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25ドルでできる発展途上国の起業家への融資「KIVA」

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こんにちは。今回は前回のブログでお話しした海外のファンドレイジング・サイトのひとつ、「KIVA」を紹介したいと思います。2005年10月にスタートしたサイトで、運営はサンフランシスコ発祥のNPO法人 KIVAです。ファンドレイジング・サイトの中では有名なサイトです。

KIVAは一言でいえば、インターネットを利用したいわゆる「マイクロファイナンス(低所得者向けの小口金融の総称)」で、世界中のマイクロファイナンス機関(MFI)と提携しているようです。カテゴリとしては、事業・プロジェクトなどの資金を調達する「資金調達型」、NPO法人などの非営利団体が運営する「非営利型」、資金を分割して返済してもらう「返済(貸し付け)型」になります。

一口25ドルで発展途上国の起業家に融資

仕組みとしては先進国にいる出資者が一口25ドルで出資する相手方(多くは発展途上国の起業家)をWebサイト上で選定して融資するというシステムで、決済にはペイパルが利用されます。Webサイトには以下のように起業家の写真入りで事業の主旨や資金の必要性の説明がされています。また、その時点で起業家の必要とする目標額の何パーセントに達しているかがひと目でわかるようになっています。

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15セクターに約4,000件の融資案件が登録されている

本日(11/8)現在、サイト上には「農業」「芸術」「アパレル」「建設」「教育」「エンターテイン
メント」「食品」「健康」「住宅」「製造」「個人利用」「小売」「サービス」「運送」「卸売」
の15セクターに約4,000件の融資案件が登録されています。事業の多くは以下のような家内制手工業のようなものです。

  • パンツの仕立て業。融資は仕立ての布地の購入や機械の消耗品の購入に充てる(ペルー)
  • 家畜市場での肉牛の販売。融資は小牛の購入を増やすために使用(アゼルバイジャン)
  • タクシーのサービス事業を行うことを計画。融資は車の購入に使用(モンゴル)

なかには、

  • 融資は結婚し新しい家の家具を買うために使用(パレスチナ、国家公務員)

などの、かなり個人的なものもあったりします。

先進国と発展途上国の経済格差を逆手に取った仕組み

KIVAは返済責任のない「寄付」よりも「融資」によって責務を促すという考え方で、先進国と発展途上国の経済格差(適切な表現ではないかもしれませんが……)をうまく利用した仕組みだと思います。平均するとひとつの事業あたりの必要金額は500ドル強で、サイトによると本日現在の返済率は98.90%。これは、かなり良い数字ではないでしょうか。

また、設立以来2.55億ドル以上の資金が216カ国63万人以上の起業家に提供されているとのことで、これはまさしく、融資をする側と受ける側の経済格差とインターネットの仕組みをうまく利用したアイデアの勝利ではないでしょうか?

日本語サイトも用意されている

KIVAにはKIVA Japanが運営する日本語サイトも用意されています。融資案件の内容自体はKIVAと同様ですが、情報を日本語で紹介することで日本の融資者を増やすことが目的です。日本円にして一口2,000円弱(11/8現在のレート)で、日本語のサイトも用意されているのなら、ちょっと融資をしてみようとは思わないでしょうか。私も融資してみようかなと思っています。

ただ、借り手は利子つきで返済しますが、利子はすべて現地MFI(マイクロファイナンス機関)の運営資金になり、出資者とKIVAの受け取る金利は0%ですので儲けることはできませんが……。

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