プロダクトマネジメントとイノベーション

Appleにモノ申した男(だと思う)の着眼点

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Jobs1984_2

今年はMacintoshのデビューから30周年ということで、各誌はApple特集だらけですね。

オンライン版のTimeは、「Appleにモノ申した人たち」という面白い特集を組んでいます。一般人が「Appleはこういう製品を作るべきだ」ということを発言し、ほぼその通りになったケースを集めていますが(NFCなどまだ実現していないものもあり)、この中でダントツで面白いのは、iPod 全盛の2005年、すなわちiPhoneが出る2年前に「Appleは今、iPodに電話機能を付けて世に出すべきだ」と主張したCortlandという人のケースです。

Why Apple must come out with iPhone

OSに関するフォーラムだと思いますが、Cortlandというユーザ名の人が、「経営トップ層は生産性を向上するためにiPodに電話機能を付加したデバイスを求めるはずだ」と主張してスレッドを始めているのですが、他のフォーラムメンバーから袋叩きにあっているんですね。炎上寸前といったところ。

Cortland氏は、経営トップは生産性を上げるためであれば値段は問わない、$500でも買うと述べているのですが、他のメンバーは、「携帯電話が$200しかしない時代にどうして$500の電話を買うんだ?」とか、「携帯電話市場は飽和している、Appleは参入すべきではない」とか、いろいろ反対意見を述べています。

私が実に面白いと思ったのは、Cortland氏と他のメンバーの視点がまったく違うことです。大変勉強になったとも言えます。Cortland氏は、意思決定のプロである経営トップ層が欲しいデバイスは、いつでも持ち運べて意思決定の支援をし、それを伝達できるものだと主張しています。それは携帯型のポータブルPCであり、電話であり、時には音楽が聴けるデバイスなんでしょう。今までに存在しなかった新たな市場のアーリーアダプターのニーズなんですね。

一方で、他のメンバーは、飽和した市場、高価格、スイッチングコストなどの様々なハードルを挙げていますが、要するにCortland氏とまったく違う市場についての話をしているわけです。そりゃ、平行線をたどるわけです。さらにCortland氏は、この新たなデバイスはパラダイムシフトを起こし、PC市場を変えるだろうといった趣旨の予言もしており、びっくりします。

Stevejobsoriginal2007iphone_2

Apple社内でも同じような議論があったかもしれませんが、Cortland氏が新規市場のアーリーアダプターに明確に着目し、その主張を頑として譲らなかったのは、まるでSteve Jobs氏の頑固さを見るようです。

Apple(あるいはSteve Jobs氏)がCortland氏の発言を見たのかどうかは分かりませんが、時代はCortland氏の主張した通りに動きました。そして、iPhone事業はAppleの事業モデルを完璧に変えてしまいました。新規事業の戦略立案ほど難しいものはありませんが、Cortland氏のシナリオベースの着眼点は実に素晴らしいと思った次第です。

そして、フォーラムやSNSでの発言は、慎重にしないと将来恥ずかしい思いをするぞ、と肝に銘じたところです。

Comment(2)

コメント

TETSU

自分はその他大勢の方を支持するかなwww
当時の携帯は使いにくくて、確かに魅力的でなかったし、スマートフォンなるものはさらに酷かった(ノキアなどからスマホは出てたはず)
あとiPodに携帯機能を付けたものは、モトローラから出ていて、失敗しているんだよね。

iPod(touchはまだない)からiPhone(iOS)への飛躍には、もっと多くのことが必要だと思います。
それはCortland氏の単純な読みでもまだまだ足らないかと。
キーボードを無くして、指で操作するなんて・・・それを前提としたOSを開発できるなんて・・・
元々タブレット用に開発されていたOSを携帯電話に流用したってジョブス本に書いてあったと思うが、単にインターネットに接続出来る端末を超えたものはなかなか簡単には想像出来ないかと思います。

hagane

ほら、また本質を見誤ってる人が出て来た。
気を見て森を見ず!
もうひとつ、
「Apple社内でも同じような議論があったかもしれませんが、」
これってお宅の会社を基準にしてますよね?
そんなレベルで世界を変えられる製品を出して行けると思います?
少なくともお宅の会社は良い製品だから売れているっている以外のファクターが大きいてことに気づいたほうが良いですよ。

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