ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
kaboodleというサービスがあります。これは、情報収集のためのWebサービスで、Web上のいろいろなサイトで集めた情報を友人と共有したり、好みの合う人から新しい情報を得たりすることができるというもので、ショッピング、旅行の計画、リサーチなどに活用できます。
Competeによると、2008年9月の月間訪問者数が約330万人、多くは10代から20代の女性で、ショッピングのための情報収集に最も良く使われています。2005年にリリースした後、これまでにShea Venturesなどから約5億円を調達し、2007年8月にファッション、美容などの分野でメディアを持つHearst Corporationに約30億円で買収されました。

このサービスは、ブックマークするためのボタンをブラウザーに設置して利用するタイプのサービスで、ネットサーフィン中にこのボタンを押すことで、閲覧中のページ内のテキストや画像をkaboodle内のマイページにストックすることができます。ネット業界では「ソーシャルブックマーク」と呼ばれる系統のサービスです。
ただ、日本での同種のサービスであるはてなブックマークやBuzzurlと違って、kaboodleは自らを「ソーシャルブックマーク」と呼んでいないところが、このサービスのブランディングにおいて意義深いところです。「ソーシャルブックマーク」と言うネーミングは、残念ながらかなりわかりづらいと言わざるを得ません。逆に、そのサービスを使うと「ショッピングが楽しくなる」、「友達とつながる」、「新しいものを見つけることができる」といったメリットをユーザーに知らせることに力を入れたことが、Webサービスにあまり慣れていない非IT業界の女性(F1)をkaboodleが獲得できた理由の一つだと思います。
この傾向はHearst Corporationに買収されたことでさらに強くなりました。機能的にもBrands(好きなブランド)、Styleboards(おすすめコーディネイト)など、ファッション向けのものが増え、F1層へのターゲティングがより鮮明になっています。買収以降、thisnext、stylehive、wistsといった従来の競合も大きく引き離しています。
2005年から2006年頃のkaboodleは、ファッション分野を意識した雰囲気は全くなく、「何に使うためのサービスなんだろう?」という印象を私も持っていました。それ以降の変わり様は目を引くものがあります。ロゴやグラフィックデザインも以前とは全く別のものになっています。
日本でも「ソーシャルブックマークはなぜ流行らないのか」といった議論がされることがありますが、「ソーシャルブックマークはどういうシチュエーションで役立つのか」というマーケット・イン(使い手本位)の発想から考え直すことが必要です。
ソーシャルブックマークの他にも「ソーシャルニュース」とか「ソーシャルレンディング」とか「ライフストリーミング」とか、ネーミングの時点でかなりプロダクト・アウト(作り手本位)の視点が強いサービスはいろいろありますが、ネーミングの新規性・珍奇性よりも、ユーザーにとってのメリットを知らせることを意識してマーケティングすることが重要です。
ただ、いったん作り手サイドに立つと、ユーザー目線に立ち返るのは意外に難しいことも事実です。レビューサイト・YelpのCEOであるJeremy Stoppelmanは毎日3時間も自社のサービスを使っているという話ですが、こういった姿勢を経営トップが保ち続けるのはなかなかできることではないと思います。


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