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人材ビジネス経験は平均15年以上。古今東西、老若男女の転職を見てきた現役のヘッドハンター達が、今起こっている転職現場の「ホントですか?」を分かりやすく解説。転職成功やキャリアアップのヒントも、5人のヘッドハンターが交代で紹介します。

転職失敗者がおちいる5つの思いこみ

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日本人は一度入社したら、できるだけその会社で長く働こうとする国民である。特に男性は1社あたり13.2年と他の先進国と比べて最も長く、アメリカ男性の4.7年に比べ3倍近い。そしてこの裏には、入社した後に不平や不満がありながらも「忍耐強く働き続けている」、そんな日本人が非常に多い現実もあるように思う。

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ひとつの会社で気持ち良く働き続ける為には、入社する前の段階で「会社との相性をしっかりと確かめておくこと」は重要だ。ただ残念ながら、間違った思い込みにより相性確認が不足のまま入社してしまう方も多い。

今回は、転職後に「後悔する人にありがちな5つの思いこみ」と「相性の良い会社を探す方法」を紹介したい。まずは、後悔する人にありがちな5つの思いこみから...


その1 成長できそうだからと言う理由でベンチャー企業を選ぶ

転職先を選ぶ際、成長出来そうだからベンチャーを選ぶのは危険で、チャレンジできる大企業もあれば、労働力を搾れるだけ搾り取るベンチャーもある。教育や仕事のノウハウがない、働かされるだけのベンチャー企業はあなたの貴重な時間を奪われるだけなので要注意だ。

その2 共に働く仲間重視という理由で面接官を好き嫌いで見ている

20代の若い方は特に、働く仲間を重視する傾向にある。働く仲間は重要であるが、友人を作るような好き嫌い感情では無く、面接を通じて信頼に値する人材か?ビジネスマンとしてのスキルは高いか?を理性と限られた時間の中で見極めておく必要がある。

その3 遠い存在である経営者の考えや能力は自分に影響がないと思っている

会社自体に良い悪いはなく、その会社にいるのが良い経営者か?悪い経営者か?というのが実態である。経営者が良いと社員も良くなり、結果的に会社も良くなる。ビジネススキルと人間力を併せ持つ、プロ経営者、もしくはプロ経営者になりたいと成長努力している経営者に巡り合うことが必要である。

その4 今の業績が良ければ将来も安泰だと思い込んでいる

会社とは「関わる人々が幸せになる道具」。人を幸せに出来ない会社は目先良くてもいずれ淘汰され、そうなるのは目的が間違っているか、あるいは商品やサービスが人に必要とされていないかである。世の中に必要とされている商品やサービスを提供している会社で働くほうが"やりがい"につながる。

その5 最後の決め事は直感が大事だと思っている

複数社から内定が出て甲乙付けがたい場合に「えいやー!」と直感を頼って決めてしまうと失敗しがち。最後の最後まで情報収集を怠らずに、確率的に相性が良いと思える会社をロジカルに選びたいもの。

以上のように、間違った思いこみを持っていたことが理由で、組織と相性が合わず苦労したという方々をたくさん見てきた。では、自分と相性が合う会社をどう探していくのか?を端的にまとめてみよう。

まず、成長の機会は組織サイズでは選べないわけなので
(1)とにかく気になる会社には積極的に応募してみる。比較対象が多ければ多いほど、相性が良い会社を選べる確率は上がる。

次に信頼できる仲間を見つけるには、仕事ぶりを見るのが一番だが、面接では見ることが出来ないので、
(2)面接で人事や現場担当者に深めの質問を1.2個準備する。
「最後にご質問は?」と聞かれたら、「●●様が感じる御社での仕事の遣り甲斐や働く目的についてお聞かせ頂けたら幸いです」といった、失礼に当たらない程度の本質に迫る質問をする。

人を幸せに出来る会社か必要とされ続ける商品やサービスかの見極めは、
(3)企業研究にて経営理念や将来性ある商品またはサービスなのか、元社員口コミサイトで複数から極度な悪評が書かれてないかを調べてみる。

良い経営者と悪い経営者の見極めは、
(4)自分から縁を切らないよう、最終社長面接まで辞退せず選考ステップを重ね、経営者と直接話して人柄に触れてみる。迷うのは内定が出てからで良い。

そして、オファーが出たら、
(5)最後の力を振り絞って企業分析と情報収集を行う。客観的な話を聞く為には、転職エージェントを活用して転職活動を行うと有効。

繰り返しになるが以上をまとめると、
(1)何でも応募してみる
(2)面接に備えて質問を1、2個準備する
(3)企業研究をする
(4)自分から選考ステップを辞退しない
(5)最後まで企業研究を怠らない

という5つのポイントをおさえて転職活動を行うと良い。shuzo.jpg
書いてみると当たり前だが、当たり前の事を当たり前にやり続ける事が、相性の良い会社に巡り合える最良の方法だと思う。(高橋修三)

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