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「国進民退」の宴ー世界企業500社番付で中国企業数が初めて日本抜く

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 先日、米経済誌フォーチュンが発表した2012年版世界企業500社番付で、首位のアメリカ(132社)に次ぎ、中国大陸(73社)が初めて日本(68社)を抜いて2位に浮上した。企業別ランキングのベスト10では、5位の中国石油化工集団公司(シノペック)をはじめ、中国石油天然気集団公司が6位、国家電綱公司が7位にそれぞれランクインした。

 このニュースを中国のマスコミでも日本のマスコミでも大きく取り上げられた。一見、中国経済の高成長を続けるように見えるが、中身をよく分析すると中国経済の「国進民退」(国有企業のシェア拡大、民営企業のシェアが縮小)の実態が浮かんでくる。

 ランクインした73社の中、68社の国有企業に対して、民営企業はただの5社しかない。しかも68社国有企業の業種を調べてみると、ほとんど資源やエネルギー、航空、金融などの独占業種である。

 2008-2009年の世界的な金融危機時に、景気を回復させるため、中国政府が4兆元の財政出動を実施した。大規模な景気刺激策による公共投資は鉄道、道路、空港のようなインフラ投資に集中しているが、これらはほぼ国有企業によって独占されている分野である。金融政策の緩和と株式市場の高騰とが相まって、国有企業の資金調達は民営企業より断然容易であった。

 また、国有企業が経営困難に陥った場合、政府からの資金援助、政策援助を受けることができるため、政府の強力なバックアップで国有企業のV字回復を果たした。国有企業が景気対策の恩恵を独り占めたと言っても過言ではないだろう。

 一方、民営企業の生存環境はますます厳しくなった。

 ユーロ圏の債務危機の影響で中国企業の輸出にも打撃が大きかった。2011年の輸出額が前年比20.3%増の1兆8986億ドル(約146兆円)に達したが伸び率の鈍化が著しかった。(2010年の伸び率が30%超えていた)

 2010年末、浙江省110万社民営企業の中、銀行から融資受けたのはただの10万社すぎなかった。9割以上の民営企業は事実上での自生自滅の状態になった。政策支援、銀行融資を得られない民営企業(特に製造業に従事する企業)の多くはやむを得なく民間の地下金融に走ってしまった。

 しかし、賃金の値上げ、原材料の高騰による利益率が極めて低い民営企業にとって、高利の民間地下金融は「諸刃の剣」だった。高金利の借金を返済できなくて失踪、自殺する経営者まで出てきた。一時、経営者「跑路」(夜逃げ)のニュースは中国各地で話題になった。

 世界トップ500に食い込んだ中国国有企業は殆んど政府に過保護されている。
 果たして「国進民退」の宴を享受している温室育ちの国有企業は、海外に出て世界一流の企業と戦う実力が本当にあるのか?
 私はひたすら疑問を感じた。

 
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