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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ヤフオク→所有しない経済 補足

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昨日の「所有しない経済」ですが、後から舌足らずだった部分があることに気付いたので補足を。

ブランド物にも通じる話だと思うのですが、その世界で評価が定着している商品は、ヤフーオークションで売買される際に、相場がおおよそ固まってきます。
例えば、長岡鉄男が愛用していたことで知られる日立Lo-D HMA-9500 mkII(発売当時定価27万円、79年発売)は、ヤフオクでの取引値がおおよそ20万円弱。17~18万円の落札はある話ですが、15万円というのはどう見てもあり得ません。それが完全動作品でないなら別ですが。
仮に、同アンプの入札値が15万円以下で推移して、最後の瞬間になっても上がらないようなら、そしてたまたまそこに居合わせていたら、自分もぐっと手が伸びてしまいます。
けれども、このアンプは伝説的なアンプなので、自分と同じことを考えて同じように推移を見ている人が日本全国に最低でも5~6人はいるはずで、最後の瞬間にみんなが妥当だと思う価格水準までポンと跳ね上がってしまいます。(経験的に言うと、競り合う相手が最低3人いれば、価格は妥当なラインに落ち着きます)

そんなこんなで、評価が定まっている製品は、まさに市場メカニズムが働いて、おおよそ妥当だと思われる価格に収斂していきます。

これは、その種の製品は、買った値段とだいたい同じ価格で売れてしまうということを意味します。ヤフオクのような中古品オークションではですね。

McIntosh、Accuphaseといったややハイエンドがかった世界では、丁寧に使い続けてへたらせない限り、おおよそ買った値段で売れるということがあり得る。だとすれば、次のことが可能ではないか、と当時考えたわけです。

▼個人において
1. McIntoshのプリアンプ、例えばC22なんかを30万円で落札する
2. かなり聴き込む。いいなと思う。
3. Accuphaseが気になる。C-290なんかよさそうだ。
4. ヤフオクで探す。なんと、ワンオーナーの美品が希望落札価格30万円で出ている。
5. C22を売ろう。希望落札価格28万円でヤフオクに出そう。
6. バンザイ売れた。即日完売。
7. C-290にすかさず入札。競ってくるやつがいたので、迷わず希望落札価格を入力。落札したぜ。

というパターンがあったとすると、McIntosh C22の販売価格28万円と、Accuphase C-290の落札価格30万円の差額2万円は、実質的にこの人がC-22を堪能するのに使った「使用に伴う対価」という位置づけになります。もちろん送料やヤフオク使用料などの雑費がかかるわけですが、ここではそれを捨象します。

これが今でも、条件付ですが可能なわけです。
その条件とは、①取引相手が真に信用できる人であり、取引自体に何らトラブルが発生しない、②アンプを丁寧に取り扱うユーザーであり、彼/彼女が使用していた期間に、そのアンプの価値を下げるような取り扱いの仕方をしてこなかった、③輸送時などの破損がない、といったあたり。要は、信用する相手と、瑕疵が生じていない商品を取引できるということです。

これが可能だとすると、拡大解釈して、昨日書いたようなことを考えてみることもできるようになるわけです。

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