ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
9月の月刊アスキーに載っていた「エクスペリエンス・テクノロジー」という一連の技術に関する記事が興味深かったです。これは、野村総合研究所によるネーミングで、「顧客のIT利用経験をよりよいものに高める技術」と説明されています。
野村総研のサイトには詳しいレポートがアップされています(PDFファイル)。それによると、「エクスペリエンス・テクノロジー」が普及してくると、顧客の過去の経験や、企業内のノウハウなどをふまえて、知的に対応する「頭脳労働」をITが代替するだけでなく、顧客の感情なども考慮して最適な対応を行うような、「感情労働」をもITが代替するようになる、ということです。
エクスペリエンス・テクノロジーというのは長ったらしくてキーボードで打つのもめんどくさいので、言い換えて「動的機能」と呼ぶことにします。ユーザーからの情報(インプット)に応じて、事業者の対応(アウトプット)が異なるので、その意味で動的、ということです。
ユーザー情報が集まったデータベースと、仮説に基づいてそのデータを処理するアルゴリズム(手順化された計算)が、動的機能を構成する要素ですが、身近な例で言うとAmazonのトップページなどに表示される「オススメ本」などがあります。従来は趣味の合う友人から本を紹介してもらったり、書店の店員や、図書館の司書にアドバイスを受けたりしていたところですが、その作業(頭脳労働)をITが代替しているということです。Amazonでは、欲しいなと思っていたまさにその本がTOPページで推薦されることも最近は珍しくなくなってきました。
パーソナライゼーション(個人の好みに応じた対応を行う)、レコメンデーション(過去の情報から新しい選択肢を推薦する)などと呼ばれる技術も、動的機能と言ってよいでしょう。動的機能は、進化的アルゴリズムという分野にも関連してきます。最近はオライリーメディアから『集合知プログラミング』という書籍も出ていて、こうした動的機能も基本的な部分から少しずつ「枯らされ」、体系的にまとめられ、コモディティ(日用品)化してきています。
もっと言うと、コモディティどころか、ユーザー情報を多かれ少なかれ統計処理するような機能のないWebサービスは、今後は存続することすら危うくなるのではと思います。より自動的になること、進化的になること、動的になること。これらはWebの不可逆的な進化の方向性です。この流れに反して、ポータルサイト志向で、ユーザーに対して典型的なアウトプットばかり押し付けるようなWebサービスは、ちょっとサムいです。
ただ一方で、アルゴリズムのクオリティ向上のために継続的な開発が求められます。それに、ユーザーから情報を取得する上ではプライバシーの問題は必ず処理しなければなりません。facebookのBeacon騒動から分かったように、事業者はユーザーに動的機能の利用について選択権を与えることが必要です。
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