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「今の日本にムハマド・ユヌス氏が伝える生き方とソーシャルビジネスの可能性」について改めて考えさせられた終戦記念日

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Business people standing with hands together

昨日8月15日は66回目の終戦記念日。1945年8月15日は敗戦後の復興の起点となった日です。戦後の廃虚から立ち上がった経験を持つ日本で、これからもう一度、震災の被災地そして日本経済全体を力強く再生させると誓った方が大勢いたこと、ソーシャルメディアを通じて目にすることができました。お盆休み中だった方も多いでしょうが、身が引き締まる想いだったと思いますし、僕自身も考えることが多い1日になりました。

さて、そんな日に思い出したのは、先月20日に参加したイベント「ノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏来日記念シンポジウム」についてです。レポート記事を書こうと思いつつずっと書けていなかったのですが、昨晩眠りにつく際に枕元で様々なことに想いをめぐらせ、結局早起きして今こうして書いています。

7/20のイベント詳細はこちら。

今の日本にムハマド・ユヌス氏が伝える生き方とソーシャルビジネスの可能性 http://www.facebook.com/event.php?eid=233706006644836

Photo



戦争にしろ、震災にしろ、今生きている僕たちがするべきことは、過去の記憶を持ち続けることでしょう。反省すべきことは反省し、教訓を未来のために生かさなくてはなりません。また、内閣府が昨日発表した2011年4~6月期のGDPも年率換算で1.3%減。妻の @AkaneSato が以前 所得のフラット化ー世界の変化をビジュアルで見る でも書いていますが、日本経済を早急に再建する必要があることは明白です。そんな今だからこそ、ムハマド・ユヌス氏が来日記念シンポジウムで伝えてくれたメッセージについて、簡単に紹介したいと思います。

※このシンポジウムでは写真撮影が禁止だったため、次の2枚はFlickrからイメージ写真を載せています。

Muhammad Yunus

ユヌス氏が語ったことは、すべて彼の実体験に基づいた内容。ソーシャル・ビジネスを始めた経緯、そこから得られる生き甲斐など、多くのことを伝えてくれました。「外に出て体感しないと意味がない」「自分の足で立って、自分の目で世界を見たい」「目の前のたった1人でもいいから誰かの役に立ちたい」・・・ユヌス氏がまだ大学で経済学を教えていた頃、実際にアクションを始めていった経緯から話は始まりました。

「鳥の目からミミズの目へ」 その時の変化をこのように表現していたのが印象的です。大学で教えていた時は空を飛ぶ鳥の目だったのが、外に出てからはミミズの目になったと言うのです。俯瞰しているだけではなく、あくまで当事者として、低く、近い目線でいてこそ、物事の現状を見ることができるという話でした。

One Young World - Muhammad Yunus

また、グラミン銀行の経験からは、「銀行・融資の仕組みを何も知らなかったことが良かった。何も知らなかったからこそ、自分のしたいと思うことを全うできた。」と伝えてくれました。たしかにグラミン銀行では、従来の銀行とは全く逆のことを行っています。従来の銀行は、主に裕福な人たち向け(特に男性中心)に、都会で、弁護士を必要とする銀行業務を行っています。それに対してグラミンでは、女性を中心とした貧しい人たち向けに、農村などの郊外で、弁護士を必要としない、信頼に基づいたBased on Trustで業務を行っています。大多数とは真逆の行動なのです。

これはソーシャルビジネスの原則だとおっしゃっていました。「世の中の大多数は利益中心だから」というのは、たしかにもっともな理由です。「みんながかけているメガネとは違う”ソーシャルグラス”で世の中を見れば、きっと別の世の中が見える。Life is about pleasure, not about money. Welcome to the exciting world!」 すごく共感させられる話でした。

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リーマン・ショックや東日本大震災によって、利益至上主義からは明らかに変わってきたと思いますが、それでも世の中の中心は目に見える「お金」という価値、資本主義です。そうではなく、目に見えない共感や信頼などに価値を置いているのが、ユヌス氏の語るソーシャルビジネスなのでしょう。そして、目に見えない価値だった共感や信頼は、ソーシャルメディアによって少しずつ可視化されるようになってきました。これから先、より良い世の中になっていくと思っていますし、そうできると信じています。一人ひとりが世界を見て視野を広げ、目線を高くすれば、シンプルな発想で世の中を良くすることができる。一人ひとりがクリエイティブに生きれば、世界は変わる。そんな想いを再確認できた有意義な時間でした。


参考までに、今回は話に挙がらなかったユヌス氏からのメッセージを紹介します。ちょうど1年前にユヌス氏が来日した際にお聞きしたメッセージ、今も心に残っています。

・I'm proposing selfless business. Everything for others and not for me.
 Changing the world and other people's life.
・Success is measured in amount of people helped.
・Business for others, but not charity.
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ちなみにこのシンポジウム当日は18時30分から21時まで、イケダハヤト氏( @IHayato)とともにツイート担当を務めました。一般価格4,000円の有料セミナーにも関わらず、定員の850名があっという間に満席になったのには驚きましたが、ムハマド・ユヌス氏以外にも、ワタミの渡邉美樹氏、社会起業家フォーラムの藤沢久美氏、コーディネーターは本田健氏など、登壇者がかなり豪華。後半のパネルディスカッションについては今回の記事では言及できなかったので、ユヌス氏の講演から最後まで、以下に参加者の方々のツイートがまとまっていますので、そちらを参照していただければ幸いです。

貴重な場に居合わせることができたこと、心から感謝しています。今日は8月16日。今日からまた、自分にできることを少しずつやっていこうと思います。



Facebookページリニューアルのご報告

ループスのFacebookページを先日リニューアルオープンしまし​た。早速700名以上の方々にいいね!を押していただき、嬉しく思っています。


日本語の「ループス」も含めたページ名にしたこと、これまで未対​応だったチェックイン機能のスポットに対応したこと、主にこれら​2点を旧ページ「Looops」から改善しています。

この新ページ限定のコンテンツ・最新情報も発信していく予定です​。引き続き応援いただければと思います。



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