ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
facebookがプライバシーの設定オプションを更に拡大しました。公式ブログでリリース情報が流されたほか、ログイン後のページ最上部にも通知されています。新しいプライバシー機能を利用すれば、プロフィール情報、写真、友人リスト、掲示板など、ユーザー発信情報の一つ一つの項目について、細かく公開範囲を設定することができるようになりました。

新しいプライバシー設定では、例えばプロフィール項目については、次のような設定オプションを選ぶことができます。
- 自分のみ
- 友人まで
- 友人の友人まで
- 選択した友人のみ
- 特定の友人リストのみ
- 選択したネットワーク
- 全てのネットワーク
- 選択したユーザー以外
facebookでは、「友人のつながり(=ソーシャルグラフ)」と「ネットワーク」は別の概念であり、プライバシー設定も別個に行うことができます。「ネットワーク」はmixiで言うところの「コミュニティ」に近いですが、そこまで存在感はありません。facebookにおいては、「同好」のつながりよりも「信頼」のつながりを重視しており、機能の多くはプロフィール情報とソーシャルグラフを活用したものとなっています。
プロフィール項目のほかにも、コンタクト情報や、検索用インデックスに自身の情報をどこまで公開するか、とか、ニュースフィード(友人に通知される自分の更新情報)&ミニフィード(自分のページに掲載される自分の更新情報)にどの情報を流し、どの情報を流さないか、とかいったことも設定できます。と言ってもこれらの多くははずいぶん前から実現しています。
また、ユーザーが任意に追加したアプリケーションのそれぞれについて、更新情報などを友人に通知するかどうかを設定することもできます。これはfacebookプラットフォーム発表時から実現している機能です。
ここまで細かいプライバシー設定を可能にしたところで、全てのユーザーが我先にとこれらを使い始めるわけではないでしょう。ですが、facebookのこの発表は、やはり「ソーシャルグラフのプラットフォーム」として圧倒的な覇権を握るために必要な布石だったように思います。
facebookプラットフォームやGoogleのOpenSocial APIが整備されると、各コンテナー(SNS運営者)には2つの変化が生じると思います。一つは、ソーシャルグラフを利用したアプリケーションそのものの開発を、外部の第三者に任せることができるようになること。もう一つは、ソーシャルアプリケーション以外の部分で、他のコンテナーとの差別化に取り組まなければならなくなることです。もっとも、この2つの変化は、同じ現象を裏表から表現したにすぎません。
ソーシャルアプリケーション以外の部分というのはつまり、次のようなものだと考えられます。
- ユーザーアカウントの管理機能
- セキュリティへの配慮
- 友人のグルーピングと連動したプライバシー設定
- データ・ポータビリティ(サービスの外部にデータを持ち運べること)
- 広告開発テクノロジー
- サードパーティへの収益還元の仕組み
- ユーザーインターフェースデザイン
- 量的拡張性
- スピード、パフォーマンス
これらの部分で差別化をはかり、機能を充実していかなければ、プラットフォームを志向するfacebookは、SNSの競争の中で勝ち残れなくなるのではないでしょうか。まして、facebook以外の、OpenSocialに対応したコンテナー同士の競争においては、こうした機能の拡充は必須です。
そしてfacebookがOpenSocialに対してどのような戦略を選ぶかどうかは別として、今回のプライバシー設定の強化は、コンテナーとしての魅力を一段と増すことに繋がったと思います。
また、OpenSocialに賛同するSNSがうようよいる中で、ソーシャルグラフの価値に対するfacebookの先見性は、依然として突出しています。facebookは孤独でも、輝きを失ってはいません。結局、コンテナーにとってOpenSocialはツールにしか過ぎず、コンテナー独自の創意工夫が競争力を産まないということはありません。
余談ですが、facebookは、外部の提携サイトにおけるユーザーの行動情報をfacebook内に取り込む機能や、ユーザーの友人ネットワークを広告配信に利用するSocial Adsなどの仕組みを備えています。初期設定では、ユーザーはこれらの機能のために、プライバシー情報を提供することに同意した形となっています。私はイヤなのでオプトアウト(明示的にOFFにすること)しましたが、設定項目が分かりにくい箇所にあるので見過ごしているユーザーも多いのではないでしょうか。下にリンクを貼っておきました。

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