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056.【業界の話】労働者派遣法改正について③

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佐藤@IT雑貨屋です。
さて労働者派遣法改正について三回目の記事を書かせていただきます。

前回の記事では特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業が一本化され、現在認可制である特定労働者派遣事業はなくなり労働者派遣事業が許可制になるという事について書かせて頂きました。

今回はその続きですが、法律というのはつくづく読みづらいものですね。

法律改正案の条文を入手して読んでみるのですが、条文何条何項とか飛んだり、厚生労働省令なんて書かれている時点で、かなり嫌気がさしてしまいました。

しかしながら私自身の生業の事に関係する事でもあるので、少しづつですが取り組んで読み込むことにしたいと思います。

今回の条文はここからです。

(ここから)

三、運用上の配慮

厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係る労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)の規定の運用に当たり、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮しなければならないものとすること。(第二十五条関係)

(ここまで)

ここでは主管たる厚生労働大臣は「運用に考慮すること」を求めています。

ここでいう運用に配慮するというのは、この法律(労働者派遣法)の運用にあたって「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とする」という考え方を考慮しなくてはならないという事です。

なんだか難しい言葉ですね。

この事について参考に「労働者派遣法の現状と課題」という論文を読んでみました。これは厚生労働委員会調査室 山下 孝久さんという方が書かれた論文です。

この中で運用上の配慮について以下の様に書かれていました。

「労働者派遣法第25条(運用上の配慮)は、制度を運用するに当たっては、我が国の雇用慣行との調和のもとに行われるように配慮しなければならない旨を定めているが、厚生労働省は、ここに「常用代替を防ぐ」という考え方が含まれ、法制定以来変わっていないとの見解である。派遣が可能な対象業務や派遣期間の在り方については、事業創設の趣旨に立ち返って、常用雇用の代替防止の立場と、失業緩和と企業競争力強化のための労働力調整手段としての立場の、いずれに重点を置くのか議論を深めるべきであろう。」

正規社員の雇用となれば、人件費は事業運営でも固定的な経費として考えなければいけないところ、必要に応じて必要な期間に、必要なスキルの人を「臨時」で雇い入れる事。これが派遣労働の基本的な考え方です。

これは正規社員を雇用する事と比較して、派遣社員を雇う事の方が企業にとってはコスト削減につながり、ここから簡単に言えば低賃金の派遣社員を「あたかも正規社員の様に継続的に」雇用するという事は「常用代替」となり、それは不安定な低賃金労働者を生む事にもつながります。

だから「運用上の配慮」では「常用雇用の代替防止」と「労働力調整手段」という立場のどちらを重点に置くのかしっかりと考慮して法律を運用する事を規定としているのでしょう。

でも実際に派遣の現場はどうなんでしょうね。

大企業では昨今の「コンプライアンス(法令順守)強化」という流れもあり、あまり問題を見聞きする事は無いのですが、一部の企業ではこのあたりがなし崩し的に崩れている事も見聞きします。

派遣労働では派遣元に労働者が「契約社員」で雇用されているケースが多くあります。契約ですから業務の内容や時間、期間などが細かく定められています。しかし派遣ですから労働者が実際に働くのは派遣先の企業です。

派遣元と派遣先の間でも契約は取り交わしているものの、実際の力関係として派遣元は仕事を「受けている」という立場から弱い立場でもあったりします。

だから派遣先の指揮命令者(実際に労働者が業務命令を受ける人)から、存外な指示を受けたり、本来契約内容には無い業務をさせられたりする事もあります。

派遣された労働者からすると、社員がやる事と同等もしくはそれ以上の仕事を持たされ、しかも賃金や待遇が社員とは桁外れに劣っているという事もあり、やりきれない状況にもなりますよね。

私自身、こういった「常用代替」では無いのですが、本来社員がやるのではないかという仕事をさせられた事が以前にあります。

それは今の職場ではないのですが、以前にある企業に「客先常駐」で開発系の仕事をしていた時の事。システム仕様変更の説明(簡単に言えば設計ミスのお詫びと今後の説明)を客先の部長行う為に、リーダー・コンサルタントに同行して行く予定があったのですが、当日の朝になってリーダーから連絡が入り、急きょ会議で行けなくなったので、一人で行ってくれと言われました。

こちらはプロジェクト全体のリーダーでは無かったのですが、設計ミスである事、またお客様には常駐先のエンジニアとして挨拶している事もあり、一人で部長説明に行き、みっちり一時間お小言を頂戴しながら仕様について説明、承認を頂きました。

実は先方の部長も薄々ではありますが、私の立場も理解していた様で、帰りがけに「佐藤さんも大変ですね」と言われましたが、言葉をうまくごまかして帰って来ました。

「労働者派遣」とはそういった側面もあるので、主管大臣がしっかりと考慮する事を法律で決めてはいるのですが、果たしてこの条文はどれだけの意味があるのでしょうか。

今の日本では多くの企業では「派遣労働」に依存する形となっています。

そうでれば派遣労働という事と、実際に派遣で取り組んでいる労働者に対して、もっと配慮してほしいものですが、どうも実態は違っているようですね。

そして今回の労働者派遣法の改正案でも、そのあたりに大きな「掛け違い」起きていると思いますが、それはまた次回以降に。

ここまで読んで頂きありがとうございました。
IT雑貨屋をこれからもよろしくお願いいたします。

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