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1994年に予想された10年後の情報社会:Information At Your Fingertips 2005 (動画へのリンク付)

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ついに、というかやっと、iPhone を買いました。ジャズでもチックコリアのWindows とか、ポールチェンバスのMr. P.C.を愛する私なのですが、いいものはいいなと感動しました。これこそ、「指先から情報」"Information At Your Fingertips 2005"だなと感心しました。リンクは切れるかもしれませんが、ここから1時間の動画が見られます。「マイクロソフトが10年以内に実現するぞ!」という意気込みで語られ、そして、みなそうなるだろうと思わされたこのプレゼンテーションは大げさに言うと、ケネディ大統領の10年以内に人類を月に送り込んで帰還させるという演説みたいなものです。
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小額支払いが手軽にできるワレットPC、双方向無線テレビ、子供が簡単に使いこなせるマルチメディアオーサリングツール、などに感心しました。実際、「お財布携帯」は広まっていますし、双方向テレビ会議も広がっています。マルチメディアオーサリングツールは、子供がニコニコ動画用のアニメを作っている様子から、実現済みと言ってもいいかもしれません。また、次のPowerPointも良くなると効いています。

ちなみに、Internetはマルチメディアというくくりの一つとして、Mosaicとホワイトハウスのサイトという94年当時一番有名なサイトが紹介されています。イースト現社長下川さんのレポートで当時の熱気や環境が分かることでしょう。

ビジュアルパソコン通信Microsoft Network(開発名Marvel)や先ずはユーザーサポート用のMicrosoft TVも発表され、百科事典CD-ROMタイトルであるBookshelfなどのデータを配信する仕組みが既に構築されている。
 このネットワーク、Intuit社の吸収合併、財布PC、VISAカードとの業務提携、これらの点と線をつなぐと「Microsoft Digital Money」と呼ぶべき構想が浮かび上がってくる。

無線双方向通信でテレビ会議とかやっているくらいだから、CD-ROMやその次のディスクメディアの情報ぐらいネットですぐに送受信できるだろいう、ということは誰も思いつかず、マルチメディアCD-ROM市場が広がると予想していた時代でした。

また、クレジットカードの情報を安全にやり取りするにはどうすればいいのかをみな真剣に考えていて、クレジットカード番号と有効期限だけで売買できてしまうようなサイトもある世が来るとも予想していませんでした。

次世代パソコン通信として期待されたmsnは、Internetに敗れます。また、使いやすかったかというと、現Ayudante社長の安川さんがユーザビリティテストされた結果の衝撃が記憶に新しいです。ともかく、

Bill Gatesのビジョンは悪くはなかったのですが、Internetという機軸がずれていました。そのずれは、翌年、1995年12月7日(US時間 日本時間で12月8日)、パールハーバーの日に行ったInternet Strategy Day で大きく方向を変え、豹変して新しい未来へと進みます。

今のマイクロソフトも、製品を出して、売れそうだけど問題があるという場合には、パッチを出しながら、よりいい次の製品をどんどん出して市場のニーズに合わせる。そういう個別最適な動きはマイクロソフトは上手いと思います。しかし、組織が複雑化し、巨大化する中で、あの95年の12月のように大きく方向を変えられるのか?事業部の壁が法律的な制約もあって高くなり、一体的な製品提供ができていないのではないか?という指摘もあります。Windows 7に見るMicrosoft事業部間の"壁"(Impress PC Watch by 元麻布春男氏)

世の中は変わるときには一気に変わります。これから10年後にどういう未来が待っているのか、それを見られることを楽しみのしています。

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