ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
企業が消費者の集団(クラウド)に対して、ビジネス・プロセスの一部をアウトソーシングすることをクラウドソーシング(crowdsourcing)と呼びますが、この分野のサービスの成長が最近目立ってきています。
これまでは、例えば消費者向けソフトウェアやWebサービスの開発では、Webを通じてユーザーの意見を貪欲に取り入れながら、ニーズを効率的に満たすためにスピーディーに開発するというスタイルは珍しくありませんでした。オンラインフォーラムしかり、モニターアンケートしかり。ですが、このような取り組みはWebを利用したマーケティングリサーチの域を出ないと思います。
昨今注目されているクラウドソーシングとは、もっとコアな企業活動にユーザーを参加させる仕組みのことを指しています。つまり、商品の企画・設計や、プロダクト・デザイン、品質管理、購入後のカスタマーサポート、高度に専門的な研究開発などがそうです。場合によっては、製品開発のメイン業務をクラウドソースする場合もあります。
具体的には、電子機器設計の分野でクラウドソーシングを始めたCrowdSpiritをはじめ、製品企画・設計の分野にはプレイヤーが多いです。Cambrian HouseやcrowdSPRINGもそうです。また、幅広い分野を対象とするものではklusterやFellowforceがあります。カスタマーサポートでは急成長するイスラエルのFixyaやGetSatisfaction、ソフトウェア開発におけるバグ修正をクラウドソースするuTest、その他、高度な専門知識を持つ学識研究者・科学者の集団を集め、企業の R&D(研究開発)をクラウドソースするInnoCentiveなどもあります。elanceやoDeskといったオンラインアウトソーシングマーケットも、クラウドソーシングを促す仲介サービスです。
Cambrian Houseのコンセプトイメージ

さらに、多くのクラウドソーシング・サービスでは、全くの赤の他人が献身的に、しかも遊び半分ではなく、「マトモな」知識労働を提供してくれるように、参加を促すための経済的インセンティブを備えてきています。分かりやすく言えば、実績を上げた参加者にはちゃんと特別な給料を払うということです。この点は、単なるマーケットリサーチとクラウドソーシングを今後峻別していくための一つの基準となるでしょう。
クラウドソーシングのプラットフォームとなるWebサービス自体は、業務の発注元となることは少なく、仲介者としてビジネスに携わっています。そのため、企業に対しては、効率的に市場の集合知にアクセスするためのチャネルを提供するという役割を果たします。一方で、参加するクラウド(人々)に対しても、アイデアの知的財産権を保証したり、それに基づく利益分配のルールを策定したり、あるいは複数人がプロジェクトに参加した場合の、それぞれの参加者の貢献度の計算方法を事前に決めたりといった便宜を図っています。Fellowforceのように非常に細かな利用規約を定めるサービスも増えています。klusterなどは一攫千金ゲームのノリでユーザーを巧みに扇動しています。
Fellowforceのトップページ

今後のクラウドソーシングは、それを利用したビジネスが本当に競争力のあるものになるように仕向けることが重要となってきます。例えば、正体の知れない一発屋の集まりとならないよう、委託先となるクラウド(人々)のセグメンテーションを明確にしたり、優れた創造力を持つユーザーにアイデアを出し惜しみさせないよう、より魅力的なインセンティブを整備したり、ということが考えられます。いずれにしても、多数のサンプルや反復的作業が必要な業務や、マーケットとのダイレクトな交流が求められる業務には、クラウドソーシングは一つの選択肢となるでしょう。
オンラインでのアウトソーシング市場を展開するelanceについては過去の記事でも取り上げました。

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