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プロダクトマネジメントとイノベーション

オープンソースを誤解させる人たち

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梅田氏が新刊記念の席で、またもや○○進化論と同じような浅いコメントをしているのが気になりました。Googleなどの企業やオープンソース・コミュニティが「理念」や「精神」で動いているという、このような見方は大いなる誤解を与えますし、IT業界の見識が疑われます。

LinuxカーネルもJBossもMySQLも、屋台骨を支えているのはIBM、RedHat、Novell、MySQLなどの営利企業で、Googleも営利企業です。営利企業がなぜコミュニティを支援し、ソースコードをコンテュリビュートするのかはこちらの方で触れました。

ビジネス界に身を置き、ビジネス界に対してモノを言うのであれば、「不思議なことに自然にコミュニティが運営され、自然にソースコードが成長するのだ」など、性善説に立ったあいまいな論理を展開してはいけないでしょう。

日本でもそろそろ、ビジネスとしてのオープンソース、すなわち、アーリーステージに参加したVCのバリュエーションのテクニック、全体的なカネの流れ(ビジネスモデル)、そして、営利企業にとってどうしてこのビジネスモデルが必要なのかを語る時期でしょう。

米国でも「性善説」は無くはないですが、少なくとも経営層が真顔でバザールを語ることはありません。既にオープンソースビジネスのバリュエーション技法、コンバージョン率、原価率など、経営モデルが出来つつあり、弊社がコンサルティングをさせていただく場合も、必ずこのような数値をしっかりと述べます。

IT業界もエンドユーザも、オープンソースビジネスの成功要因とリスクを正しく理解し、受け入れて頂かないと、オープンソース自体が不幸になります。

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