オルタナティブ・ブログ > イメージ AndAlso ロジック >

ヴィジュアル、サウンド、テキスト、コードの間を彷徨いながら、感じたこと考えたことを綴ります。

復刻版 ウェブコラム:1997年「VRML1.0入門」(1)「ウェブページの現状」

»

復刻版 ウェブコラム:1997年1月「VRML1.0入門」(1)「ウェブページの現状」

いまVRMLが注目を集め始めています。
その理由は、ホームページ上で実現できるユニークなインタラクティヴィティにあります。
VRMLについて語る前に、まず、ウェブページの現状と方向性について確認しておきましょう。

静止ウェブページ

【HTML+CSS】
静止ページに占めるHTMLの割合が減少し、スタイルシートが使われるようになります。スタイルシートではTrueType Fontを扱うことができ、タイトル文字を画像扱いで作成する必要がなくなります。
もっとも現状では、まだ、1文字単位の字詰めや文字幅にもこだわるプロのデザイナの要求を満足させるレベルのものではありません。

【PDF】
Adobe Acrobat(日本語版は1997年4月発売予定)により、ホームページのレイアウトはHTMLの呪縛から、かなり開放されるように思われます。DTPデザイナーなら誰しも大きな期待を寄せるでしょう。
ただ、現時点では、Adobe Acrobat Reader日本語ベータ版は、フレームを入れ子にして表示すると誤動作しますし、他のプラグインとの相性がよくありません。Adobe Page Maker(当時はAldus)でMSゴシックについてのみ発生したバグが再現されています。reloadすれば表示されます。どの時点でマスプロ品となるのかは分かりません。

【データベース】
今後、データベースを利用するタイプのホームページが増えていくでしょう。
ネットスケープとオラクルの技術のみならず、マイクロソフト社の「Active server Pages」や「Dynamic HTML」といった、データベース利用に役立つ新技術が目白押しです。「Dynamic HTML」はコラボレーションでのウェブ制作には最適です。

わたしがディレクションしている地域ポータル(※翌1998年、NTT&三菱総研の「Community of Internet」に選定)では、これらに期待を寄せ、「鑑賞する」と「情報を得る」とを別個の行為としてとらえた上で、企画する方向で進めています。
スタイルシートやAdobe Acrobatはデザイン性を重視したページ作成に役立ちます。一方、データベースは、情報重視のページ制作に適しています。
NECのウェッブステージが同様の感覚の製品になっていくと思われます。マイクロソフト社の新製品の行方も含めて、これからの技術革新が楽しみです。

ウェブページはこれからますます軽く読みやすく利用しやすいものになるでしょう。

インタラクティヴなウェブページ

さいきん、JAVAアプレットやJava Script使用のページが多く見受けられるようになってきました。
特に多いのが、HTMLの中に埋め込んで使われるスクリプト言語、Java Scriptを使用したページです。マウスカーソルが通過するとアクションが発生する楽しいものが見受けられます。JAVAアプレットについては、ゲームでの使用が多いようです。

また、パソコン上でアニメーションを表示できるブラウザの拡張ツール、Shockwaveも、急速に普及してきています。

さらに、Active Xです。
この技術は、インターネットを根幹から変革します。

Active Xは、マイクロソフト社が開発した、インターネット上にデスクトップアプリケーションを移植する技術で、Active Xコントロール、VBScriot、Active Xドキュメント、サーバー上のスクリプト(ISAPI)からなります。1台のパソコン上で実現されるOLEを、インターネットを介して実現することができるようになります。

Active Xは、ユーザのビジネスそのものを変革していきます。私たちはローカルディスク上のアプリケーションを使っているかのような感覚で、Webベースのアプリケーションを使うようになります。
Active X Doc Objectは、インターネットの核になりうるでしょう。アプリケーションはコンテナの中で実行されますから、距離や時間を越えて、同じアプリケーションを使いながら、ビジネスを進めることができます。
Active Xは、インタラクティヴな作業環境を実現します。

VRML

そして、やっと本題にたどりつきました!
VRMLです。

最初のVRMLビューワのベータ版が発表されたのは、1995年5月。
2年もたたないうちに、これだけ技術が発達するのですから、驚きです。
Netscape Navigator 2.0用の VRML 1.0プラグイン「Live3D」が発表されたのは1996年2月14日、まだ1年も経っていません。
その後の VRML 2.0 仕様の策定スピードには、すさまじいものがあるようです。

7年ほど前、ビデオキャプチャボードがまだ高価だった頃、マルチメディアタイトルを手がける事務所がポツリポツリと現われ始めました。デジタルカメラが電子スチルカメラと呼ばれ、なかなか入手し難かった時代です。
その頃、サンプルタイトルとして多かったのが、大手建設会社のものでした。
パースの画像を画面上に表示した上で備品を選ぶなど、インタラクティヴな要素は当時から重視されていました。

このマルチメディアタイトルに触手を伸ばした建設関係企業とVRMLは、切っても切れない関係にあります。
VRML技術で実現される仮想空間こそ、待ち望まれていたものだったはずです。
ですから、VRML といえば、サンプルとして真っ先にあげられるのは、建築パースが3次元になったものです。私たちは、3次元の仮想空間に入り込み、その中を歩くことができます。

VRML は、物体をいろいろな角度から見る環境を実現します。
VRML 仕様のバーチャルガールなら、背後から正面に回り込んで、後ろ姿だけでなく、顔も見ることができます。

目次ページに戻る

Comment(0)