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食事内容を見直すだけで、20kgダイエット。65歳男性、3カ月で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)から脱出!

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3カ月間、食事内容を見直しただけで、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)患者の肝機能が劇的改善!という実話である。
食事内容が変わったら、ダイエットにも成功。3カ月目で14kg。半年後の現在は20kg近く痩せた状態で、リバウンドなく安定している。
しかも、この患者、基礎代謝の高い若者ではない。65歳、運動嫌いの在宅ワーカーである。
担当医も、ビックリ仰天なのだ。

以前このブログで書いたように、筆者の相方(コラボレーション・ユニットのプログラミング担当、薬師寺国安、65歳)は、サラリーマンをやめてフリーになってから、あれよあれよという間に太り、ついには、脂肪性肝炎の通告を受けた。肝硬変から肝がんに移行する恐れもある病気だ。

アルコールは1滴も飲めない、樽抜き柿で真っ赤になるほどの下戸なのだが、いかんせん、恐るべき甘党。ケーキ、ドーナッツ、アイスクリーム、チョコレート、かりんとう、に目がないときている。炭水化物大好き、脂肪の多い肉が好き。にもかかわらず、スポーツには全く関心がない。NASHには、なるべくしてなったようなものである。

メタボ健康診査でひっかかり、保健所から呼び出され、二度出向いて指導を受けた。
だが、肝臓は沈黙の臓器。痛くも痒くもないものだから、生活も食事も一向に改善しなかった。
業を煮やした筆者が、数年前に「今日も歩こう!」という歩数をカウントして記録する Windows Phoneアプリを作り、相方に動作確認を依頼して、これをきっかけにウォーキングの習慣ができればと目論んだものの、廊下を数十回往復しただけで「正常に動作してるよ、バグはない。」その一言で終わってしまった。(しまった、バグをしのばせておくんだった!)

そのような具合だから、体重も減ったかとおもえばリバウンドを繰り返し、健康診断結果は悪化の一途。

ついには、昨年7月の検査で、肝機能以外にも赤信号が。
血糖値が124(基準範囲は70~109)、HbA1cが6.7(基準範囲は4.6~6.2)となったのである。これには本人、大慌て。
「糖尿病にはなりたくない!好きなものが食べられなくなる!それだけはイヤだ!」
というわけで、ようやく生活改善を決意。

相方が採用した方法は、食生活の見直しだった。

通常、こういった生活改善には、食生活の見直しと運動を併行するものである。
だが、相方に言わせれば、ウォーキングなんぞすると、おなかがすいて、空腹に耐えられずに食べてしまい、逆効果なのだそうだ。

かくして、食事療法が始まった。

とはいっても、相方が食事内容を考えるわけではない。なにしろ、パソコンが好きすぎて、それ以外の作業はしたくない人間だ。料理は苦手、一人メシも嫌い、買い物は億劫、と3拍子揃っている。長時間かかる開発環境の構築よりも、100メートル先のコンビニに行く方が面倒くさいらしい。
そんなだから、筆者が頑張る必要がある。筆者の料理スキルがASTとALTを決めることになるといっても過言ではない。(本人が、ストックしてある菓子や果物をつまみ食いしなければ、という条件付きだが)

できるだけ速やかに、肝機能・尿酸・血糖、この3つを改善しなければならない。
検査は毎月1回、月初め。相方のモチベーションが下がらないよう、筆者が考えたのは、優先順位をつけ、段階を追って、目標を達成していく方法だった。
・1カ月後の、8月の検査までに、まずは血糖値を改善する。
・9月の検査までに、尿酸値を改善する。
・10月の検査までに、肝機能を改善する。
・11月には、ほぼ健康といってよい状態にする。

食事の内容はといえば、ペスクタリアンの食事に、脂肪の少ない肉を時々追加したようなものだ。
ペスクタリアンの定義に確たるものはないが、ときどき魚を食べ、稀に卵や乳製品をとる、草食系の人、といったところだ。海の幸に恵まれた日本の伝統的な食事、に近い。
筆者は、環境問題と嗜好(生の魚肉と脂が苦手)から、長年そのような食事をしてきている。その筆者の肝機能は良い。そこで、自分の食事をベースに献立を考えた。

それに、二人の食事内容はできるだけ同じであるほうが、買い物や調理も省力化できる。
なにしろそれまで、相方には、筆者の食事とは全く異なるものを用意していた。それも毎日である。相方は、顧客との打ち合わせでもなければ外食はしない。365日、三食、家で食べる。(そのうえ筆者は、別居の高齢者のおかずも作っているので、三人分作り分けである)
たとえば毎月29日(肉の日)には、相方には250gの和牛のヒレを買ってきて、Geoのフライパンで焼き、ガーリックをきかせたグレイビーソースのかかった飯と肉を美味そうにほうばる前で、筆者はご飯にお味噌汁に小松菜の煮浸しなんぞを食べ、特上握り寿司に下鼓みをうつ相方の前で、筆者は納豆巻きとカンピョウ巻きを食べていたのだ。

そうした食事内容の見直しの結果、下図のとおり、3カ月で、ASTとALTが基準値の範囲内に。NASHは脱出できた。昨年末には、ほぼ健康といってもよい数値になっている。
それまで服用していた血圧降下剤と肝機能改善薬も、中止できた。

食事内容を見直したら、体重も、83.6kgから64.8kgまで20kg近く減った。
臨月の妊婦のようだった腹は萎み、本人は、足の爪を切りやすくなった!と大喜びだ。服のサイズは3LからL~LLになった。
現在は65kg前後を維持しており、適度に、どら焼きやフライドチキンも食べている。クリスマスには生クリームいっぱいのホールケーキを一人で平らげたが、それでも、今年2月の検査では、数値は横ばいである。もう、健康を取り戻したといってよいだろう。

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脂肪性肝炎の潜在患者数は多い。我が国の健康保険制度を揺るがす一大問題になりつつある。いや、すでに、大問題になっているといっていい。少子高齢化が進み、介護離職者が増えるなか、健康寿命を延ばすことは急務であろう。

しかしながら、脂肪性肝炎の治療法は確立しているとはいえない。それ以前に、確定診断の難しい、まだ不透明な部分の多い病気である。
それゆえ、NASHと診断されたが最後、肝硬変、肝がんへと進行するのではないかと怯える患者もいるにちがいない。

だが、NASHは、不可逆的ではない。食事内容を見直すだけで、改善する可能性があるのだ。NASHと診断されたとしても、諦めたり、絶望する必要はない。

では、具体的には、どのような献立の食事を、どの程度食べればよいのか?
それを書くと長くなる。非常に、長くなる。ザッと見積もっても、100ページ以上になる。ブログに書ける量ではない。
そこで、ブログ以外の方法で提供すべく、執筆に着手したところだ。

昨年7月以降、相方は、facebookに毎日の体重と目標を投稿し、「いいね!」を励みとしてきた。それ以前から、毎日2回は血圧を記録している。
また、筆者の家事はすべてExcel頼みであって、献立はデータとして残っている。
それらの実データをふまえて、食事療法の考え方・献立・調理方法を、まとめようとしている。

この企画を相方に伝えたところ、データの提供と公開を快諾した。
もっとも、情けないことに、渡された血圧手帳は手書きであった。数字の羅列にウンザリしながら入力し、校正を終えた。

こういった情報は、消化器内科の医療にたずさわる人々にも有益であろう。
医師にとっての患者は、開発者にとってのユーザーのようなものである。ユーザーの声に耳を傾けることから、より良いユーザーインタフェースが生まれることもあるように、患者や患者家族の声が、医療に役立つこともあるのではなかろうか。

じじつ、短期間の食事改善だけで改善した例は珍しいらしく、相方の担当医は劇的な数値の変化に驚き、食事内容を尋ねたとのことである。

相方は健康を取り戻した。だが、引き続き体重を維持する必要があることから、相変わらず筆者は毎日食事を用意し、おやつを管理している(管理しなければ、"筆者用の" 井村屋のあずきバーが知らぬ間に消えていくのだ!)。
家事と介護のため、執筆に使えるエネルギーは、ごくわずかしか残っていない。時間はかかりそうだが、できるだけ早く、情報を公開できるよう、がんばってみたい。

※図中の年月日は報告日であって、検査日はその2~3日前である。一枚の画像にするため、報告日の部分だけ切り貼りしている。
※総コレステロールが低いのは、HDLの値が低いことから、LDLとの比率を考慮し、コレステロールを下げる薬を飲んでいるためである。HDLが改善すれば、服薬中止も考えられるだろう。

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