ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
サンフランシスコ発祥のYelpというWebサービスがあります。これは、レストランを始めとしたあらゆるローカルビジネスのレビューを集めるユーザー参加型サービスで、レビュー対象はショッピング、美容、夜遊び、エンタメから医療、教育まで幅広く、アメリカとカナダの主要な都市をカバーしています。主なユーザー層は、西海岸に住み、独身で、収入・学歴ともに比較的高く、外食好きなF1層(20歳~30歳代前半の女性)です。
Competeによると、2008年9月時点での月間訪問者数は172万、2004年10月のリリース以降、Benchmark Capital、Bessemer Venture Partnersなどから合計約31億円を調達しており、直近のファイナンス時点での評価額は200億円程度と言われています。この金額はデザインプロダクトのZazzle、不動産のZillow、動画のMetacafeなどと同じ規模です。

このサービスの着目すべきポイントの一つに、Yelp Elite(エリート)というプログラムの存在があります。これは、Yelp内でアクティブに活動する一部のユーザーに対して"Elite"という認定を与え、様々な限定イベントに参加させたり、グッズを割引価格で販売したり、サイト内で注目を集めるよう便宜を図ったりするというものです。Eliteに認定されるためには、実名、顔写真を公開し、一定数(100程度)以上のレビューを投稿しており、他のユーザーの模範となるような要素を持っていることが必要です。
Yelpでは、このEliteプログラムを中心として、ユーザーの参加を駆り立てる心理的なインセンティブが周到に用意されています。例えば、レビューに対する他のユーザーからのフィードバックを数値化して表示しており、「認知されたい」という欲求を満たしています。フィードバックが積み重なると、「もっと偉くなりたい」という欲求を、Eliteプログラムが満たします。さらに、その地位を「見せびらかせたい」という欲求は、The Weekly Yelp(サイト内ニュース)でイベントレポートの形で他の多くのユーザーの前に露出することによって満たされ、それを見た一般ユーザーは、さらに「憧れ」を抱き、一方でEliteは「自慢したい」という欲求を満たします。
このような心理的インセンティブは、広告収入の還元やポイントの付与といった経済的なインセンティブと同等、またはそれ以上に、ユーザーを熱狂させる可能性を秘めています。心理的なインセンティブとは、具体的には認知欲求、名誉心、エリート意識、貢献感、信頼感、影響力などをユーザーに与えるということです。
このための具体的な手段としては、
- ユーザーの行動量の数値化
- 他のユーザーによる反応の可視化
- ユーザーランキングの設置
- ユーザーを特集した記事の制作
- 特定のユーザーの選別とカリスマ化
などがあります。Yelpはこれらの全ての面において、とても戦略的に、またコストをかけて取り組んでおり、その充実ぶりは世界のユーザー参加型のWebサービスの中でも屈指のものと感じます。Yelpのように心理的なインセンティブを設計することで、まだまだ成長する余地のあるサービスは多いと思います。
Special
- PR -| くさか | 2008/12/04 15:54 |
|
日本では同じようなサービスでAlike.jp(http://alike.jp)があります! | |
| Masaharu | 2008/12/04 21:42 |
|
>くさかさん | |


富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
Facebook就活はもう古い?
東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
東北から始まるイノベーション
貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦