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国内外のソーシャルメディアマーケティング動向・事例・データなどを研究し、「これから先のビジネスにソーシャルをどう活かすか?」を提案するブログ

O2O(オンラインツーオフライン)という言葉が注目されています。

O2Oという言葉自体の歴史は決して新しいものではなく、E-コマースが生まれた当初から提唱されてきた考え方であるようですが、テクノロジーやマーケティングの進化の中で、その言葉の在り方もまた、現在大きく変化してきているようです。
そこで、このたび「O2O(オンラインツーオフライン)」という言葉をキーワードとしてマーケティングブログを執筆していくにあたり、まずは今回のエントリーで、自分なりに「O2O(オンラインツーオフライン)マーケティング」という言葉の定義を考えていきたいと思います。

■そもそもO2Oとは何か?

Googleで「O2O」という言葉を検索してみると、

O2Oとは、主にEコマースの分野で用いられる用語で、オンラインとオフラインの購買活動が連携し合う、または、オンラインでの活動が実店舗などでの購買に影響を及ぼす、といった意味の用語である。~中略~ 最近では、もはや購買活動におけるオンライン、オフライン、といった区別はなくなりつつあると指摘する声もある。

出展元:IT用語辞典 http://www.sophia-it.com/content/O2O

とあり、これまでは「インターネットとリアルの連携・融合」という観点からO2Oが語られてきたことが多く、その代表例として語られてきたものが、E-コマースであり、最近ではグルーポンのようなサービスであるようです。
しかし、近年では「インターネットとリアルの連携・融合」という言葉だけではO2Oを表現しきれなくなっていることが伺えます。

Cafe_food

■O2Oマーケティングの事例紹介

これまでのO2Oといえば「リアル店舗で販売されている商品を、インターネット上で販売する」、「オンライン上で価格や評判などの情報を集めて比較検討した上で、リアル店舗で商品を購入する」といった購買行動、あるいは販売活動を指すものがほとんどでした。
しかし、近年ではテクノロジーの進歩やソーシャルメディアの普及により、オンラインとオフラインの境が薄くなったことで、O2Oという言葉がより価値を持つものとなり、注目を浴びるようになってきたと感じています。

言葉だけではイメージしにくいかと思いますので、ここでひとつの事例をご紹介させていただきます。

●事例:築地市場場外セリいちば

Photo_2

公式サイト

築地市場場外セリいちばは、インターネットユーザーが築地市場のセリ市をUSTREEMからリアルタイムで見学することができ、実際にTwitterでセリの入札に参加することができるシステムです。実際にセリに勝ったユーザーには、セリ落とした商品がその日のうちに梱包され、新鮮なうちに自宅に届けられます。

この築地市場場外セリいちばは、

"買い手に対し効率的にリーチし、条件にあった価格で販売することができる"という売り手側のメリットと、

"良質な商品を自分の価値観にあった価格で購入することができる"という買い手側のメリットが共存していた「本来のセリの価値(オフラインの価値)」に対し、

インターネット・ソーシャルメディアという「オンラインの価値」を取り入れたことで、"買い手に対するリーチを効率的に広げ、販売機会や販売単価の増大を見込む"という新たなメリットを売り手側に与えました。

一方買い手側には、"わざわざ遠く離れた現場(オフライン)に赴く必要が無いため、時間と労力を効率化できる"というメリットが与えられました。

今後このようなモデルが(築地市場のケースだけに留まらず様々なフィールドで)さらに発展することで効率化が進み、大量仕入れの実現による仕入れコストの低下などにもつなげることができれば、事業主の利益増加にも大きく貢献することが期待できるのではないかと個人的に感じています。

また、今回の築地市場場外セリいちばでは、上記のような従来のプロフェッショナルに対する価値だけでなく、USTREEMやTwitterを利用することで一般ユーザーに対するセリへの間口が広がりました。これにより、一般ユーザーに対する新たなビジネス機会を創造することに成功しました。また、それだけではなく、セリ人による名調子や、実際に商品を目にしながら他のユーザーとセリ値を競り合い、さらには実際に落札した商品を購入することができるといった「臨場感」や「スリル」を、一般ユーザーがオフラインの現場に赴かずともオンラインで体験し、共有できるといった付加価値も生み出しています。


■O2Oから生まれる新しい価値とは

この事例の成功のポイントは、これまでは現場だからこそ提供できていたセリ本来の価値(オフラインの価値)と、インターネットだからこそできる、リアルタイム性・ソーシャル性という価値(オンラインの価値)を結びつけたことで、「時間と距離を越えて築地市場のセリを開催することで、売り手側・買い手側双方のビジネスの機会を増大させる(新しい市場を創造する)」という新しい価値を生み出したことだと考えられます。
==================================================================
【オフラインの価値】
~オフラインでのセリ(従来のセリ)の価値とは~
<売り手側の価値>
・商品需要がある買い手に対し効率的にリーチすることができ、最もよい購入条件を提示した買い手に販売するために、それぞれの買い手が提示できる購入条件を競わせることができる。
<買い手側の価値>
・購買価格の決定権を自らが持つことで、良質な商品を、自分の価値観に合った価格で購入することができる。

【オンラインの価値】
~オンライン上でセリが行われることの価値とは~
<売り手側の価値>
・買い手に対するリーチを広げることで、販売機会(集客効果)と販売単価の増加が見込める
<買い手側の価値>
・現場に赴かなくともセリに参加できるため、時間と労力の効率化を図ることができる

【生み出された新しい価値】
~オンラインのセリとオフラインのセリが結びついたことで生まれた新しい価値とは~
<売り手側の価値>
・より大勢の見込み顧客に対して、最もよい購入条件を競わせることで販売機会と単価の増加の可能性が高まることで、同業者に対しての競争優位性が高まる。
<買い手側の価値>
・現場に赴く必要が無く、時間と労力の効率化が図れるため、より多くの良質な商品を、自分の価値観に合った価格で購入することができる機会が増加する。
==================================================================

Cafe_cake

■O2Oマーケティングを定義する

この事例を元にO2Oマーケティングというものを考えてみると、
O2Oマーケティングとは、オンラインとオフラインの価値を相互に提供し合あうことで、新しい価値や体験、利便性などを生み出し(あるいは既存の商品やサービスを改善・拡張させ)、強みと機会を増大させることで競争優位性を高めながら市場を創造していくことを意味するのではないかと感じています。

~筆者の思考プロセス~

Q1:オフとオンが価値を提供しあうことで何が起こるのか?
A1:新しい商品が生まれたり・既存のサービスが改善される。

Q2:新しい商品が生まれたり・既存のサービズが改善されることで何が起こるのか?
A2:自社の強みがより強くなったり、機会が広がったりする。

Q3:自社の強みや機会が増えた結果どうなるのか?
A3:他社に対する競争優位性が高まることになる。

Q4:他社に対する競争優位性が高まるということは、市場の中で自社がどのような状態になることを意味するのか。
A4:これまで価値を提供できなかった顧客に対しても、価値を提供できるチャンスが生まれる。あるいは、これまで他社に勝てなかった部分で勝てるようになる。つまりそれは、自社の新しい市場を開拓しているということ。

上記を含めた上でO2Oマーケティングを自分なりに定義してみると、

O2Oマーケティングとは自社の持つアセットをオフライン、オンライン双方の顧客に向けサービスの最大化を可能にする事でターゲットの拡大及び、競合に対し先進的なマーケティング戦略を持つ事で競争優位を構築すること

という表現にたどり着きました。
スマートフォンやタブレットを中心としたデバイスの多様化やソーシャルメディアなどに代表されるテクノロジー・マーケティングの進化により、オフラインの価値をオンライン上で実現すること、あるいはオンラインの価値をオフラインで利用することができる可能性や機会がより大きなものとなり、そこから生まれる新しい価値は、我々の暮らしをより便利に、豊かに、楽しいものにしていくのではないでしょうか。

次回のエントリーより、自社の持つアセットをオフライン、オンライン双方の顧客に向けサービスの最大化を可能にする事でターゲットの拡大及び、競合に対し先進的なマーケティング戦略を持つ事で競争優位を構築したマーケティングの事例という軸をもとに、様々なトピックを取り上げ、皆さんと一緒に、これからのマーケティングを考えて行きたいと思います。

・Twitterアカウント(@T_Kiyoyuki):http://twitter.com/t_kiyoyuki
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Kiyoyuki Tanaka

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田中 清之

株式会社サニーサイドアップ.所属

主にインタラクティブコミュニケーション(AD・PR・SNS・Techなど)領域を専門にお仕事をしています。
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