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WWDCキーノート講演終了直後の雑感

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グローバルプラットフォーマーの世界戦略

WatchOS3の機能、手書きで文字入力ができるScribbleは英語、中国語に対応。macOSのApple Pay on the webは英語圏諸国に加え、中国、シンガポールで初期サービスイン。オープンになるSiriやロックスクリーンでの音声着信はWeChatなどが初期対応。

中国向けのサービスが軒並み展開される中、日本に対してはAppleが積極的に動いている状況ではないように見えます

Apple Payは、日本国内でFelicaが浸透しておりApple Payの本サービスが展開できていない状況を考えますと、日本が後回しになるのはある意味仕方がない面もあるかとは思います。とはいえ、手書き文字認識については、中国語で出来るのであれば、やろうと思えば日本語でも出来たはずです。そこは戦略的に日本よりも中国を優先したということです。

中国の人口・経済の規模を考えれば、世界企業であるAppleが日本よりも中国を優先するのは当然と言えます。加えて、日本においてはApp Storeの傾向も他の国々と異なる「ガラパゴス化」が進んでいます。日本発のプラットフォームではない以上、日本と他の国々で秤にかければ、日本の優先度が下がるのは仕方がないでしょう。

とはいえ、日本の市場規模を考えれば、単純に日本市場を「いらない」とはAppleも思っていないはずです。日本市場はいらない訳ではない、出来るのであれば確保したい、ただ、日本市場は謎が多くコストを掛けて取りに行くのはリスキーだ、というのが現実的な判断だということになるでしょう。そして、日本の状況を考えれば、Appleだけでなく、Googleも、Amazonも、グローバルなプラットフォーマーは同じことを思っている可能性は高いといえます。

大前提として、日本経済の維持・発展のためには、グローバルプラットフォームにおける日本の優先度は上げるべきです。プラットフォームの先進的なサービスの日本展開が遅れれば、日本の企業がその技術を獲得する頃には他国の企業がデファクトスタンダードになってしまい、日本企業の入り込む余地はなくなります。日本企業が成長するためには、そのチャンスをつかめる状況になければなりません。グローバルプラットフォーマーに対して、日本へ、日本市場への投資を促すことは、絶対に必要です。

日本の取るべき道

しかし、リターンの見えない市場に投資する会社はありません。日本市場が「今までどおり」であれば状況は変わりません。まず必要なことは、日本市場がグローバルスタンダードに則って「リターンの見える」市場になり、コストを掛ける価値があるかどうか判断出来るようになることです。

日本人が日本企業や日本企業の品質を無自覚に信奉している中では、日本市場が海外企業を冷静に判断していると信じてもらうことは出来ないでしょう。そして、日本品質を無自覚に信奉していること自体が、日本製品の品質を下げ(皆さんどこかの企業を思い出すことでしょう。そして、その状況はその会社だけではないはずです。)、気がつけば海外製品に日本製品が負け、「日本市場」というものの存在自体を危うくする将来を招きます。

まずは、我々が日本の製品と海外の製品を真摯に比較し、勝っている点、負けている点を世界の消費者の視点で考えなければなりません。それは、中国や韓国の製品など、日本人が無意識に品質を下に見ているようなものも含めてです。

誤解して頂きたくないのは、日本品質を捨てろと言っているのではないということです。日本品質には、日本人だけでなく世界の人に対しても訴求する力があると思います。ただ、それが消費者が求める正しい方向に向いているのか?というのは考えなければなりません。

日本人が日本と世界を正しく評価して初めて、世界が日本を正しく評価することになります。そうして、日本が正当に評価される土台があってこそ、日本市場に向けての投資を求める前提が満たされるのです。

以上、本日のWWDC Keynote講演を受けての雑感でした。

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