ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
インターネット調査会社・Hitwiseの資料によると、2008年10月19日から大統領選の11月4日を挟んで11月15日までの4週間に最も多く検索されたキーワードは当選した"barack obama"ですが、2番目は"huffington post"となっています。Huffington PostはArianna Huffington氏が運営する巨大ブログで、著名な執筆者を集め、民主党寄りのスタンスから主に政治分野のトピックを取り扱っています。ブログといっても総勢50人の陣容で、営業、事業開発、Webデベロッパー、専門エディター等を抱える大所帯です。
The Huffington Post

Huffington Postでは、著名人(セレブ)が自らの意見を何百万人もの読者に伝えるためにブログ記事を投稿しています。読者は様々な分野(政治、ビジネス、環境など)の著名人から視点・視座(point of view)を得ることができ、一方で著名人は手軽に巨大なオーディエンスに向かってメッセージを発し、自らをブランディングし、ファン集団を形成することができます。このような相互にメリットのある環境が出来上がっているため、Huffington Postは原稿料の支払なしで良質な記事を集めることができています。Competeによると、大統領選挙でピークに達した11月の月間ユニークビジターは472万人で、12月1日にはOak Investment Partnersから$25M(約23億円)を調達しました(参考)。
Huffington Postの興味深いコンテンツとしてFundrace 2008というものがあります。ここでは、今回の大統領選をめぐる、全米各地の全ての選挙資金の寄付行為を追跡することができます。住所、Zipコード、都市、氏名、職業などから絞り込み検索でき、「いつもオバマ寄り発言の多い隣のおっちゃんは、実はマケインのシンパだった」ということがわかっちゃいます。これはFEC(連邦選挙管理委員会)が公開するデータとGoogle Mapsのマッシュアップで、ブログなどに貼り付けるためのウィジェットも提供されています。
Fundrace 2008

APの記事によると、今回の大統領選挙ではオバマ候補が総額$745M(約685億円)、マケイン候補が総額$320M(約294億円)を集めたそうです。また、abc Newsによると、DNC(民主党全国委員会)、RNC(同共和党)からの資金を加えると、民主党側が$1B(約920億円)、共和党側が$630M(約580億円)にものぼります。
このように巨額の資金調達を行える政治ブログや、Barackobama.comなどソーシャルメディアを中心に行われた巨額の選挙資金提供を見ていると、アメリカでは「政治的な価値」とも呼ぶべきものがしっかりと存在する(=お金という共通尺度で計測される)のかなと感じます。アメリカ人は、お金を払ってスーパーで野菜を買うのと同じような感覚で、お金を払って自由、平等、平和、協同といった政治的価値を買っているのでしょう。
外交政策も安全保障も環境政策も、あらゆる政治的活動は国家の経済発展のためにある、という割り切った考えがアメリカにはあると思います。政治もニンジンやセロリと同じようにパッケージ化され(政策という商品)、国家や州や市といった様々なレベルでリサーチ&プロモーションされ(選挙活動)、手ごろなサイズで切り売りされ(献金)、公正な競争と独占禁止(選挙管理)が担保されています。
アメリカでは政治でさえも、「政策」という商品をめぐる一つの産業であり、それを取り巻く商品・労働者・資本の三市場が形成されているんだなと、Huffington Postを眺めていて感じます。Huffington Postはその「政治」産業での広報宣伝において、ブログ型の情報発信によってかつてないイノベーションを起こしているわけで、今回の資金調達はその将来性の評価なのだろうと思います。


富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
Facebook就活はもう古い?
東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
東北から始まるイノベーション
貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦