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「聞かない」ことは和んでること(阿川佐和子さん)~ 会話を投げるときに考えること

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60代で結婚し話題になっている作家・エッセイストの阿川佐和子さんがTVのインタビューで言っていたことが印象的です。

「聞かない」ことは和んでること

人の話は聞くものだと言われてきましたし、聞かないことは失礼なことだと思っている方も多いでしょう。このタイトルだけ見ると大変違和感を覚えます。

このインタビューの内容から、私は2つのことを考えてみました。

ひとつめは、和んでいるときに聞かないということの意味です。

このインタビューで阿川さんはこんなことおっしゃってます。

「(私が)『ああ、もう5時ね』って言った時に、(夫が)『俺、携帯どこやったかな』っていう、そういう噛み合ってない会話が一番和んでるときの会話だと思う。聞いてないくらいの感じがきっとその人と一緒にいる時に一番気楽だと思う。

こんな会話は、夫婦や家族ではとてもよくある場面です。ときに余裕がないと「ねえ、聞いてるの!」と言ってしまい、いやな雰囲気になってしまうこともあるのではないでしょうか。

家族が家にいて、とてもリラックスしているときに投げかけた会話を聞いていなかったら、
「もう!聞いてないんだから」と思うか
「ああ、リラックスしてたのね」と思うかで、随分投げかけたほうの気持ちは違います。

リラックスしているときに、ふいに投げた会話なんだから、聞いてなくて当たり前と思えば、会話がかみ合わなくても腹も立ちません。

そんな余裕をもった気持ちで、家庭での会話をとらえ、さらには

聞いてないくらいの感じがきっとその人と一緒にいる時に一番気楽だと思う。

と言ってしまうところに、阿川さんの人としての深みを感じました。

ふたつめは、聞いてもらうべき話を、聞いてもらえるシチュエーションで投げかけているかということです。

家族への会話にしても、聞いてほしい大切な話であれば、時と場合を考えたり、伝えるだけでなく忘れないようにメモを渡したりなど、それなりの工夫をしなければいけません。相手の聞くという都合が悪そうな時、例えば寝る間際に話したり、バタバタしているときに話したり、趣味に没頭しているときなどに話しをしてないかということです。

これは部下や後輩、あるは学生に対してもそうです。
きちんと相手が聞ける状況であるかないかの確認をせず、一方的に話したことは、伝えたことになりません。

「伝えた」と「伝わる」は違うというコミュニケーションの基本的なところにかかわってくることですね。

「聞く力」の著者の阿川さんのインタビューから考えたことでした。阿川さんインダビューでは、こんなオチも披露されていました。


『阿川、聞く力読んだ方がいい』って言われるくらい聞いてないもん、普通」

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