ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
facebookやMySpaceなど、友人とのコミュニケーションがメインの目的である「ピュア」なSNSにとって、その膨大なトラフィックの収益化は長年の課題と言われています。やや楽観的と言われるeMarketerの調査では、アメリカ国内だけで2008年にMySpaceは$585M(約514億円)、facebookは$210M(約185億円)の広告売上があると見積もられています。

ちなみにAlexaによると、MySpaceのトラフィックの70%がアメリカから、一方facebookは30%がアメリカからのようです。facebookはユーザー参加型(クラウドソーシング型)翻訳で国際化しましたが、海外オフィスはいまだにダブリン、ロンドン、パリだけですし、世界的な規模で見ると広告売上高の増加率はアメリカ国内ほどではないと思います。
また、2008年11月24日に発表されたオンライン広告に関するIDCの興味深い調査によると、ウェブ全体では79%のユーザーが過去1年以内にオンライン広告をクリックしたことがあると回答したのに対し、SNSユーザーの場合は57%に留まったとあります。さらに、クリックしたとしても、コンバージョン(購買や申込)に至った確率がウェブ全体では23%だったのに対し、SNSユーザーの場合は11%だったということです。この調査結果は、端的に言えば、SNSのユーザーは単に友人とコミュニケーションがしたいだけで、広告にはあまり関心がない、という事実が再確認されたものでしょう。
2008年12月14日のNew York Timesには、facebookへの広告出稿で試行錯誤を繰り返した挙句、いよいよアホらしくなってきたP&Gの記事が載っています。インタラクティブマーケティング担当のTed McConnell氏は「もうこれ以上facebookのバナー広告は買いたくない」そうです。
こうした広告効果の不振がある一方で、リリースされたばかりのFacebook ConnectやFriend Connectといったデータ・ポータビリティ技術は、新しい収益チャンスをもたらす可能性があるかもしれません。例えば、ピュアなSNSよりも購買行動により近い、AmazonやiTunes Storeといった外部のパートナーサイトにおいて、「匿名の他人」のレビューが「実名の友人」のレビューに置き換わるとすれば、購買意欲が今まで以上に刺激される可能性は十分にあります。
具体的には、facebookの場合は、「友人のレビューを経由した売上からはN%の手数料を取る」と言ったこともできなくはないでしょう。あくまで一企業で完結したプラットフォームなので、どんなビジネスモデルを設けるかはfacebookの自由かと思います。facebookは過去にもBeacon広告で試行錯誤を繰り返したように、外部サイトを巻き込んだビジネスモデルの創造に積極的ですので、今後も何が生まれるのか楽しみです。
一方Friend Connectの場合は、外部のソーシャルグラフを利用するとしても、orkutやplaxoやtwitterなど複数のSNSのデータを利用することもあるので、利益配分がありうるのか、あるとしてどのような仕組みなのかについては、あまり判然としません。どのような可能性があるのでしょう。
ただ、不況、不況とマスコミが煽り立てる金融業や製造業のネガティブなニュースで、不況の影響が本来のもの以上に拡大プロモーションされている現在、ハイテク業界ではそうした流れに囚われず、新しい価値を生み出していってほしいところです。不況下でも、VCがファンドを組成したり数$10M規模の投資が行われたりするニュースを見かけると、なんだかホッとします。

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