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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

生保のウラ技 ~ファンタスティック編1~

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前々回にウラ技として一番お勧めできる「払い済み」についてご紹介する、というところで終わりました。
まず「払い済み」という言葉ですが、生命保険においてふたつの意味があります。
1つは終身保険など保障期間が長期間に渡るものにおいて、保障期間中に保険料の支払を終了させることを示します。
例えば、終身保険は一生涯保障になりますが、支払は65歳までの場合は「65歳払い済み」と言います。

今回お話したいのはもうひとつの「払い済みです」
その前に、生命保険においての極めて重要なキーワードである「予定利率」について説明します。
簡単に言えば、生命保険商品の将来予定されている利率です。

何だかよくわかりませんね。

生命保険は金融商品のはしくれで、生命保険会社は機関投資家ですので、生命保険商品は運用されています。
ただ、純粋な金融商品ではなく、被保険者(保険をかけられてている人)が死亡した際には莫大な死亡保険金を支払うためのの準備金や、当然会社の運営費用がかかりますので、「予定利率1.5%」といっても年利1.5%で運用されるわけではありません。
(証券会社でも手数料を取りますよね)
貯蓄性が高いものでも、純粋な利率は予定利率が1.5%であっても1%を切ります。

ますます分からなくなってしまいました。

でも実は簡単なのです。
「予定利率は保険料の割引率」と生命保険ユーザーからの視点で解釈すると分かりやすくなります。
つまり、予定利率が高いほど保険会社の運用がうまく行く予定なので、保険料がその分割引されている、と考えて差し支えありません。
定期預金の利回りと同じで高ければお客様に有利とだけ、この段階ではご理解下さい。

「予定利率」は固定で変動しません。(利率変動タイプや変額は別ですが)
丁度住宅ローンの長期固定タイプと反対で、お金を借りる場合は利率が低いほうがいいですが、生命保険に加入する場合は「予定利率」が高いほうがいいわけです。
住宅ローンの長期固定タイプが、加入した時の利率で固定されるように、生命保険の「予定利率」も加入したときのもので固定されますので、加入したタイミングによって利率が大きく異なります。

予定利率の推移を見てみましょう。

1976.3~1985.3  5.50%
1985.4~1990.3  6.00%
1990.4~1993.3  5.50%
1993.4~1994.3  4.75%
1994.4~1996.3  3.75%
1996.4~1999.3  2.75%
1999.4~2001.3  2.00%
2001.4~現在     1.50~1.75%

景気や株価、金利とリンクしている感じですね。
2001年4月以降に生命保険に加入されている方は、史上最低の予定利率になってしまうのですが、99年ごろまでに貯蓄型の終身保険や年金保険に加入している方は現在では考えられない予定利率の生命保険、所謂「お宝保険」を持っていることになりす。
同じ条件(性別、年齢、保障額など)で終身保険に加入する場合、1990年3月には6%の保険料の割り引きがあったが、現在では1.5%しか割引がない、と考えれば分かりやすいですね。
実際にはそう単純ではありませんが、ほぼこのようにご理解していただければと思います。
(住宅ローンはこの逆になります)
(住宅ローンの金利が6%と1.5%ではえらい違いですよね)

そこでやっと「払い済み」についての説明です。
一定期間を過ぎた終身保険の保険料の支払いを支払い期限前に中止して、保障はそのまま継続することです。
今後の支払いはなくなりますので、保障額は当初より小さくなります。
保険の見直しや保険料削減に使えますので、皆様ご活用して下さい。
ただそれだけです。

「予定利率と何の関係があるんじゃ!」
「どこが"ファンタスティック"なんだよ?」

とどこかで低い声が聞こえます。
多分次回ファンタスティックになる予定です。


 

「払い済み」についてのメリットは「予定利率」のことを知らないと理解できないのです。
保険会社は、まずこの「払い済み」を積極的に勧めません。
その理由も次回明らかになります。
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