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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

GyaOもmixiもよく利用されているとは言うものの

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そろそろ、消費者の可処分時間をどのプレイヤーがどのように取っているかという発想で見なければならない時期に来ているように思います。

今日、ネットTV系の調べ物をしていて、非常に興味深い調査報告書を見つけました。「メディア・ソフトの制作及び流通の実態に関する調査研究」総務省・情報通信政策研究所(平成18年6月)

なかなか野心的な報告書だと思います。世に流通しているコンテンツの全体的な量や売上を把握し、産業としてどれほどの規模になっているかを理解しようというものです。ゲームも入っています。パッケージのもオンラインのも。新聞、雑誌なども一種のコンテンツとして把握対象に入っています。

ざっと見ていくなかで、目が点になったのがp30にある「図表5-3 メディア・ソフトの市場規模・流通量(2004年)」の表。
「流通量」として各メディアの「時間」が集計されています。

映像系ソフト
映画ソフト 64.6億時間
ビデオソフト 3.6億時間
地上テレビ番組 1,558億時間
衛星テレビ番組 110.7億時間
CATV番組 0.3億時間
ゲームソフト 2.9億時間
ネットオリジナル 0.4億時間

映像系ソフト合計 1,741億時間

音声系ソフト
音楽ソフト 33.4億時間
ラジオ番組 275.1億時間
ネットオリジナル 0.005億時間

音声系ソフト合計 308.5億時間

双方の合計は2,049.5億時間(時間の算出方法はp26~28で説明されているので、興味のある人はそちらをお読み下さい)。子どもと高齢者は除いて考えるとして、15歳~64歳の人口8,418万人(2006年3月時点)で割ると、1人当り2,434時間。1日当り6.7時間となります。
この調査では、セルビデオのようなジャンルについては、売れた本数×再生時間で数字を取っているので、購入されたけれども実際には見られていない時間というのは勘案されていません。また、テレビなどは述べ視聴時間を使っており、細かく言えば、テレビをつけっぱなしにしておいて他の事をやっているというパターンも考慮されていません。
従って、1人が毎日6.7時間を確実に映像系・音声系コンテンツに投入しているとは言えないわけですが、この時間を「可処分時間市場」(それも映像系と音声系に限った部分)のおおよその最大値と捉えることはできると思います。
同報告書によると、過去4年のメディアコンテンツの生産量はほとんど横ばい。従って、市場は飽和していると言え、これよりは増えようがありません。(生産が増えても視聴されないコンテンツが増えるだけということに)

自分としては1日6.7時間というのは、どう考えても多すぎるように思えるので、2割間引いて5.3時間ぐらいを基準にしたいところ。で、そうしましょう。

1人当り1日5.3時間のメディア投入。これを基準にすると、例えば、GyaOの視聴行動はどう見えるのか?
6月17日付USEN発表のプレスリリースによると、同社の視聴登録者数は1,000万人超。そして総視聴時間というのが出されていて、5月の総視聴時間は約1,450万時間となっています。1人当り1ヶ月に1.45時間ということになります。これは多いのか少ないのか?実稼働率を大雑把に3割ぐらいで考えるとすれば4.8時間。かなりよい数字だと思います。

一方、mixiはどうなのか?2006年6月28日付けITproの報道によると、ネットレイティングス調査のデータとして、mixiは、1人1ヶ月の利用時間が4時間28分と出ています。USENの実稼働率を3割とした時の数字とほぼ同じ水準ですね。

しかし、平均的な人が、1ヶ月に、GyaOにだいたい1日分、mixiに同じく1日分の時間を使って、あとの28日は何を見たり聞いたりしているんでしょうか?既存のメディアを見たり聴いたりしてるんでしょうか?

そのギャップを考えていると、どつぼにはまってしまうので、やはり今日び、個々の消費者が可処分時間をどう使っているかを把握するためのリサーチサービスが必要だということになってきますね。結論はそれということに。

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