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2012年、バブル真っ只中の日本

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2012年、深刻な不況が長引く日本でバブル真っ只中のものがある。それが日本の国債だ。国債とは国の債券、つまり日本の借金だ。

●国債の価格が上がると金利が下がる
現在日本の長期金利は1%を下回っている。長期金利とは国債を保有した時に得られる利回りの事だ。バブルどころかめちゃくちゃ低いじゃないか、と思われるかもしれないが、金利がここまで低いという事は国債が高く買われている事を意味する。逆に多くの人が国債を買わなければ金利は高くなる。例えばヨーロッパで危険だといわれているイタリア・スペイン・ポルトガルなどは国債の買い手が少ないので金利が上がっている。日本が超低金利だという事は国債が大人気である事を意味する。つまり国債バブルといわれるゆえんだ。

●借金大国なのに金利が低い不思議な国
日本は借金が多くて危ないと散々言われているにもかかわらず、なぜこうなっているのか。これは国内の事情を見れば、不景気で消費者は消費を抑え、企業は設備投資を控えている。結果として銀行ではお金が余る。しかし、銀行は預かったお金を運用しないわけにはいかないので、国内では安全資産とされる国債を買わざるを得ない。保険会社でも、終身保険や個人年金保険などの契約を多数抱えていると、超長期で元本を確保する形で運用しなければいけない。すると選択肢としては国債での運用が中心という事になる。会社により、国債の保有額は数兆円から数十兆円と巨額に上る。
 
金融機関がバブルで高値に評価されている資産を山ほど抱えている......これはかつての80年代のバブルと同じ構図だ。90年代にバブルが崩壊すると、銀行は貸付金を回収できず、担保価値を失った不動産を抱えてその名の通り立ち往生した。
 
では国債バブルがはじけるとどうなるか。これにより金融機関に巨額の評価損が発生し、自己資本(純資産)が吹き飛ぶ。保有する国債に対して金融機関の自己資本はごくわずかだ(これは「お金は保険会社に預けるな」で詳しく説明した)。
 
●良い金利上昇と悪い金利上昇
では国債バブルがはじけるのはどのような時か。答えは簡単で、金利が上がった時だ。また、金利の上昇は二種類ある。1つは良い金利上昇、もう1つは悪い金利上昇だ。
 
良い金利上昇は、景気が良くなり、資金需要が増えたときに、国債に向かっていた資金が融資・消費・投資に向かい、買い手が減って国債価格が下がり、金利が上がる。
 
悪い金利上昇は、日本という国が借金を返せなくなるのでは?と信用不安が広がり、国債の買い手が減って価格が下がった時に発生する。
 
ここで注目すべきは、景気が良くなっても悪くなっても国債のバブルは崩壊するかもしれないという点だ。景気が良くなって多少税収が増えても、金利が上昇すればそれを上回る利息負担が発生する可能性がある。
 
●借金は増えているのに利息負担は減っている
日本は借金がどんどん増えている、だから利息負担も増えている、と思っている人は多いかもしれないが、実は利息負担は横ばいが続き、一時的には減っていた。昭和60年ごろから平成11年位までは安定して10兆円程度負担していた利息は、その後の金利低下により7兆円まで下落した。景気悪化によって金利が下がった事で、新しい借金の利息は少なく済み、過去の借金の借り換え(ロールオーバー)も低金利で出来ていたからだ。なんと不景気によって余ったお金が国債に集中し、国債バブルで金利が大きく低下した事が財政破綻せずに済んでいる一番大きな理由というわけだ。
 
この奇妙な安定はさらなる借金の拡大につながったが、今後は金利低下による利息軽減の効果もこれ以上は期待できない。利息負担は平成18年を底に上昇へ転じ、平成23年には再度10兆円寸前まで上昇しているからだ。これは一橋大学経済研究所准教授の小黒一正さんが過去の利息負担の推移と将来の予想をグラフにして説明している。今後は仮に今の低金利が続いても利息負担は急激に上昇する事が予測されている。この予測通りになれば結局は財政に大きな負担となり、「悪い金利上昇」の条件である信用不安へと突き進んでしまう可能性が高い。
 
●バブルは崩壊する。ただし、いつかは分からない。
バブルは崩壊するのが常だ。しかし、それがいつ崩壊するのか分からない。バブルの最中は「今がバブルだ」と気付く事さえ出来ない。国債バブルという言葉をこの記事で始めて知った人も少なくないだろう。
 
住宅ローンの借り方で、金利が上昇すると危ないから変動金利はやめましょうという話をすると、これだけ低金利が続いているのに上がるわけが無いじゃないか、といった事をFPも含めたお金の専門家ですら口にする。金利は株価と同じで将来の推移は予想出来ない。将来は過去の延長ではないし、今の低金利はバブルの結果だと分かっている人はそんな事をまず言わない。
 
政治家や経済学者でも、日本の借金は大した事が無いと様々な理屈をつけて説明する人もいるが、これもバブル期ではありがちな現象だ。今回は違う、この会社は違うといって高値で不動産や株を買った人がどうなったか、説明するまでも無いだろう。
 
●「時限爆弾」がある事と爆発するかどうかは別問題
国債という「時限爆弾」は全ての金融機関に既にセットされている。バブルが崩壊して、これがいつ爆発するのか、あるいは本当に爆発するのか、正確な事は分からない。先にあげたようにあれこれと大丈夫な理由をあげる専門家もいる。もしかしたらその意見も正しいかもしれない。しかし、爆弾が「爆発するかどうか」と、爆弾が「あるかどうか」は全く別の話だ。爆弾が爆発するかどうかに関しては意見が分かれても、爆弾の有無に関してはもはや議論の余地は無い。見えない借金として年金債務(年金の積立不足額)も加えると、1000兆円といわれる現在の借金は倍になるとも言われる。
 
国債バブルが崩壊して金利が上昇すれば、多くの金融機関は破綻し、円の価値は暴落して物価は上昇し日本の財政は破綻する。
 
自分は普段お客様へのアドバイスで、ある程度の資産を持っている方には一部を外貨や金で持つことも検討してもいいのでは、という話もしている。通常の資産運用ならば外貨も金も不要だが、国債バブル崩壊時の急激なインフレや円安に備えて、リスクヘッジになるからだ。もちろん、外貨や金も保有のし過ぎはそれ自体がリスクとなるので、沢山持てば良いという話でもない。

国債の暴落=金利上昇リスクを特に受ける金融機関は保険会社となるので、以下の記事も参考にされたい。
お金は保険会社に預けるな その1
お金は保険会社に預けるな その2

 国債バブル崩壊への対策をどのように準備しておくか、中々頭の痛い問題だ。

中嶋よしふみ
シェアーズカフェ・店長 ファイナンシャルプランナー
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