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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

幼稚な「怒れる支配者」にならないためのチェックポイント

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怒りにまかせて怒鳴る。
相手をさらに痛めつけようと問題点を言い続ける。
わざと解けない難問で困らせる。

ついやってしまいますよね。

論理性では説明がつかない「怒れる感情」。喜怒哀楽の怒。いわゆる感情と表現されるものです。

そしてたまに、この怒れる感情を表に出して、結果が思い通りにいくことがあります。
・立場が下の人に怒りのままに文句を言う。すると思い通りに動く。
・自分が客であるときに、売り手にどなってみる。するといい条件が出る。

いわゆるパワハラに近いかもしれません。で、それを繰り返しやってしまう。この体験を繰り返すと自分の中にやっかいな人格ができあがります。いわゆる「怒りの支配者」です。

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人は本来であれば、論理性をつかさどる前頭葉が外部表現をコントロールします。相手のことをおもんばかったり、社会とのバランスを考えたりしてから行動する。ところが、衝動的に出てくる感情が行動を支配することもあります。

怒りは、脳の「扁桃体(へんとうたい)」で発生する怒りのホルモン、「ノルアドレナリン」で出ます。反射的なものなので、本来は体の防御機能として備わっているものなのでしょう。前頭葉のコントロールが入る前に感情をストレートに表現してしまうことがあるのはそのためです。

前頭葉が機能しない簡単な例を挙げれば、飲みすぎているとき。前頭葉がマヒして感情に支配された爬虫類になってしまい、翌日「しまったなぁ」と反省する、あれです。(爆)

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人は、恐怖と愛情とが目の前にあったときには、「恐怖に対しては裏切ることができず、愛情に対しては裏切ることができる」ものです。 それなので、怒りの支配者が力を発揮できる場もあります。

ただしそれは、情報の伝達が制限されている幼稚な社会でのことだと考えます。ICT (Information and Communication Technology) が発達し、多様な情報伝達手段がある社会では、人々が怒りの支配に服従させられていることに早く気づきます。また、その人が怒りの支配者である事実も早く拡散します。その人が幼稚な人間であるという認識はすぐに浸透し、社会人としての価値がはく奪されるようになります。

怒りにまかせて物事をコントロールするというのが、通用しない時代がやってきているのです。会社の中で起きていることでも、それは社外に伝達したりします。だから幼稚な「怒りの支配者」にならないでいることは旧来に増して組織の大切な要素になってきています。

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感情は心のサイン。自分が直観的に思っていることと、目の前の状況がかい離したときにサインが出るのです。だから怒れる感情も大切な情報です。有効活用すべきです。怒りを押しつぶすのではなく、有効な表現方法を考えてみるのです。

怒りを表現するときに、よく言われる「叱り」として表現するのがいいようです。怒りの表現をするとき、あるいはすでにしてしまったときには、次の3つのチェックポイントを持っているといいと思います。

・その人やチームに愛情を持っているか?
・意地の悪さは入り込んでいないか?
・自分はそのことについて誰よりも真剣であるか?

もちろん、最初から怒りを出さないという「できた人間」であれば不要なことなのでしょうが、つい出してしまったときでも、前頭葉が追いついてきてからこの3点をチェックしても遅すぎではないでしょう。

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