を挙げてみたい。

 

①    商品の差別化の失敗

日本のハンバーガーチェーンを店舗数順にあげてみると、マクドナルド、モスバーガー、ロッテリア、バーガーキング、フレッシュネスバーガーなど。

眼下の敵であるモスバーガーとの戦いに、完全に敗れたという印象が強い。理由としては、モスバーガーが注文を受けてから作るのに対して、マクドナルドは確かに注文を受けてから完成させるが、パティとバンズは出来たてではない。

ロッテリア、バーガーキング、フレッシュネスバーガーも、「味」に付加価値を出している。

値段を考えてみても、お得感がまるでないのだ。モスバーガーの看板商品である、その名もモスバーガーは、340円。お肉も分厚く、焼き立てだからジューシーこの上ない。しかし、マクドナルドはどうだろう。ビッグマックは好きだが、所詮薄い肉が二枚入っているだけなので、満足感が少ない。トッピングされる野菜にしても、モスバーガーは新鮮そうな一枚で包んである感じだが、マクドナルドは千切りである。写真通りとは程遠い。また、これはハンバーガーではないが、サンドウィッチのサブウェイは、野菜多めなどカスタムオーダーができる。日本男子が野菜多めが好きなのは、ラーメン二郎がいかに流行っているかでわかるでしょう。(笑)

マクドナルドは現在期間限定で「月見バーガー」を出しているが、これはファーストキッチンのベーコンエッグバーガーのパクリなのは周知の事実。値段も「本家」ファーストキッチンの310を比較しても高い。

オリジナリティに欠ける割に、高いというイメージが定着してしまった。

 

②    値段の差別化の失敗

①    にも関係することだが、総じて値段が高い。ワールドカップ期間中に販売されたフランスバーガー等は499円。バーガーキングでは肉厚のワッパーが食べられる計算だ。100円マックはハンバーガーとチキンクリスプだけ。しかもチキンクリスプは中国鶏肉事件の影響を受けている。筆者も以前はチキンクリスプを食べていたが、食指がでない。499円ならば、他のファーストフードなら、牛丼にしてもセットで大盛りが食べられる値段設定。これでは消費者を引き付けるのは難しい。

③    ワールドカップ日本代表惨敗の余波

ご存じのとおり、ザックジャパンは予選リーグで惨敗。ワールドカップの特需を期待していたマクドナルドにとっては肩透かしの結果だった。

これまでもオリンピックやワールドカップでグラスプレゼントなどのキャンペーンを行ってきたマクドナルドとしては、期待外れ以外の何物でもない。
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④    全面禁煙の余波

あながち無視できないのが、全店舗禁煙の影響だ。筆者は喫煙者であり愛煙家団体の事務局長なので、偏った意見なのかもしれないが、喫煙室も撤去し、全面禁煙してしまったら、喫煙者はただでさえ喫煙場所が少なく喫茶店がよりどころなわけで、当然足が遠のく。喫煙率は下がったとはいえ、まだ2割あるのだ。その半分が行かなくなってしまえば10%の来客数、及びそれに比例した売り上げのダウンとなってしまう。喫煙者にとって、たばこが吸えず、食事としても鶏肉事件があったものを敢えて食べに行くというモチベーションは、ない。

⑤    嗜好の多様化

かつてモスクワにマクドナルドのロシア第一号店ができたとき、長蛇の列を見て驚いた方も多いだろう。日本にしても、ファーストフードがマクドナルドしかないような時代があった。しかし、今やハンバーガーチェーン以外にも牛丼、カフェ飯、こだわりのラーメン、ひいては100円均一の回転ずしもライバルになっている。敢えてマクドナルドに行く必要がなくなってしまったのだ。

⑥    顧客軽視の経営戦略

2年ほど前マクドナルドは、2つの失敗をしている。1つは地域別の値段設定。これで定価がわからなくなった。都心は高く、地方は安い。ごもっともな話だが、消費者にとっては混乱以外の何物でもなかった。もう一つは、メニュー表をレジから撤去したこと。

これに関しては、わかりにくいとの声が殺到し、結局元に戻す羽目になっている。

 

以上のように、不運な事件の余波があったにせよ、消費者がマクドナルドから離れてきているのは事実。25%の売り上げ減など、下手をすれば経営陣が総退陣してもおかしくない。しかしこれまでファーストフード業界を引っ張ってきたマクドナルド。起死回生の一手に期待したいものだ。

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