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安倍氏も否定した日銀引き受けをいまだに主張する人たちについて ~"方向感"で投票しよう~

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安倍総裁の「日銀引き受け発言」が尾を引いている日銀の白川総裁が禁じ手の中でも最上位と指摘し、各党党首や財界からも否定された所で、直接引き受けろなんてことは言っていない、誤報だ、と安倍総裁から反論が出た。しかもいいかげんな報道をするなと怒っているようだ。

後付けか元々かはわからないものの日銀の直接引き受けに関してやるつもりは無く、なおかつやったらいけないという立場を安倍氏が取っている事は明らかで(そうでなければ直接引き受けも含めて検討すべきだ、というコメントが出てくるはず)、これ以上議論の余地は無いだろう。安倍氏流に言えば「決着は着いた」。

野田総理はお金を刷れば景気が良くなるなんて話はあるかと批判していたが、1年以上前に池田信夫氏、池尾和人氏、小幡績氏、小黒一正氏とアゴラではおなじみの面々が「お札を刷ればデフレは止まるのか」と題して議論をしているが、その中身は安倍発言を受けたかのような内容になっている。せっかくなされた過去の議論が全く積み重なることなく、ループしている状況にはあきれるばかりだ。

もっとも、次の選挙でどの政党が政権を担っても借金がいきなり減る事はありえない。現在の予算は半分が借金なのだから、これを今すぐゼロにするのはどう考えても無理だ。結局は借金の使い方と、借金を減らす方向と増やす方向のどちらを向いているのか、という事が重要になる。

その借金の使い道について、安倍氏の場合は公共事業だというのだから言葉も出ない。バブル崩壊後、バラマキをいくらやった所で一時的な効果しかなく、長期的にみて景気は回復しない、借金が増えるだけでロクな事は起きない、と日本人はすでに学習したはずだ。これは対象がコンクリートでも人でも大差は無い事も政権交代で分かった事だ(個人的には子供手当てはバラマキの中でも唯一納得の行く使い道だが、それでももっと良い使い方はあるだろう)。

それにもかかわらず、巨額の公共事業で景気回復を目指すという話を聞いていると振り出しに戻ってしまったかのような徒労感を感じるのは自分だけではないだろう。

※いわゆるリフレ派である経済学者の飯田泰之氏でも『「市場の失敗以外のケースでは国が供給するよりも民間に任せた方がいい」「100万円のモノをプレゼントするよりも100万円を渡した方がいい」と考えるところまでは、全経済学者の共通理解といってよいでしょう。』とブロゴスのインタビューで発言している。

野田総理は解散を明言した際に方向感という言葉を連発した。こんな大事な場面でこんな曖昧な表現を使うなんていい加減にも程があると最初に聞いた時には呆れてしまったが、案外「方向感」という言葉は適切なのかもしれない。

借金に関してはすでに説明した通り、どの政党が政権を取っても10年以内に借金が減り始める事は無いだろう。今回最大の争点となっているTPPと原発に関しても同様だ。政権を取る可能性がありそうな自民・民主・維新の会は程度の差はあってもいずれもTPPは推進する「方向感」だし、原発についても政権をとったらすぐに止めるとは主張していない。10年以内に止まりそうな気配も無い。数十年後に止めるという約束ならば今の時点では何をやっても「いつかは止めますから」と言えてしまう。

先日、TBSの朝ズバでは消費税・TPP・原発と選挙の争点について、14党が一堂に会して議論する場面があった。3つの争点について、各党が◎・△・×で分かりやすく意見を表明するというスタイルを取っていたが、自民・民主・維新と3党がいずれも◎か△で、大差が無い状況は明確になっていた。政権をとりそうな政党に限定すれば、どこが与党になったとしても幸か不幸かドラスティックな変化が無い事は確実で、結局は大雑把な「方向感」で選ぶしかないということになる。日本は大きな借金を抱えた大国である以上、急ブレーキ・急ハンドルを切れないという意味では仕方の無い事だ。

これに関しては城繁幸氏が分かりやすく説明しているが、政権を担う可能性がある政党は選挙前に出来もしない事を約束すると言った事と違う事をやってるじゃないかと批判をされる、政権を担う可能性が無い政党は何を言っても責任を取らずに済むので安心して無茶な事を言える、と指摘する。城氏はこの違いをニッチ路線と現実路線で二つに分類している。

このような構図で見ると、何をやるべきか決まっている以上、自民・民主・維新が似通った政策になるのは当然ともいえる。そんな中で借金を増やすと明言する安倍氏はある意味で非常にユニークだが、円安に振れて貿易赤字が増え、金利が上昇して利払い費用も増えれば結局は途中で引っ込めざるを得なくなるだろう。これは民主党が4年間は増税しないと言っていたのに結局は増税せざるを得なくなった状況とほぼ同じだ。

すでに石破氏が安倍氏の政策について「極端な円安は日本経済に良くない、日本は内需の国で輸出で稼いでいるのは15%程度、円安のメリットはいかほどか」と否定的な発言をしている。選挙が始まる前からこれでは「選挙もやらずにマニフェストに書いていない事をやるな」と批判された民主党と同じコースをなぞるだろう。

民主党に投票した人は裏切られたと怒っているが、党内に正反対の意見を持つ勢力がいれば、どの政党でも同じ事が起きる。民主党が政権をとった後、散々「自民党と同じじゃないか」と批判されたが、改めて自民と民主が入れ替わっても「民主党と同じじゃないか」と批判されるだろう。維新の会が政権を取ったとしても「自民・民主と同じだ」と批判されるに違いない。

国債関連として、以下の記事も参考にされたい。
●2012年、バブル真っ只中の日本
●お金は保険会社に預けるな その1
●お金は保険会社に預けるな その2

今回の選挙は日本の混乱ぶりを反映したものになっているが、一回の選挙でスッキリと解決出来るほど問題の根は浅くない。このようなグダグダの選挙をあと何回か経験した後に、日本の国のカタチがどう変るかも全く分からないが、不透明な将来を抱えた生活が今後もしばらく続くだろう。この不透明さが景気にとってマイナス要因である事は間違いなく、失われた20年は残念ながらもうしばらく続きそうだ。

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー
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