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きっかけはソーシャル、ヒントはダイバーシティ、大切なのは思い。

複雑な問題はダイアログで探求する

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先日、「アソシエイト(仲間)をつくるということ」でも紹介した『「未来思考で、多様な人が集まる学習と創造の場」検討会』の第2回を開催しました。

今回は初回アンケートの中で、コアメンバーとしてこの企画に参加したいと手を挙げてくれた人限定で、「お互いのことをより知ること」と、「今後の方向性を何となくでもイメージできること」をゴールに話し合いました。会場は、コクヨのworksightを運営している山下さんの好意により、エコライブオフィスで開催し、山下さんも加えて9人で3時間半みっちりと話し合う場となりました。

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チェックイン

今回のファシリテーションは、オルタナティブブロガーでもある吉沢さんが進めて頂き、非常に安心と信頼ができる場で、深い話し合いができました。吉沢さんは、ヒューマンバリューという人事コンサル会社出身であり、場の設計と進行のプロでいくつかの手法であっという間の3時間半でした。

まず最初に、「お互いのことをより知ること」にもつながる”チェックイン”から始まりました。チェックインとは、今自分が何を感じているかを率直に話し、今日どういうことを期待して来ているのか?を各自一方的に話すということでした。質問も一切なく、とにかく数分ですが話をする人があるがままに話す時間です。話す順番も決まっておらず、話したいと思った人から順番に話をしていくというスタイルでした。

The Westin Dublin Hotel - 26/10/2009 - Ireland - The entrance logo - to be found at both sides - plus the main-entrance of this 5 star hotel in the heart of the city! Grand in the city!

今自分が何を感じているか率直に話すというのは、今の自分の気持ちや状況を知ってもらう、例えば「子供が熱を出したと聞いてその後の様子が実は気になっている。iPhoneに連絡が来るかもしれないのでiPhoneが気になる。」というようなことを話すことで、みんながなぜ彼はiPhoneをちらちらと触っているのか、相互理解を生みことができ、お互いに無理をする必要がなくなります。

また、そもそもこの場に集まったメンバーは自ら手を挙げて忙しい中集まってきた人たちで、どういう想いでこの場に望んでいるか知ることで、その後の話し合いがとても進めやすくなります。チェックインから始まることで、安心感が生まれその後の話し合いにはすっと入っていくことができました。この辺り、通常よくある会社の受け身の会議や、相手の状況や気持ちを考えないで話す場とは全く違う空気だと実感します。


ダイアログ

次に、「今後の方向性を何となくでもイメージできること」を話し合うために吉沢さんは”ダイアログ”をするのにふさわしいと言い、”ダイアログ”についての説明をして頂きました。”ダイアログ”(対話)という言葉は聞いたことがありますが、専門家によるファシリテーションと説明を受けて実践したのは初めてで、非常に素晴らしい時間でした。

こちらの図をご覧下さい。

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ダイアログと会議やフリーディスカッション、ディベートはそれぞれ何が違うのか正直よくわかっていませんでしたが、普段社内でありがちな会議と比較するととにかくポジティブな空気、小川を流れるようなその場に参加者が溶け込んだ心地よさとでも言う雰囲気がありました。

まず、ディスカッションだと意見の対立や「どちらが正しいか」というぶつかり合いが発生しがちです。そんなつもりはなくても個人攻撃のような言い方や、聞いていて気分のよくない、傷付くような場面がないでしょうか?例えて言うと、「朝まで生テレビ」のようなのとダイアログは全然違います。

テレビとして見ている分には面白いのかもしれません。けれどもそこには利害対立の先鋭化しかなく、利害調整や一緒に答えを探し、仲間として助け合いながら目的を達成する姿勢はありません。

ダイアログの場合、意見が違うと、「自分の方が正しい理由を話す」のではなく、「相手がなぜそう考えるのか理解する」ように努めます。その考えに至ったその人の体験や意味を発見し、共有することで相互理解は深まります。さらに意見や考えの違う人の背景や意味を理解することで新たな発見、気づきが生まれることもあります。

そもそもなぜダイアログが必要なのか?取り組むテーマに既に答えがあったり、選択肢が明確でどれを選ぶのか?という場であれば、ダイアログは必要ないのかもしれません。しかしながら、答えが見つからないようなテーマ、今回のように「未来思考で、多様な人が集まる学習と創造の場」とはどういう場か?を話し合ったり、話し合って取り組んでいるものの何度も同じ失敗を繰り返すような問題、話し合いは重ねているものの思考が固定化して抜け出せないテーマなどに向いています。最近ダイアログ(対話)が求められているのは、右肩上がりの経済成長から成熟社会へと向かう中で、またインターネットの普及やグローバル化で問題も複雑化し、答えがない時代がきているからと言われています。


政治も経済も複雑な問題はダイアログで

そんな時代に、YesかNoですぐに答えを出そうとしたり、その背景や意味を理解しようとせず、言葉そのものを取り上げて個人攻撃をしたり、自分の主張がいかに正しいかを声を張り上げても、複雑な問題は解決されません。聞いていると今の日本の政治を見ているように感じました。また日本の大手企業を見ているようでもありました。対立構造だけではもう機能しない、答えが見つからない時代をこの20年は経験しているのではないかと思います。

しがらみから抜け出してフリーランスやノマド化する人たちや、コワーキングスペースやフューチャーセンターでこれからの働き方、社会のあり方を話し合い行動している人が増えているのはそういう背景があるのかもしれません。政治や企業も知識や権限のある人中心で動くのではなく、多様性を尊重し、個人や一企業の視点ではなく、社会的な視点Global Big Issue(世界共通の大きな課題)に取り組むことや、参加者・社員一人一人が安心と信頼ができる場でダイアログ中心の組織に変革することが重要ではないかと思います。

その後、ダイアログであっという間の時間も終わり、ぼんやりと今後の方向性についても深まりました。最後は、”チェックアウト”という、今日の会での率直な感想を一人ずつ思うままに話をし、締めくくりました。

ダイアログ、ファシリテーションは難しいですが、お薦めです。興味のある方は吉沢さんの前職でもある、ヒューマンバリューのサイトをご覧下さい。





 



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