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元・外資系ハードウェアメーカー・マーコム担当の、人生のお休み徒然日記。

紙ベースの製品総合カタログは、果たして"必須"営業ツールなの?

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グローバリゼーションの嵐が吹き荒れるなか、真っ先に本社や他国にいる上司から疑問を投げかけられたのは、「日本の、印刷物の多さ」です。
製品総合カタログ、製品スペックシート(仕様書)、導入ガイド、ホワイトペーパー、導入事例に記事広告(タイアップ等)の抜き刷り・・・これらの印刷物で、倉庫は溢れんばかり。

『いちいち印刷するなんて、エコじゃない!ダウンロードさせなさいよ、Webから!』

CO2排出第一位の国(本社の上司)と第二位の国(直属の上司)に言われてしまいました。
言われなくても重々承知、いつか無くしたかったのですが、改めて言われると耳が痛い。
だいいち、エコ以前に、改訂があったら前のバージョンの在庫を捨てるという行為が勿体無いと、個人的にずっと気になっていたのです。

そこで、考えてみました、いかに印刷物が無駄か、という点について。

1 :改定するたびに在庫を捨てている。
             印刷部数を減らしても、同じ。 つまり殆ど捌けないものが多数。

2 :印刷そのものがエコでない。
             グリーンITの一環、ともいえるかもしれません。

3 :製品の入れ替わりが激しく、改定作業が困難。
             昨今の人員削減で、製品マーケティング担当者のリソースはパツパツ・・・
             販売終了した製品がまだ載っている古いカタログが配られているというのが現状。

4 :予算削減により、印刷やDTP費用の捻出が難しくなった
             予算だけでなく、人的リソースも不況の折、ほぼゼロ。

そんな折、日本独自で作っていた総合カタログは、真っ先に予算から外された上、グローバルでテンプレートが存在しないものは、作成出来ない決まりになったので、これを機にと、「総合カタログは今後、新規作成の目処はありません」と諸々事由も添えて営業部署に連絡しました。

やれやれ、倉庫も少し余裕が出来るかも、と思っていたのですが・・・

来てしまいました。
営業から、クレーム。

反発が来ることは予想していましたが、理由を聞いて、驚きました。

なんと、

「総合カタログがないと、営業が出来ない!」

・・・・・。

少なくとも営業時代、総合カタログに頼った記憶がない私にとって、衝撃的な意見です。

総合カタログに頼らないと製品が売れないなんて、顧客の課題と解決策を理解していない、ヒアリングも出来ていないということ、なのでは・・・?
「こちらを置いておきますので、どうぞご自身でお探しください。」
って、ファーストフードじゃないんですから。
それじゃ、ハードウェアメーカーの営業として、情けない・・・製品が売れなくて当たり前、提案力がないと自分で言っているようなものです。

印刷物は、あったほうがいいに決まっていますが、所詮「あったほうがいい」レベルでしかないし、こんな不況で印刷費だって削られていて、グリーン化だと騒いでいる最中、"チーム マイナス6%"に参画している企業の営業が、殆どは捨てられることを承知の分厚い印刷物を配り歩くという矛盾を、どう説明するのでしょうか?

もし私が、いま営業だったら、この営業さんたちの「総合カタログが無くっちゃ!」な理由、こう解決します。

「総合カタログを印刷しないことを理由に、発注しないという顧客がいる」
いまだにいらっしゃるのでしょうか、こういうお客様?
・・・いるんでしょうね。
知る限りでは、ハードウェアメーカーはどんどん印刷物からカタログダウンロードに移行しています。

総合カタログがないと発注しないなら、ハードウェアメーカーが全社、印刷を止めたら、もうハードは買えないということでしょうか・・・うーん。

・・・閑話休題。
素朴な疑問は置いておいて。


ひとまずは、平常心で製品仕様書とシステム構成案と見積書を提出し、帰り際にちょっと弱気に、
「弊社は総合カタログがありませんので、コンペにも参加させていただけないかもしれませんが」
と付け加える、という感じでしょうか。
提案内容がしっかりしていて、価格でも競合に勝てそうであれば、カタログがないことなんて小さなことになる、はず! (甘いかな・・)

「製品仕様をまとめたものが欲しい、といわれた」
製品仕様書は全種類、印刷してあるので、それをまとめて持って行く。
そして、総合カタログがないのか、と聞かれたら、
「弊社はグリーン化の為に、総合カタログの印刷を止めました。環境への取り組みの一環です!」
と若干偉そう(笑)に営業トークに繋げる。
更に、
「御社の環境への取り組みはいかがですか? 」
と聞いてみる。
みんな、何かしらちょこっと自慢したいものなので、エコへの取り組みについて喋りはじめる方もいるかも・・・

そうしたら最後に、
「そんな風に環境に取り組んでいらっしゃるのでしたら、省電力化をキーとしてシステム構成を組み直した場合、どのくらい電力消費が抑えられるか算出してみますね!」
「弊社製品は省電力にポイントを置き、開発されているんですよ。例えば・・・」
と製品売り込みに持っていく。

ざっと、こんな感じでしょうか・・・。

※省電力にポイントを置き、開発されている
 
これは本当です。いま話題の「グリーン化」に対応したハードウェアなんです。
 と、ちょっと宣伝。

いずれにしても、印刷物が必要か、必要でないのか、という論争は、まだまだ続きそうな気がします。
私自身も(環境保護については別問題として)、全ての印刷物が不要だとは考えていませんが、もう少し色んな角度から検討が必要かな、と思っています。

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