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OpenAIでAI市場は無力化するか?

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Elon Musk氏など米国の著名投資家や起業家たちがOpenAIなる非営利団体を設立したとのこと。

Introducing OpenAI

寄付金は何と1,200億円、技術統括にはGoogleのサイエンティストが就任し、今後100名を超える研究者を採用してAIのソースコードを公開することで、AIが「悪用」されないように「善玉コード」を開発し続けるのだそうです。

将来、AIが暴走して人智を超えるリスクを懸念している人々にとって、主旨は大変立派だと思いました。

ただ、ひねくれ者の私は、どのインタビュー記事にも載っていないうがった見方をしてしまいます。

テクノロジーの世界では、オープンソース化や標準化は市場をある程度まで潰してしまいます。市場というのはあくまでもカネに換算できる市場であり、人気や浸透度ではありません。OpenAIを通じて無料で良質なAIのソースコードが手に入るのであれば、皆それを使い始めるでしょう。同じようなAIに誰もカネを払わなくなるでしょう。OpenAIが提供する無料のソースコードによってこの世の多くのAIは市場価値を失ってしまうかもしれません。

「OpenAI印」が付いてないAIは「悪玉」と見られてしまうかもしれません。とある企業が「悪玉ではなくかなり特殊な使い方をしたいだけだ」と思って開発したAIも、OpenAIのコードでない限り、「悪玉」になってしまう可能性も無きしもあらず。

なにはともあれ、役者と莫大なカネが揃った、ハリウッド映画のような組織の立ち上げ方はいかにも米国西海岸風で面白いと思いました。

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