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組織、マネジメントの理論とその実践を、スポーツ・学校を通して考える。

いやなことをやる〜2

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「嫌なこと」をやり始めた生徒たちは担任や周りから「ありがとう」「えらいね」と誉められたり感謝されるのがとても嬉しかったようです。

いつの間にか「野球部は必ずクラス委員をやる」のが伝統になっていました。野球部が変わり始め、他の部もそれに影響されて同じようなことをやり始めました。そうすると、学校の雰囲気がとても良くなっていったのです。

着任した頃の野球部は、お世辞にも「立派」とは言える集団ではありませんでした。制服は第二ボタンまで開け、「閉めろ」と言っても「なんで?」という顔をされました。ガムを噛みながら挨拶する部員もいました。そんな部員を前に「日常生活がいい加減な選手にスクイズのサインは出せない。スクイズは技術よりも人間性を信頼して出すサイン。きっと決めてくれる、失敗しても仕方がないと周りが納得する信頼感は日常生活から生まれるんだ」と何度も語りました。生徒はそれを理解し納得し、日常生活を整え嫌なことに取り組んでくれたのです。

彼らの日常生活は挨拶から変わり始め、遅刻もしなくなり服装も整っていきました。小さなことの積み重ねがいつの間にか学校の雰囲気まで変えていったのです。全校の生徒たちが一生懸命に勉強し、部活に取り組み、学校行事にも熱く取り組む集団へと変化していきました。

夏の甲子園だけが勝者ではありません。学校を変えていった彼らもまた、立派な勝者です。

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