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サービスを科学するために、まず人間を知ろう

サービスを科学するとは

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ブログの標語に「サービスを科学するために、、、」と掲げていますので、まず、そこから説明したいと思います。

Google で "サービス・サイエンス" をキーワードにして検索すると多数ヒットしますが、"IBM" とペアになっているコンテンツが多いですね。私が知る限りでは、声を大にして言い始めたのは IBM リサーチです。IBM リサーチは、大学など他の研究・教育機関との連携を機能の一つとしてもっているので、先ずは "university relation" という観点で活動が始められました。IBM はコンピュータ・サイエンスという分野を立ち上げた (いろいろなご意見があると思いますが) と自負していて、第二のビッグ・ウェーブを起こしたいと思ったわけです。サービス・サイエンス という学問分野が確立されれば、それを元に新たなビジネスチャンスも広がるし、いい人材も確保しやすい (IBM が発祥の地となるわけですから) という "壮大な" 計画です。

具体的な活動は、アルマデン (Almaden) 研究所のジム・スポーラー (Jim Spohrer) が、それまでにあったサービス関連の活動をまとめて SSME (Service Science, Management, and Engineering) として、2004 年秋のアルマデン研究所におけるカンファレンスなど、世界中で様々なイベントにて発信しています。これらは、このオルタナティブブログでも取り上げられていますね:(今泉さん、今後よろしくお願い致します !!)

http://blogs.itmedia.co.jp/serial/2006/01/ibm_3dfa.html

アメリカの事情は、

http://blog.outlogic.jp/shiba/archives/001376.html

に我々も驚くほど丁寧にまとめられていますので、こちらをご覧頂くのがいいと思います。

で、以下、日本での活動をかいつまんで書いてみます。個人的に関わっている部分もありますので、我田引水的に受け取られたらご容赦ください:

日本では、私が所属する東京基礎研究所の理論部にて 2005 年の初頭からタスクが始まりました。先ずは、スポーラーから本や資料をいろいろもらって来て、それらを分担して読んでまとめたり皆でディスカッションをして基礎知識を蓄えたり、国内で同様な研究活動がなされているかを調査して上で、アルマデン研究所でのカンファレンスと同様なシンポジウムを秋に催しました:(今泉さんのリンクとダブりますがお許しください)

http://www.research.ibm.com/trl/news/SSS05/index.htm

このページの一番下を見ると、パネルディスカッションの項がありますが、この中の当時経済産業省の橋本正洋課長 (現在は NEDO) と健康サービス産業振興機構から委託されて、サービス・イノベーション研究会なるタスクが、2005 年秋から 2006 年春まで活動しました。私は 2005 年中は直接には関わりませんでしたが、2006 年からサービス・イノベーション研究会の事務局を担当しました。参加を要請されたとき、結構ワークロードが掛かるのではないか、と多少考えましたが、新し物好きなのと直前のテニスの試合があまりにボロボロだったので気合を入れ直すため (思い切り個人的理由でスミマセン) に引き受けました。委員として参加されていた北陸先端大学 (JAIST) の亀岡先生の研究室の社会人学生の方が事務局に加わりました。月一度の割合で開かれる委員会で、委員の先生方のご意見を伺ったり、JAIST チームとディスカッションをしていると、「サービスって、分け分からん、、、」みたいな感じでどんどんハマッってしまいました。

#委員会では、NPO 法人顧客ロイヤルティ協会理事長の故佐藤知恭先生に講演して頂けたのは貴重な経験でした。ご冥福をお祈りいたします。

さて、いろいろとハマリながらも、2006 年 3 月に「サービス・イノベーション・シンポジウム」なるものを開催しました:

http://www.research.ibm.com/trl/projects/sis03_2006/

我々内部の人間もちょっとびっくりしたのですが、北城会長に基調講演をお願いできたのは、何ともラッキーでした。残念ながら講演ピッチは外に出せないのですが、後半の部分は、最後の "まとめ" の資料「サービス・イノベーション・シンポジウム提言」に反映されています。最後のページには「箱崎宣言」と高らかに謳っていて、個人的にはなかなか気に入っています。(ピッチの原案作成に関わったので、、、)

その後、筑波大学や北陸先端大学など、いろいろなところでサービス・サイエンスやサービス・イノベーションについての研究会が開かれています。例えば、サービス・イノベーション研究会の事務局を一緒にやった北陸先端大学のチームは

http://homepage2.nifty.com/servicescience/

という活動をしています。同じ社会人として、羨ましい限りです。

で、私はと言うと、4 月からは本業に立ち戻り「働けど働けど、我が暮らし、、、」 (これって、ワーキング・プアのことでしょうか !?) みたいに過ごしていたら、サービス・イノベーション研究会の報告書というのを作成する契約だったのを "様々な方面から" 思い出させられて 、何回か "突貫工事" をして何とか昨年内にリリースしました:

http://jahio.or.jp/jigyou/jigyou_shiryou_serviceinnovation.html

現在は、 産学連携のタスクに関わっています。いずれ、経過や結果をご報告します。

次回は、サービスを科学することについて多少なりとも所感を書きたいと思います。

追伸:

澤田さんからコメントを頂きました。後手に回った感じで恐縮ですが、澤田さんのブログも紹介します。ご覧下さい:

 http://jisi.dreamblog.jp/3/9/

実は、同僚から聞いて、もしかしたら現役の人間より IBM に詳しいのでは、ということで澤田さんのブログを見ていたりもしました。サービス・サイエンスに関する項も情報豊富です。各論に入ったら紹介しようと思っていたのですが、広く集合知に期待したい、とか言っておきながら、この ような情報の小出しはよくないですね。澤田さんには、結構失礼してしまったかもしれません、相済みません。懲りずに、いろいろコメント頂けると幸いです。

内部にいると、いろい ろな立場の人がいる中で自分を見失いがちですが、外部からはこの様に見える、という記事は貴重です。

他にも、"サービス" や "科学 (サイエンス)" をキーワードにされている方がいらっしゃたら是非声を掛けて下さい。

 

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