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色は日常に当たり前のように存在しています。そして、意識するしないにかかわらず、私たちは色の影響を受けているのです。カラーマーケティングといっても、色の使われ方は多様で、パッケージや商品の色だけに限らず、販売促進、そして企業や人のイメージ戦略、また、商業施設や病院、美容院など様々な環境での色彩計画、そしてセラピーなど、様々な分野に及びます。ここでは様々な角度から事例を紹介し、色を付加価値として取り入れていく方法をお話ししたいと思います。

ディズニーランドが語る色と錯覚の魔術

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いよいよ明日からGWに突入ですね。
皆様の中には家族でディズニーランドに行かれる予定の方も
多いかも知れませんね。


ディズニーランドと言えば『夢と魔法の国』
子供だけではなく大人も楽しめて、
何度もリピートしたくなるテーマパークです。

さすが『夢と魔法の国』ですから、
『敷地内から外部の風景が見えないようになっている』、
『お客様に時間を忘れて楽しんでもらうために時計を置いてない』、
『雰囲気を壊さないために園内放送はない』、
『行列が見た目で長く感じないように、何度も折り返しをつける』
など様々な工夫がされています。


今回は私の専門である色彩の面から観ていきたいと思います。


まず、ディズニーランドは7つのテーマランドに分かれていて、
その一つ一つに年代が設定されています。
だからそこにある建物の色などは、
その年代にふさわしい色で塗られているのですが、
色が劣化しないように、頻繁に塗り直しをしているそうです。


また、それぞれのテーマランドごとに
床の色も変えていることはご存知ですか?
それは、床の色を変えることによって、
『ゲスト(お客様)の気持ちが切り替わる』心理を用いてるからです。


このような方法を『ゾーニング』と言いますが、
ゾーニングされているのは、建物の色や床の色だけではありません。
そのゾーンごとのキャストの衣装もしっかり
そこの色や雰囲気に合わせています。
だからゲストは、テーマランドが変わるごとにゾーンが変わったことを実感し、
よりいっそう楽しい気分になることができます。

この『ゾーニング』はテーマパークに限らず、
色々なところで使える手法ですよね。


ところで、ディズニーランドと言えば、『シンデレラ城』が名物ですが、
実はお城の色にも大きな工夫がされているのです。


シンデレラ城といえば、青と白で塗られていますよね。
これは実は『色の心理』を利用してるのです。


色には『進出色』と『後退色』とがあって、
前者は赤やオレンジや黄色など、前に飛び出て見える色、
そして後者は、青など後ろに引っ込んで見える色を表します。
ということは、シンデレラ城は後退色なので、
実際よりも遠くに見えるのです。


入場して、ワールドバザールを抜けて、
パッと目に飛び込んできた光景。
シンデレラ城がはるか遠くに見えるところが、
まるで中世のヨーロッパのようですね。
しかも空間を広く感じさせることによって、
わくわくした気分を高める効果もあるのです。


逆にシンデレラ城から見たワールドバザールは実際よりも近くに見え、
遊び疲れたゲストにとって『近い』と感じさせる工夫がなされています。


ディズニーランドはいたるところに遠近法が用いられてます。

シンデレラ城が一番高く見えますが、
実はスペースマウンテン・ビッグサンダーマウンテン
スプラッシュマウンテンは、
ほとんど同じ高さだそうですよ。

メインストリートなどにある建築物も、
上へ行くほど収縮されています。
また、園内を広く見せるため、近くのものを大きく、
遠くのものを小さくするために、道幅も考えられています。


こういう風に、色や形で、『視覚のマジック』を作り出してるわけです。


ところで、東京ディズニーランドと本場アメリカのディズニーランドは、
同じ色をしているように感じますが・・・

国や地域によって、赤や黄色など、
それぞれ使われている色が微妙に異なるそうです。

と言うのも、それぞれの国の嗜好色や気候などを加味し、
どんな色が好まれるかで調節してるらしいのです。


また、ディズニーランドといえば、
全体的に鮮やかな色でまとまってる雰囲気がありますが、
キャラクターを引き立たせるために、周りのトーンを抑えてます。

それでも、ライトトーンという原色に白を混ぜた色、
そしてみんなをワクワクさせる色を使っているところが、
さすがディズニーですよね!

 

 

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