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相手の話を聞くとよい人間関係を築ける ──傾聴は相手の承認欲求を満たす

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エンジニアは人の話を聞かない

エンジニアの中には人の話を最後まで聞けない人がいる。人が説明をしているのに、「いや違う」と言って話を遮る場面をよく見かける。本人は決して悪気はないのだろう。でも結果として相手の気分を害してしまうので、もったいない。

システムエンジニアには正否を判断する能力が求められる。わたしたちは議論をしたり、文書を作成したりするが、最終的にはプログラムに落とし込まれるため、あいまいな判断というものが許されない。特定の条件においてどのような判断をするかイエスかノーかをはっきりしなければならない。そのため人間同士のコミュニケーションにおいても正否を判断する感覚が敏感になってしまう。相手が誤った意見を述べようものなら、「いや違う」と遮ってしまう。

また十分に説明する能力というものも求められる。やはりわたしたちの仕事は最終的にプログラムに落とし込まれるため、どのような内容なのか、どれだけ複雑な仕様なのか、どのようなことに気をつけなければならないのかを理解してもらわなければならない。そのため簡単な説明で済ますことが、手を抜いたように感じてしまう。そのため簡単な説明表現に満足できず、隅から隅まで丁寧に説明をしたくなってしまう。相手が聞きたくなくても、時間をかけて詳しく説明をしてしまう。

いずれにしても誤った認識を正す、説明を十分にするというわたしたちなりの誠意ではあるのだが、これが相手を不愉快にしてしまうことがあるのだ。

聞けばよい人間関係を築ける

ある打ち合わせで、わたしは間違った内容を発言したことがあった。話をしていた相手の方はわたしが間違っていることを理解した上で、途中で遮ることなく最後まで聞き続けてくれた。そして聞き終わってから、「そうですよね。わたしもはじめはその認識だったんです。いろいろと確認したところそれが間違いだってことがわかったのです」と言ってくれた。

もし間違いに気づいた時点で話を遮り、「それは違う」と指摘されたら、わたしは自分の過ちを恥じて、いたたまれない気持ちになっただろう。また「違う」と言われることで、"問答無用で切って捨てられた"感覚を引きずってしまったにちがいない。

しかし、最後までわたしの意見を聞いた上で、否定ではなく肯定する部分(「そうですよね」の部分)から話をしてくれた。そのおかげでわたし自身の意見は間違いであるが、間違ってしまうのもしかたがないと肯定された気持ちになることができた。

わたしたちが人と対話をするときは、プログラム的な思考から離れ、相手を気遣う思考を持つことが必要なのだと思う。

話を聞くことの重要性がわかるオススメの本

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