Cathedral Break in Action:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) Cathedral Break in Action

エンタープライズ(企業)向けのオープンソースとか育児とかについて考えていきます。

すこし前になりますが、LCA日本フォーラムとCFP日本フォーラム共催セミナーが協賛する「LCA/CFPセミナー」 を聞いてきました。「CFP/CO2見える化」企業事例と報告として、企業の方々の取り組みの報告があり、次に工業会の方がLCAの事例を発表するような形でした。

事例についてはそれぞれに苦労があることが分かりなかなか面白かったのですが、LCAのソフトウェアを開発する側として興味があったのは、やはりフリーディスカッションとして、工学院大学稲葉教授が議題に挙げられた未来のLCAについてです。

ある製品があったとします。LCAというのはその製品のライフサイクル全体で、どれくらい環境に影響を与えるかを測る仕組みですが、その製品を構成するすべての要素(たとえば、製品に含まれる部品や塗装、あるいは輸送時の負荷などあらゆるものです)をひとつの企業が調べることはほとんど無理です。それぞれの部品については、それぞれの部品を作っているところが調査し、それを足し合わせていくことが必要になります。この個々の部品や、製品のLCA結果をどんどんデータベース化していき、別のひとが使えるようにしていこうということです。これまでは、それを取り纏める機関を通じて、地道にメンテナンスしてきました。

で、未来のLCAでは、ネットワークに繋がった大データベースにそれぞれメーカーが自分でLCA結果を放り込んでいく流れになるかどうか、というのが議題です。LCAのデータというのは微妙な問題を含んでいて、ある程度細かい情報まで出してしまうと企業秘密などに抵触する可能性が出てきたり、一部の数値の過多で判断される危険性もあります。あらゆる企業が素直にデータを出してくれることはないだろう、ということはこれまでも議論があり、この日も同様の懸念が出されました。

ただ、いっぽうでアメリカなどで小売・流通大手が、排出量の情報を付けないサプライヤーとは取引をしない、などという話もあり、いやおうなしにデータの流通が促されている事情もあるようです。

開発者からすると、ここで思い浮かぶのはやはりGoogleでしょう。GoogleというのはWebに公開されているあらゆる情報を検索できるようにする大データベースを作ったわけですが、いまやそれだけでは止まらず、地図や書籍など、それ以外のジャンルにも進出しているのはよく知られているとおりです。そのため、日本でのこれまでの常識と衝突するケースがいくつかありました(ストリートビューのプライバシーの件もそうでしょうし、Google Booksなんかもそうです)。ただ、やはり大きな力を持ったところが、一気に情報を半強制的に公開していくような流れ(Amazonにも近い印象がありますよね)に、ただ抵抗するのは難しいのではないかとも思えます。

出したくないと手をこまねいている間に大手に押しつぶされてしまっては意味がありません。ここはむしろ、日本ではこういうところが諸外国と違って企業文化の中で大切にされているのだ、ということをちゃんと明らかにし、その上で出来るところを公開していくような仕組みを先に作っていった方が良いのではないかという気もしています。いち開発者として今後の流れがどうなるかを注目していきたいと思います。

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杉本 琢磨

杉本 琢磨

(株)イージフのITアーキテクト。企業向けオープンソースアプリを担当。双子の父親業兼務。

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