IT業界につとめる「雑貨屋(なんでも屋)」が、業界の事、情報セキュリティの事、趣味や日々雑感を綴っていきます。お暇な方はおつきあい下さい。

066.【雑談】ANAのシステム障害で考えた事

»

「春眠暁をおぼえず」

この言葉は中国の孟浩然という詩人の「春暁」に書かれている有名な言葉です。
元の意味は「春は気持ちが良いから中々起き上がれない」という意味らしいのですが、私の場合は日々の業務に疲れが溜まり、中々布団から出られないというものです。

佐藤@IT雑貨屋です。

先週、先々週と九州方面に出張に行きました。
これはシステム障害の切り分けという事で、二週連続の出張でしたが、おりしも以下のニュースが報じられた時期でもありました。

「ANAも大損害...頻発する"システムトラブル"責任はどこに?」
日刊ゲンダイ 4月4日(月)9時26分配信

このシステムトラブルの影響で、本当はANAの飛行機を予約しようとしていたのですが予約が取れず、何とか滑り込みの状況でJALの予約が取れてことなきを得ましたが、システム障害切り分けの業務の出発が、システム障害の影響を受けるというのも、なんだかなぁ~という感じがしました。

AS20160322000701_comm.jpg

今回のANAのシステム障害ですが、どうやらネットワークスイッチの問題が原因であったと言いますが、ついぞこの業界に長く生きている私としては「本当にそれだけなのか?」とついつい穿った見方をしてしまいます。

ANAのシステム障害、原因はネットワーク中継器の故障 予備機にも切り替わらず
ITmedia ニュース 3月31日(木)16時9分配信

このANAのシステム開発を請け負っているのは、いわゆる「大手SIer」だと思うのですが、実際に構築に携わるエンジニアの中には二次請け、三次請け、もしかしたら四次請けなども居たのではないでしょうか?

よくある事なのですが、大手のSIerが受注した場合、「管理稼働」という名目で受注金額を中抜きして、下請けなどに発注します。
それがいわゆる「土建業界」と同様に、二次請け、三次請けで中抜きされて、実際にエンジニアの手元に入るのはひどい場合には受注金額の半分程度の単価という事も良くある話です。

こうなると下請け会社などは兎にも角にもエンジニアの回転率を上げなければ売り上げは確保できないので、エンジニアに必要な技量習得よりも、多くの現場をひたすら回す事に専念してしまう事から、本来、「モノづくり」を行うエンジニアに必要な技量やモラルなどを維持させる事も困難になったりします。

その結果として、開発するシステムには様々な潜在的な問題を埋め込んでしまい、結果、何かのタイミングで問題が発生するというのは、この業界では良くある話です。

問題発生時、「管理稼働」を取っていたSIerにも技術的な知見があれば、いわゆる「炎上」する事を最小限に抑える事も出来るのですが、エンジニアの取り回しになれてはいても、実際の技術に暗い社員の場合には、初期挙動に不手際があり、結果として大炎上する場合もあります。

今回のANAのシステムトラブルにしても「ネットワーク中継器が故障した場合に発するはずの「故障シグナル」が発信せず、予備機にも切り替わらなかったという。」とありますが、その初期段階の対応で問題は無かったのでしょうか?

私がこの業界に入ったころのシステムとは、多くがスタンドアロンでしたので、今ほど社会に大規模な影響を与える事はありませんでした。

しかし最近ではインターネットを介して様々なサービスを提供し、そのシステム構造も複雑化しています。

本来、こういったケースではエンジニアの専門化が必要と思うのですが、先にあげた様な業界構造では、専門知識と経験を持ったエンジニアの育成というのは困難になってきています。

特に危惧するのは派遣でひたすら様々な現場をまわされる若手のエンジニアが多いという現実です。

これでは「本当のエンジニア」が育つ土壌というのは、極めて少ないのではないかと思うのです。
また派遣要員として扱われる事から、エンジニアのモチベーション自体も維持するのは難しいのではないでしょうか。

これから「IoT」という言葉で、より私たちの生活の中に様々なシステムが入り込んでくる事と思いますが、この業界に長くいる私としては、より危機感を感じてしまったりしています。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。
これからもIT雑貨屋をよろしくお願い致します。

【IT雑貨屋ーホームページ】
http://www.itzakkaya.com/

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する