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世界銀行パブリックセミナー「防災とソーシャルメディア」のご報告

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阪神淡路大震災が起こった今日、1月17日に、内幸町の世界銀行・東京事務所「防災とソーシャルメディア」というパブリックセミナーが行われました。世界銀行は、開発に関する知識や知見の共有と発信に努めています。特に防災の分野には注力していて、災害に関する知見も数多く集め、発表しています。また、今年2012年10月に日本で開催される世界銀行・IMF総会においても、東日本大震災の経験を踏まえて防災に関する日本政府と世界銀行の共同研究の中間発表がなされます。日本における災害リスク管理および復興から生まれる教訓を全世界の公共財とするための知識と交流が図られる予定です。
その前段階のセミナーとして、今日は「防災とソーシャルメディア」に関してのプレゼン、討論が熱心に行われました。

今回、このイベントには友人の世界銀行・東京事務所のソーシャルメディア担当の立入勝義さんにご招待いただきました。立入さん貴重なセミナーに参加させていただきありがとうございました。

以下のメンバーの方のプレゼン、パネルディスカッションが10時から12時まで行われました。 高成田 享さん (仙台大学教授、元朝日新聞論説委員) 石川淳哉氏(助けあいジャパン理事、(株)ドリームデザインCEO、(株)イナズマCEO) 市川 裕康さん (ソーシャルカンパニー代表、ソーシャルメディア・コンサルタント) パネリスト:関 治之さん Georepublic 代表 モデレーター:立入 勝義さん (世界銀行東京事務所ソーシャルメディア担当官)

今日は、この中から助けあいジャパン理事の石川淳哉氏のプレゼン「災害時における情報収集の事例(被災地における情報レンジャーの事例)」をレポートしたいと思います。

情報レンジャーは「助けあいジャパン(3・11復興支援情報サイト)」の情報収集実行チームです。震災後、時間が経つ中で、7月になるとマスメディアの震災報道が減り始めます。一方で復興はまだ道半ばの状態で、現地から発信が必要だと思われる情報は数多くあったそうです。情報レンジャーのメンバーは、現地に入ることにより、現地の声、復興の実態を発信し、シェアすることが需要だと気付きました。情報レンジャーは民間ボランティアのため、移動に限界がありました。彼らは、機動力を発揮するために、必要な装備の「ポンチ絵」を作成し公開しました。それに対して、トヨタエスティマが全面バックアップして、情報レンジャーの被災地での活動を支えたそうです。

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復興のための正しい情報やニーズを届ける「助けあいジャパン」の情報収集実行チームの情報レンジャーは、twitterやUstなどのソーシャルメディアとEvernoteやDropboxなどのクラウド技術を使いこなし、リアルタイムの情報発信を心がけています。町から町に移動する際に、iPhone iMovieですぐにソーシャルメディアを通じて情報をアップし、シェアすることが基本になります。ソーシャルメディアの特性やITの技術を徹底的に使いこなし、被災地のリアルタイムの課題の抽出と復興の様子を日本、そして世界に発信しています。言い換えると、位置情報、動画、ソーシャルメディアなど最新の技術を徹底的に使いこなしている災害情報の発信専門部隊が、この情報レンジャーなのです。

現地に埋もれた情報を、ダイレクトに集めに行くこと。被災地からの声を受け取り、すぐに届けるべき場所に届けること。今日もどこかで生まれている未来へのヒントを、皆で共有することをコンセプトにしている情報レンジャーの活動を私たちは、もっともっと、注視していくべきだと改めて実感しました。

2012年になって、震災に関するメディアの報道は減少していますが、未だ被災地には、避難者が33万人以上 失業者が20万人いるという現実があります。まだ、がれき撤去も途中段階で、現時点でもエリアによって異なりますが、40%〜60%の達成率だと言います。この辺りの情報も情報レンジャーのサイトをチェックし続け、自分ごとにしていきたいと思います。

石川氏のプレゼン終盤で、今回の経験値を日本やアジア、世界で起こりうるであろう災害に役立てたいというメッセージがありました。私たちが体験したことを、映像に記録し、ソーシャルでシェアすることが、今後の災害に必ず役立つはずだという石川氏の熱いプレゼンはとても、私の心に響きました。

世界銀行・東京事務所の今回の取り組みは大変有意義で、災害とソーシャルメディの知見の共有という考え方には大変共感しました。世界銀行・東京事務所のFacebook世界銀行・東京事務所 も是非ご覧ください。

助け合いジャパンの情報レンジャーのtwitterも是非フォローいただき、被災地のリアルな情報を見続けることも大事だと感じた次第です。

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