ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
PayPalというオンライン決済&送金サービスがあります。PayPal自体は1998年の設立後、2002年にオークションサイト最大手のeBayに約15億ドルで買収されていますが、このPayPalの元メンバーは、PayPalを離れた後も強いネットワークで結ばれ、独特のカルチャーと起業家精神を維持して様々な分野で事業を立ち上げており、"PayPal Mafia"と呼ばれています。
例えば、ビジネスSNSのLinkedin(直近のバリュエーションで企業価値1000億円)、デジタル画像スライドショーのSlide(同500億円)、ローカルビジネスのレビューサイトのyelp(同200億円)、家系図サイトのGeni(同100億円)、電気エネルギーのスポーツカーを作るTesla Motors(これまでに100億円を調達)、言わずと知れたYouTube(1650億円でGoogleが買収)といった会社の創業者は、全てPayPalの元経営陣、または元スタッフです。数百人しかいなかった会社からこれだけのアントレプレナーが輩出され、しかも成果を出していることはひたすら驚異的です。
PayPal Mafiaについては、Fortuneの"Meet the PayPal Mafia"という記事に詳しく書かれています(映画『ゴッドファーザー』風の写真など、かなり凝っています)。MafiaのボスはPayPal創業者のPeter ThielとMax Levchinで、これにElon Musk(Tesla Motors)、Reid Hoffman(Linkedin)、Roelof Botha(Sequoia Capital)、David Sacks(Geni)、Premal Shah(Kiva)、Chad Hurley、Steve Chen、Jawed Karim(三人ともYouTube)、Jeremy Stoppelman、Russel Simmons(二人ともyelp)などが続きます。
MafiaはThielとLevchinのそれぞれの母校であるスタンフォード大とイリノイ大から広がっており、「アンチ・メインストリーム(反主流)」をカルチャーの主軸にしています。彼らはリクルーティング活動において、多言語を話し、競争心にあふれ、ワーカホリックで、数学に熟達し、ファイナンスとエンジニアリングに明るい人材を重視しているそうです。
PayPal自体も、経営情報を全従業員に公開してフラットなチーム作りに励んだり、社内に「無駄なミーティングの監視人」を置いて生産性アップに努めたり、経験よりも数字を根拠に議論を進めたりという、マッチョで短期決戦型のベンチャー気質が大いにあったようです。

ただ、アンチ・メインストリームというのはそもそも企業の巨大化と相容れないところもあるようですし、またプレイヤーが増えてくると「オレのほうがエラいんだ」的なひけらかし合いもあったようで、徐々に統一感は失われていったようです。PayPal Mafiaと呼ばれる人々は初期のメンバーが中心だったのだと思います。
PayPal Mafiaのように事業家と投資家のネットワークがいろいろなところに出来上がる文化が、スタートアップの底上げにつながっていることは確かです。日本でも成功したチームが多方面に拡散し、新しい生産につながるようなサイクルができれば良いなと思います。

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