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目の前にいる相手の気持ちに寄り添おう─人の話を聴いていますか?(1)

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人の話を聴くのはむずかしい。特にむずかしいのは、どんな言葉で応答するかだ。聞き手の応答のしかたによって、話し手の気持ちは大きく変化する。聞き手がうまく応答できれば話し手の気持ちは癒され、まずい応答をすれば話し手は不愉快になる。では、悩みを打ち明ける話し手に対して、聞き手はどのような言葉を投げればよいだろうか。「人の話を聴いていますか?」の第1回目。(第1回~第6回の記事は下記をご覧ください)

(1) 目の前にいる相手の気持ちに寄り添おう
(2) 「質問の名を借りた命令」が相手を追い詰める
(3) 自分の経験から決めつけてはいけない
(4) 問題を解決してはいけない
(5) 相手を客観的に評価してはいけない
(6) 自分の話をしてはいけない

相手の話に巻き込まれてしまう

下記の応答例を見てみよう。

相談者「上司や同僚との関係がギスギスして嫌なんです」

聞き手「上司の方もツラい立場なんでしょうね」

聞き手は、悩みを打ち明ける相談者の気持ちに反応すべきだが、上司の気持ちに反応してしまっている。相談者の話を聞いた時、聞き手の頭にはギスギスした職場で困惑している上司の映像が浮かんだのかもしれない。その映像から、気持ちに共感したのが相談者ではなく上司の方だったのだろう。聞き手自身、日頃はその上司の立場に近い悩みを抱えていて、自分自身と上司を重ね合わせてしまった。だから聞き手は上司の気持ちに反応してしまったのだ。

話し手の気持ちに寄り添おう

しかし、このような応答では相談者は突き放されたという気持ちになってしまう。悩んでいるのは相談者だ。相談者が「上司や同僚との関係」を「嫌」だと感じているのだ。聞き手には「嫌」だという気持ちに反応してほしいのだ。

相談者「上司や同僚との関係がギスギスして嫌なんです」

聞き手「ギスギスして嫌なんですね」

この応答であれば、相談者の気持ちにしっかり寄り添うことができている。職場の人間関係に苦しむ相談者の気持ちを表現した言葉になっているので、相談者は共感してもらえたと感じることができ、気分よく話し続けられようになる。

聞き手は話し手の気持ちに寄り添わなければならない。話を聞くうちに、自分の注意が話し手以外に向いてしまうと、話し手の気持ちからどんどん遠ざかってしまう。そのようにならないよう、話し手の気持ちに注意を向けるようにしよう。

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