「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

なぜ消費者利益を損なう「更新型」を販売推進し続ける伝統的国内生保を表立って批判できないのか

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「当たり前だけど世間に伝わっていない話」⇒「更新ごとに保障額を下げていく10年更新は合理的」という詭弁 

上記は、先日掲載した記事に、誠ブロガーで住宅ローンなどについて他にない鋭い指摘をされている池上秀司さんからツイートしていただいたものです。
※池上さんとはまだお会いしたことはありませんが、生命保険について共感するところが極めて多く、他の記事でもツイートしていただております。

「当たり前だけど世間に伝わっていない話」の「当たり前」の部分は、まともな生命保険の業界人であれば誰でも「当たり前」だと思っていることが世間では認知されていないということですね。

ここで勝手に「まともな生命保険の業界人」を定義させていただきますと、現在日本で加入できる生命保険について最低限の知識を持ち、お客様に対して合理的な(中立的では決してありません)提案やアドバイスができる保険募集人やFPとします。

誠に残念なことですが、保険募集人(保険を販売する人)の大半を占める「伝統的国内の一社専属」の方はほとんどこの条件に該当しません。

なぜならば、「伝統的国内の一社専属」のほとんどの方々が主力として販売しているのが「更新型」であり、それを売らないことにはビジネスにならないからです。

この「更新型」に対して「収入保障型」が合理的であり、それ以外はあり得ないことをこれまでお話ししてきましたが、この「収入保障型」はすでに20年ほど前から外資系の保険会社を中心にすでに販売されていました。

そして96年の規制緩和で損保系生保の参入と乗合代理店の事実上の解禁、またその数年後の保険ショップの勃興があり、「収入保障型」を販売するチャンネルは飛躍的に増えて現在に至ります。

しかし、その後15年ほど経過しましたが、一社専属の保険募集人からの新規保険加入は70%程度を占めていおり、保険ショップなどの乗合代理店からの加入は15%程度に留まっています。

一社専属でも「収入保障型」を販売しているプルデンシャル生命などあり、保険ショップでもすべてのお客様が「収入保障型」に加入しているわけではありませんが、一社専属のほとんどのシェアが伝統的国内生保の「更新型」推進であり、複数社扱いの保険ショップの主力は「収入保障型」であることは間違いありません。

これだけ保険ショップのTVCMが流れるようになり、全国で約1500店にも広がり、一般的な認知は充分のように見えますが、まだまだ「更新型」と「収入保障型」の違いについてほとんど伝わっていないのが現状です。

なぜこんなことになっているのか。

あるエッジの効いた保険会社の担当者と、なぜ「更新型」が未だにはびこり「収入保障型」のシェアは思ったほど伸びないのか、が話題になりました。

その担当者曰く・・・

1、ニッセイの圧力を恐れている

2、需要喚起が必要な新規開拓は国内生保に任せて、見直し需要を獲得する戦略

という2点が浮かび上がってきました。


<1、ニッセイの圧力を恐れている>について更にふたつの側面があるようです。

ひとつは、法人対象の所謂「節税商品」をカタカナ系、損保系が競って出していたことが数年前まであり、少々過熱気味となったとき、ニッセイの当局への箴言により、当局からの逆らうことができない「通達」が出てかなり大変な事態になったことがありました。

一例を挙げると、「この商品の保険料はずっと全額経費扱いできて、その全額は5年後に解約すれば戻ってきます」なんて今ではあり得ないようなものがあったのですが、ニッセイの箴言により「経費扱いできるのは半分しか認められない」となり、お客様から「話しが違う、解約だ!」と怒られた上に信用と収入を損なうことになり「ニッセイ様を必要以上に刺激しないように」という空気が生まれたのです。

またもうひとつは、間接的ではありますが、TVなどの大手メディアへの圧力です。
何だかんだ言っても、大手国内生保は大口のスポンサーですので、それを取り仕切る電博が大口スポンサーに不利になるような企画を推進することは考えられません。

<2、需要喚起が必要な新規開拓は国内生保に任せて、見直し需要を獲得する戦略>については、生命保険営業で一番大変な、初めて生命保険に加入する層を掘り起こす新規需要開拓を国内生保に依存し、そしてほとんどのしょうもない「更新型」に加入させられたお客様に対して、見直しの際に合理的なものを推進していくというものです。

つまり、生命保険営業の肝となる「ニーズ喚起(本当は必要であるが目に見えない、実感できないことを顕在化させること)」を人海戦術と多大な広告宣伝費をかけたイメージ戦略を行っている大手国内生保に委ねて、そのあとの後出しじゃんけんで勝とう、という戦略のようです。

このあたりが、現状における後発の生命保険会社の限界なのかな、と思います。

それでは保険代理店はどうなのか。

一応経営としては保険会社から独立していますが、業法的には子会社、つまり保険会社の管理下にある存在です。

代理店が何か不祥事をやらかすと、それを管理する保険会社がまず当局から事情聴取を受けて管理責任を問われます。
(複数社取り扱い代理店でもひとつメインの保険会社が決まっています)
(最大手保険ショップの元社長が脱税で狙われたのも大手生保が動いたのでは、と言われています)

ですので、代理店があんまりトンガッたことをすることもままならないのです。

 

以上のようなことから、お客様に対して合理的な選択を促す機会は限られていることが、<一社専属募集人からの加入が約70%>という結果につながっていると考えられます。

勇気を持って保険ショップに来店したひとだけが、そのブース内などの限られた世界だけで「更新型⇒収入保障型」の合理的な提案やアドバイスを受けることができますが、その内容はブラックボックスになっているかのようです。

決してブラックボックスではないのですが・・・。

かつて、オリックス生命が(社名はぼかしていましたが)、ライフネット生命との医療保険の比較記事を新聞のの一面広告に掲載して話題となりましたが、大手国内生保に対して「更新型と収入保障型の比較」は実現していません。

単純な保険料だけの比較で済む医療保険と違い、「必要保障額がなぜ減額していくのか」をきちんと理解してもらわなければ意味が呑み込めない「更新型と収入保障型の比較」は分かりづらい面がありますが、実現していない理由はそれだけではなく、大手国内生保への配慮、と言うか恐れからではないかと思います。

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業界内のパワープレーなど一般の消費者の方々には直接関係ないかもしれませんが、無駄な大手からの圧力により、多くの人たちの「合理的な選択に必要不可欠な知識の獲得」が阻害されているのは確かなようです。

現状としては<個々人で「生命保険リテラシー」を向上させて合理的な選択ができるようにする>しかない、という身も蓋もない結論になってしまいますが、少なくとこのブログを読んでいただいている方やその周辺の方々には、最低限の「生命保険リテラシー」を身につけていただければ幸いです。

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