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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

生命保険の診査基準なんてどこも一緒じゃないの!?②

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前回「<各生命保険会社の診査基準の違い~傾向と対策>というテーマで次回掘り下げてみます」で終わりましたが、
その前に、生命保険の診査について少しお話しします。

診査は次の5段階となります。

1、告知のみ
2、面接士による面談
3、医師による診査(問診、血圧、尿検査)
4、同上(上記に加えて心電図)
5、同上(上記に加えて血液検査)

年齢、保障額によってどの段階になるか決まります。
年齢が上がるほど、また保障額が上がるほど番号が上がるわけです。

この辺の基準については、大体各社微妙な違いはありますがほぼ同じと考えていいと思います。

さて、ここでお話ししたいのは<非喫煙割引>です。
過去1年以内に喫煙をしていないのが条件ですが、告知だけでクリアできるわけではありません。
口内の唾液を採集する検査キットや尿検査によるエビデンス(証拠)が必要になります。

ここまでは<非喫煙割引>を扱っている保険会社は同じで、ソニー生命についてはこのエビデンスだけで<非喫煙割引>になりますが(他に著しい問題があれば別ですが)、その他の損保系生保(NKSJひまわり生命、三井住友海上あいおい生命)は正確には<非喫煙優良体割引>という扱いなので、非喫煙が証明されただけでは不充分で、血圧と尿検査の結果も許容範囲でなければ割引の適用になりません。(過去1年以内の健康診断書で代用可能)

例えば30歳で3000万円の保障額であれば面接士扱いで医師の診断は不要ですが、被保険者(保険を掛けられる人)が非喫煙1年以上であれば<非喫煙優良対割引>が受けられて保険料が2割ほど安くなる可能性が高いとなれば、多少面倒でも医師の診断を受けることになります。

万一、その際に「少々血圧が・・・」または「お小水にタンパクが・・」などという結果が出てしまったり、極めてレアケースですが「お肌にお絵かきが・・・」と発覚して保険加入が不可になってしまうこともありえます。

※「お絵かき=タトゥー」ですが、タトゥーがあると生命保険加入は難しくなります。
墨を入れることにより皮膚呼吸が通常より困難になり、肝臓に負担がかかるようです。
カラクリ悶々でなくても、ヤンチャな最近の若い衆のワンポイントタトゥーも大きさによって判断が分かれますが、基本的にタトゥーはNG項目となります。
(ちなみに私が知る限りですが告知書に「タトゥーがありますか」という質問項目はないようです)

つまり、ソニー生命であればすんなり<非喫煙割引>で保険料割安で加入できたものが、損保系生保の<非喫煙優良対割引>であると手間がかかり、最悪の想定としてはヤブヘビになってしまうことがあるということです。

保険料の比較サイトなどで<非喫煙で安くなる生命保険トップ5>があっても少々中身が違う、診査基準が異なることを留意して下さい。

それともうひとつ、生命保険加入時<条件>についてです。

全く健康状態に問題がなければ<条件>はつきませんが、告知や診査で何がしか問題があった場合は謝絶(2年間はご加入できません=今回は見送り)でなければ保険料割増、保障削減、部位不担保の条件が付きます。

基本的に保険料割増は保障期間中ずっと継続されますが、保障削減や部位不担保は保障期間ずっとの場合と一定期間(例えば加入当初2年間など)だけの場合があります。
※部位不担保とは、例えば2年以内に胃腸炎で数日入院しているが現在完治していても、胃腸の病気については加入後1年間はは保障しません、などの条件がつくことです。

ここで各社の違いが出てくるのが部位不担保に該当しない健康上の問題です。
端的に申し上げれば身体全体を循環する血液系に問題があるケースです。

大手国内生保であると、まず血液系の問題があると部位不担保というわけには行かないので加入は難しいようです。
特に医療保険について、保険料割増の制度がない保険会社が多く、対応できるところは限られます。

医療保険において保険料割増があるのはソニー生命や東京海上日動あんしん生命など少数ですが、その中で唯一使えるのはソニー生命ぐらいです。

その理由は、血圧降下剤服用のケースで他に問題がなければほぼ無条件で(経験値では100%)保険加入できることと、相対的に保険料割増率が低いことです。(あんしん生命などと比較して)

アフラックの新EVERなどは割増制度がありませんので、一部を除けば血液系の問題があれば、保険料が初めから割高な「引受緩和型」に加入するしかありません。

例えば通販や国内生保に加入する際に「血圧降下剤を服用している」と告知をするとまず謝絶となる可能性が高いのですが、それをもって安易に割高である「引受緩和型」や「無条件型」に流れてしまうことが多々あります。
※「引受緩和型」・・・通常より引受条件が緩和されており持病があっても加入できる可能性があります。
 「無条件型」・・・告知なしで加入できるが、一部持病は担保されないケースがあります。

実際の現場では、基本的には「ソニーが駄目なら仕方がない」ということになり、何か健康上の問題がある方にはまずソニーで診査して、NGであれば「引受緩和型」をお勧めすることがほとんでした。

結論としては、各保険会社の診査基準は結構バラバラで、駄目だと思っていたものが他社であれば無条件や条件付きでOKになることがあるという事実を認識していただきたい、ということです。

住友生命のお姉さまが「血圧の薬を飲んでいるだけならソニー生命なら大丈夫かもしれないわよ」なんて気の利いたことを言うなんて期待してはいけません。

数年前まで損保ジャパン(ひまわり生命ではない)の医療保険で<Dr.ジャパン>というヒット商品があり、ソニー生命に負けない診査基準でしたので、当時は「ソニーか損ジャか」で見極めていました。

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