ユーザー参加型ウェブ・ソーシャルウェブを考察するブログ
一部メディアの過剰な煽りを受けるセカンドライフですが、切込隊長ブログの『「セカンドライフ」バブルがうぜえ』や、ITmedia Newsの『Second Life“不”人気、7つの理由』の喧伝に引っ張られるように、ブロゴスフィア(ブログ界)での冷淡な反応が目立ってきています。MMORPGとの関係で綴られた『ゲーマーが遊んでいないセカンドライフ』という考察も面白いです。
開始3年で600万人というユーザー数については、要求されるハードウェアの性能の高さ、スタートまでの手続の煩雑さを考えるとそれなりの数字だと見ます(アメリカ人と同じくらいのドイツ人が登録しているのは謎ですが)。ただ、パブリシティ効果というか宣伝広告を狙う大企業がこれでもかと「島」を購入してせっせとアトラクションを構築してきている割には、ユーザーの熱気はイマイチです。
セカンドライフに懐疑的な見解の多くは、
- 要求されるマシンスペックの高さ(グラフィックボードが必要)
- 極めて高い自由度に起因する戸惑い(何をしたらよいのかわからない)
という2点を理由として挙げています。特にパッケージゲームという「予定された世界」に慣れた我々日本人は後者の困惑を強く感じるはずです。
ですが、それ以上にセカンドライフへの参加を難しくする理由は、何よりもユーザーインターフェースだと考えます。Linden Lab社が現実世界の模倣をセカンドライフに期待しているなら、それは難しいです。キーボードとマウスによって3D世界を直感的に操作することがまず不可能だからです。たとえばセカンドライフ内で地面に落ちている物を拾うためには、
- キーボードで視点を移動して物を視界(画面内)に入れる
- マウスカーソルを物に合わせて右クリックする
- 表示されたメニューから「Take」を選択する
というプロセスが必要です。しかもこれは最短のプロセスです。現実世界ならば「拾う」→「終わり」です。
夢のように語られる様々なイベント(ダンス、ドライブ、ショッピング、リゾート、アダルト、カジノ等)は全て、スクリプトを緻密に書き、オブジェクトを丁寧に描いた自発的なクリエイターの所産であって、それらを楽しむ行為は「自由の行使」というよりも「予定されたパッケージゲームを楽しむ感覚」に近いのです。自由が与えられていることと、実際に自由を行使できることは別の話で、セカンドライフの自由を謳歌するのは一部のクリエイターに限られているのが現状です。
セカンドライフのようなバーチャルサービスが現実世界に一層近づくために必要なのは、新たなハードウェア、新たなユーザーインタフェースです。そして3軸加速度センサーを備えたWiiや、マルチタッチスクリーンを備えたiPhoneなどを超えるハードウェアを望むのは、セカンドライフに限られません。あらゆるウェブがより身近になるための必須条件は、ハードウェアの革新です。タンジブル・ビッツ(触れる情報)の研究で有名なMITメディアラボの石井裕教授など、今後の動きを注視してゆきたいと思います。
Special
- PR -| Yuuka Ling | 2007/08/26 20:24 |
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セカンドライフをプレイしている者です。 昨年からのセカンドライフについての報道、つまり各種マスメディアの誇張表現や、世論へ強い影響力をもつ特定ブログでの批判や想像を含む歪んだ自論主張が氾濫する中、このエントリーには同感する点が多くありました。 言語や民族の多様性、ハード及びソフトウェアのユーサビリティ・セキュリティの問題等、今後の改善面があること、しかし一方では、自らの創造性を自由に表現すること(同時にプログラムを発展させること)や、現実では不可能であるような体験型教育やビジネスシーンでの有用な活用性といった、新しい可能性を示唆できる(セカンドライフという場でなくとも)という私の個人的な考えと願い、また客観的視点から事象を分析・予測するということの大切さを、知ることができました。 これからも楽しみに読ませて頂きます。 | |
| Masaharu | 2007/08/26 23:17 |
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>Yuuka Lingさん | |
| Akko Yoshikawa | 2007/12/06 18:12 |
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共感できる冷静な考察ですね。まだまだメタバースは理想の完成には遠い過渡期ですがMMO RPGとは違うものとして成長を期待しています。 | |
| Masaharu | 2007/12/06 23:56 |
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>Akko Yoshikawaさん | |

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