ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
truliaという、アメリカの住居不動産に特化した検索サービスがあります。2005年に設立され、これまでにSequoia Capitalなどから約33億円を調達しており、Competeによると2008年9月時点で約225万の月間訪問者数を集めています。Exitはまだです。この分野ではRealtor、Zillowに続く業界三番手で、後続にはRedfin、hotpads、roost、rentomaticなどがあります。
truliaは不動産に関する情報だけでなく、物件のある町のローカル情報、例えば犯罪発生率や、地価の変化のトレンド、学校の評判情報なども集めており、家を探しているユーザーのニーズに幅広く対応しています。これらの情報はStats & Trends(統計とトレンド)というコーナーで提供されています。
また、Advice & Opinions(助言と意見)というコーナーでは、消費者やエージェント(代理人)、ブローカー(代理人を束ねる事務所)の間で活発なコミュニケーションが行われています。

truliaは、自社サービスにとって役に立ちそうなデータは、ありとあらゆる手段で収集しており、その徹底ぶりがサービスの競争力を強めています。不動産業界団体のデータベースであるMLS(日本でのREINSにあたるもの)と提携してデータを取り込むのはもちろん、代理人や家主にも入力させています。また、技術力を活かし、ネット上の不動産業者のサイトをクローリング(巡回)して情報を集めたり、他のサービスとマッシュアップ(連携)してデータを取り込んだりもしています。
truliaはソフトウェアエンジニアにも統計学の知識と高度な分析能力を求めており、膨大な調達資金の多くはこうしたスペシャリストの人件費に投下されているようです。
また、truliaはこうして集めて分析したデータを、わかりやすくビジュアル化している点でも注目に値します。指定した条件に応じて描画されるヒートマップや、各種のグラフは、効率的な情報収集にとてもに役立ちます。Googleもビジュアライズ技術にとても力を入れていますが、今後こうした機能の充実はもっと求められてくるでしょう。

こうした「データの分析」から「ビジュアル化」を行うためには、自分で仮説を組み立てて、データを分析し、データの中に潜む「意味」を見出し、検証していくことが必要です。このような取り組みは、戦略の立案から実際の開発までの工程に携わる人々が、不動産業界とテクノロジーの両方に通じていなければ難しいものです。
truliaの共同創業者であるPete FlintとSami Inkinenは、どちらもエンジニアリングの学士号とMBAを持っているというつわものですが(参照)、シリコンバレーの様子を見ていると、複数の分野に専門性を持つ人材の厚さが、バーティカルな(分野特化型の)Webサービスの隆盛のひとつのキーとなっているように思います。
データベースこそ、ユーザー参加型Webサービスの最も重要な資産ですが、単なる情報(information)を加工し、規則性や評価情報を与える能力(intelligence)も、同時に開発する必要があることを、truliaを見ていて感じます。


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