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マーケティングコンサルティング会社「サイコス」CEOの大航海ブログ

震災後のニッポン。20~30代が学ぶべき、米国ヨシダソースの成功物語。

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東日本大震災から5ヶ月が経ち、被災者の心の病気に目が注がれている。時間も経った今、家族や親しい者を失った喪失感、先の見えない暮らしへの不安から、絶望感を抱く人やアルコール依存症になる人が増えているという。多くの被災者が長年勤めた職場を無くし、これからどのように生きて行けばよいのかわからず不安な日々を送っている方も多いと聞いた。

戦後の貧しい時代をがむしゃらに生きてきた世代は新しいスタートを切るには難しい年齢になり、草食系と呼ばれる若者たちにはがむしゃらというコンセプトはない。しかし、今こそがむしゃらにがんばる人々が必要とされている。自分には何もないと思っている人は多いが、何かを始めるには高度な技術や学歴が必ずしも求められるわけではない。

吉田潤喜という人物をご存知だろうか。米国ヨシダソースの創業者で、現在、ヨシダグループとして18社を抱え、グループの会長を務めている。1969年19歳の時に単身アメリカへ渡り、不法就労者として最低の仕事をしながら、やがてチャンスを掴み、東洋人が成功するのは難しいと言われる米国で、俗に言うアメリカン・ドリームを手に入れた人物だ。吉田氏は大学も出ていなければ、英語が堪能という訳でもなかった。吉田氏は誰もが持っているごく身近なものをビジネスにした。「おふくろの味」というやつだ。

彼は、強制送還を免れるために、授業料の代わりに空手を教えながらコミュニティカレッジに通っていた吉田氏は現吉田夫人であるリンダさんと出会い、2週間でプロポーズする。夫人の父親に反対されながらも二人は結婚し、吉田氏は空手を教える傍ら、皿洗いなどの雑務をしながら生活を支えていた。しかし、1980年カーター政権末期不況が襲い、道場の生徒は激減、その日その日をどうにか食いつなぐ日々を送るようになる。3人目の子供が生まれようとしている時期だった。1981年、クリスマスに道場の生徒たちからクリスマスプレゼントを贈られたが、お返しを買うことなどとてもできない。お金をかけずとも心がこもっていればいいと夫人に言われ、悩んだ末に思いついたのが、日本にいる母親が営んでいた焼肉屋の、醤油、みりん、砂糖を8時間煮込んだソースだ。

吉田氏は、このソースを作ってビン詰めをし、夫人がリボンをかけて生徒達にプレゼントした。これが『元祖ヨシダソース』の誕生である。そのソースは生徒達に「美味しい」と言われ、リピーターが増えていった。「お金を払っても・・・」という生徒が出始めたころ、吉田氏は「商売になる!」と信じて道場の地下を使い、1本ずつ丁寧に「ヨシダソース」を生産した。こうして1982年、そのソース一つで「ヨシダフーズ・プロダクツ」が誕生した。

 しかし、突然現れた東洋人の製品を置いてくれる食料品店はなかった。諦めずに説得を続け、やっと1日だけ商品を置いてくれるという店を見つけた吉田氏は当時の米国では珍しかった店頭実演販売を行った。実演販売をやる以上、「目立ってナンボ」と思った吉田氏は、着物、下駄、カウボーイハットという何ともミスマッチな格好で「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい」と持ち前の人を楽しませるのが好きな「芸人魂」で買い物客を集め、徐々に売れていった。家族の生活がかかった「ヨシダソース」の成功を全く疑わなかった自信は現実となり、後に大手のマーケットチェーンにて置いてもらうことに成功したのである。

 その後、2度ほど大きな危機に見舞われたが、それを乗り越え、アメリカン・ドリームを手に入れた。経営困難に陥った際に手を差し伸べてくれたのはあれだけ結婚に反対していた義理の父だった。30年間コツコツと貯めた全財産を貸してくれたのだ。あるインタビューで吉田氏は語っている「金儲けと思ってやってきたら途中で挫折していたと思う。恩返しをしたい一心でがむしゃらにがんばってきた」

 言うまでもなく、吉田氏の頃とは時代が変わり、市場はグローバル、多様化されている。ただ良いものを作り、がむしゃらにがんばるだけでは成功できない。しかし、以前にもある記事で書いたように今の日本には雑食系が必要だし、今だからこそ「がむしゃらさ」が求められるのではないだろうか。

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