ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
トランスコスモス傘下の株式会社ココアが「meet-me」という仮想世界サービスを正式リリースしたので使ってみました。キーボードとマウスで3D仮想世界を直感的に操作する、というアイデアは幻想に過ぎないのでは、という懸念がセカンドライフの時にもありましたが、今回はどうでしょう。3D世界に対するバブリーな期待もクールダウンしたこのタイミングで、あえてリリースした意図が気にならないこともないです。勿論、アスキーの記事などからはセカンドライフの時のような煽りのニオイが漂ってきますし、大企業が肩を並べる株主陣を眺めても、リスク分散の上での3D実験場という印象はありますが。
1.インストール
セカンドライフはユーザーPCに専用ソフトをインストールさせますが、この点はmeet-meも同様です。長期戦覚悟でインストール作業に挑みつつ、進捗状況をtwitterに独りつぶやきます。案の定、インストーラパッケージ展開、Visual C++セットアップ、ActiveXインストールなどなど、長くなりそうです。さらにパッケージデータ更新、差分データ更新(差分って何でしょう?)が続き、合計40分程度で終了。私の場合はグラフィックボードを既に持っていたのでまだ良かったのですが、このインストール作業の時点で多くのユーザーは利用を諦めそうです。ちなみにセカンドライフの場合は3分程度で終わります。3分程度までいかなくとも、40分は少し長い気がしました。
2.住民登録 ~ 家出
立ち上げるとウインドウは横長で、全画面表示はできないようです。役所の受付のような場所で、まず最初に「住民登録」を求められます。住民登録を済ませると「基本操作のご案内」が表示されます。全3ページだがこれで操作ができるようになるんだろうか、不安を覚えつつ、次へ進みます。
住所が割り当てられ、東京都北区になりました(meet-meの世界は現実世界に準じた位置情報を持っています)。まったく馴染みがない場所に強制的に住まわせるというのはどうなのでしょう?気がつくと画面は自宅に移動しました。自宅といってもグレーの小部屋です。目の前には初期ガイド役の女性アバターがいます。このアバターの指示に従って体型や服をチョイスします。「あなたがお選びになった衣服以外は私が回収いたしますので、じっくり考えてお決めください。」とは、なかなかジョークがきいています。残しておいてほしいんですが、無理そうです。セカンドライフの四次元ポケット並みに底なしのinventory(道具箱)を懐かしみつつ家を出ます。あらゆる箇所でセカンドライフと比較されることは今後も免れないでしょう。
自宅の近くは殺風景
3.操作性
家を飛び出すと外は現実世界に合わせて夜モードになっています。建物や木々、アバターのグラフィックはシンプルです。操作の難易度は高く、不慣れなユーザーには歩くこと以外の行動はとれないと思われます。meet-meには独自の管理社会的ルールが多く、ユーザーの直感に沿った自由な移動、出会い、コミュニケーション、経済活動、アバターカスタマイズなどは必ず何らかの大きな制約に出会います。セカンドライフとの比較で言えば、例えば次のような制約です。
- 飛べない&テレポートできない
- 持ち物は落ちていないし、作れない
- 電車、バスでしか長距離移動できない
- 他のユーザーの存在は目視で確認
- マウスクリックに反応する範囲が狭い
- 第三者的カメラなど、視点切り替えができない
- その他何をするにしても規定ルールが多い
中でも長距離の移動がとても大変でした。駅を目で見つけて走りより、切符を買い、路線選択して駅を探し、駅をマイリストに登録し、移動するという手順が必要です。もっと簡単にできるのかもしれませんが、地図をダブルクリックするだけでどこにでもテレポートできるセカンドライフとは大きな差があるように思いました。
4.出会いと別れ
ユーザーを探し、早速コミュニケーションをとろうとしますが、移動するユーザーを追ってクリックするのが難しかったです。チャットの方法はセカンドライフと同じようですが、このときは相手の反応はありませんでした。プロフィールを見ると、全項目が非公開となっています。これが初期設定だとすると、コミュニケーションのチャンスはかなり失われていると言わざるを得ません。メッセージを送受信したり、何らかのグループやネットワークを通じて他のユーザーとコミュニケーションしたりすることもできません(できるのかもしれませんが今回は探していません)。
5.新宿は眠っていた
赤羽駅から新宿駅東口に移動します。他のユーザーはあまり多くないようです。新宿アルタ前には4人ほど確認できました。衣服や体型は与えられたものから選択するだけなので、アバターのバリエーションは多くないです。人数が多くなると見分けがつかなくなりそうです。ちょっとまつげを濃くしてみましたが、見た目にはあまりわかりません。
アバターカスタマイズは限定的
東京タワーや雷門など、現実世界のランドマークを忠実に模写していることもmeet-meの宣伝文句ですが、普通の建物は全て同じようなデザインです。歩いていると、歌舞伎町一番街のゲートは本物志向でした。
6.終了
なんとかできた友人申請も、相手がログアウトしたのか移動したのか、失敗してしまいました。ウェブアプリケーションなんだから、非同期で友人申請処理を進めてくれればよいと思うのですが、ここまで現実世界の物理法則を取り入れてもしょうがないです。この時点でトライアルを終了してしまいました。
7.結論
meet-meは、自由がかなり制限されています。肉体の限界を無視した行動や、超法規的な行動ができるからこそ仮想世界であり、meet-meほどに現実社会を模倣すると、3D世界をウェブに持ち込むそもそもの意義が失われる気がします。セカンドライフでもギャンブルや金融業に規制が導入されたが、テレポートしたり、チャットしたり、バーチャルな創造活動や経済活動をしたりという仮想世界ならではのメリットまで無視することはないと思います。この点でmeet-meは管理主義的色彩を強め過ぎているのでは、と感じました。
ビジネスモデルは土地レンタル、広告販売、アイテムなどのマイクロトランザクションを計画していますが(関連記事)、当然現在のところどれも目立った売上はなさそうです。少なくとも新宿という都心ですら広告を目にしませんでした。セカンドライフの大きな魅力であったリアル・マネー・トレード(RMT:仮想通貨と現実通貨との取引)もmeet-meでは実施される見通しはないようです。meet-meがユーザーを増やすために超えなければならない障壁は多く、正式リリース時のサービスを見る限り、これらの障壁の克服への道のりは長い気がします。創造活動やRMTなどはポリシーの問題ですが、まずはユーザーインターフェースの全面的なバージョンアップが欲しいところです。
考え直すと、20億円の資金調達でSecond Lifeをあれほどの質に高めたLinden Labも驚異的ではあります。ココアは設立時の資本金以外では資金調達額を公開していませんbが、総額でおそらく数億円~10億円程度ではないでしょうか。仮想世界サービスの普及に異常に楽観的なみずほグループがトランスコスモスと組んでSPC(特別目的会社)的にココアを作り、そこへHPなどが乗っかってブレードサーバの宣伝プレスリリースに活用したりしている、という様子に見えます。
meet-me以降は仮想世界についての途方もない市場成長予測を発表しなくなるように祈るばかりです。個人的にはセカンドライフのうほうが好みに合います。あとは直感的な操作を可能にするハードウェアの開発と配布が必要だと考えます。リンデンラボもこの点は色々と試行錯誤を重ねているようです(関連記事)。最後にmeet-meのスクリーンショットを貼り付けておきます。
Special
- PR -| 日暮 | 2008/04/15 12:41 |
|
何か初めに結論ありきの文章と思える。 | |
| Masaharu | 2008/04/15 13:07 |
|
>日暮さん コメントありがとうございます。 | |
| ゆきち | 2008/04/15 13:07 |
|
>>日暮さん そして相変わらず「やっていない人ほど語りたがる」というセカンドライフの魔力は健在ですね。meet-meを悪くないと感じるなら、ご自分で試用レポートをあげることを期待します。 | |
| Masaharu | 2008/04/15 13:13 |
|
>ゆきちさん コメントありがとうございます。 とはいえ、日暮さんが試用されているかどうかは私には判断できませんが・・・。 | |
| AK | 2008/04/15 14:36 |
|
はじめまして~ | |
| Masaharu | 2008/04/15 18:43 |
|
>AKさん コメントありがとうございます。 | |
| やすお | 2008/04/16 01:49 |
|
私は3次元の仮想空間サービス自体、どうかなと疑問を感じています。やはり、基本的なことが現実空間とはまったく異なるので。 表示装置は2次元のままであるし、操作もマウスやキーボードなど3次元空間をポイントするのに便利なデバイスとはいえません。結果、思うように操作できないことがストレスとなり、わざわざ仮想3次元空間に入る理由がなくなる。 第三者とコミュニケーションしたいのならmixiなどのSNSで十分だし、買い物がしたいのならアマゾンや楽天を使えばいい。3次元空間というとハデな印象を持ってしまうけれど、現時点では不自由な空間しか提供できていないのが問題なのだと思います。リンデンラボも操作性を向上させるデバイスを開発しているようですが、コストなどを考えると、どれだけ普及するのやら...。 すいません。「仮想3次元空間は人目をひくがしばらくすると飽きられる」という感覚を持っているので、否定的な言葉を並べてしまいました。 仮想空間は仮想空間独自のメリットもあるので、操作性を大きく改善するツールが誰にでも使えるものであれば、いつかは花開くのだと思います。技術的にまだ追いついていないだけなんでしょう。 | |
| Masaharu | 2008/04/16 13:47 |
|
>やすおさん コメントありがとうございます。 やすおさんのご意見のように、仮想空間独自のメリットもありますし(重力を無視できる、とか、嫌になったらやめられる、とか、現実世界ではできないような実験ができる、とかでしょうか)、こうした面がもっと活用されれば良いですね。 | |













富士通元社長の山本卓眞氏が残した次代へのメッセージ
Facebook就活はもう古い?
東北をコットンの生産地としてブランディングしたい──リー・ジャパン・細川取締役
東北から始まるイノベーション
貧困国の雇用を創出する印刷屋、丸吉日新堂印刷の挑戦