人材ビジネス経験は平均15年以上。古今東西、老若男女の転職を見てきた現役のヘッドハンター達が、今起こっている転職現場の「ホントですか?」を分かりやすく解説。転職成功やキャリアアップのヒントも、5人のヘッドハンターが交代で紹介します。

"なでしこヘッドハンティング"で日本が変わる?

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もともとは秋の七草の一つである草花「なでしこ」。だけど、「なでしこ」という言葉を聞くと活躍する日本女性を思い浮かべますよね。「なでしこジャパン」や「なでしこリーグ」とサッカー界ではおなじみの呼び方は、とうとう経済界にも派生し始めました。

女性活用を業績向上につなげている上場企業を経済産業省と日本証券取引所が選出する「なでしこ銘柄」。今年は東レやニコン、日産自動車など全部で26社が選出されています。安倍政権は成長戦略の柱の一つとして「女性の活躍推進」を打ち出していますが、その模範的企業ともとれる指標の一つです。また、最近では今月5日、野村ホールディングスと大和証券グループがそれぞれ、「銀行」で初となる「女性社長」と、生え抜き初の「女性取締役」を就任させる人事を発表しましたね。男性縦社会のイメージが強い金融業でこの成功事例は、いよいよ女性進出を印象付ける非常に喜ばしいニュースでした。

このように女性登用の動きを後押しする風潮は明らかに高まっており、日本において女性の登用は一見、進んでいるように思われます。しかし残念ですが実態はまだまだで、特に管理職以上が女性である割合は非常に低い現状は否めません。実際にアメリカでは42.1%、イギリスが34.5%という女性管理職の比率に対し日本はたったの11.9% (労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2013』)という低いものであります。これは何故でしょうか?過去に行われた女性管理職の育成と登用に関するアンケート結果を見て下さい。これを見ると「管理職を任せられる人材が少ない」という現実と、「男女不平等の意識」が、まだ日本には根強くあるのだろうなと思わざるを得ません。

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女性登用を叫ばれて10年、一部の企業が動き出してはいるものの、未だに積極姿勢を見せていない企業も多く、そんな土壌では管理職候補となり得るような経験を積めるチャンスを与えられた女性の数が事実少ないのは、仕方の無い現実です。男女の区別が無い環境と、女性がどうしても避けて通れない出産・育児の壁をサポートする(上辺だけでない本当に使える)制度と体制を確立させ、女性の働き方における意識を社会全体が変え、行動する。総じて、根本的な男女平等の意識が改善されなければ社会は変わらないため、実際に目に見えて変化が現れるには、それ相応の時間がかかることは否めないのかもしれません。

とは言え、制度、体制を待たずしても優秀な女性が集う会社にしていくこは可能です。社内で生え抜きを登用するというのも手ではありますが、逆に外部人材を管理職に積極的に登用するというのも大変有効です。今後、女性が活躍する企業に変革していこうというなら女性経営者や管理職が多い方が有利でしょうから、適任者を最初は外部からどんどん集めれば良いのです。その外部から来た優秀な「なでしこ」たちが生え抜きの社員をまた優秀な「なでしこ」にしてくれるでしょう。

ただ、外部から登用すると言ってもそれはそれで簡単な事ではありません。優秀な女性管理職で自社の社風に合う人材となると、一般的な公募で採用するのは至難の業です。私たちに依頼をいただくヘッドハンティングでは、まさにこういった背景を持つ企業様が非常に増えています。私たちは企業の要望に合う女性を全国から探し出し、企業とお引き合わせをし、幾度と面会を繰り替えした後に入社をしてもらう活動をしています。

私自身、女性である事から女性のハンティングを担当する事が多くあります。依頼主は女性が既に活躍の場を定着させている業界に属する企業はもちろん、これまで完全な男社会の歴史を積んできた企業のどちらもあります。前者はサービス業や、女性や子供向けの商材を扱うメーカー等、後者はその他の業種です。前者は主に同業他社から即戦力となる人材を求めますが、後者は業界風習的に同業にも即戦力となる女性が存在しない為、異業種から優秀な女性を求めざるを得ない場合が多いのが特徴です。両者ともターゲットは大きく異なりますが、その人材(女性)を登用することで、大きな変革を求めていることは共通しています。特に後者の場合は、その会社が持つカルチャーから変えようとしているのですから容易なことではありません。

では、そんな難易度高い女性のハンティングを成功させるにはどうすればよいでしょうか?答えは、「女性のハンティングに成功する企業は受け入れがとても上手い」という事実に他なりません。これは男性のハンティングであっても同様のことが言えるのですが、ハンティングをする会社は、その人材を登用することで事業を大きく改革したい、企業の起爆剤にしたいと考えています。しかし、周囲をうまく巻き込んでいくためにも、移籍してくる当該人材だけに頼り切らず、それがしやすい環境をどれだけ整えてあげることができるかが大切になります。成功している企業は、その人がうまくランディングできるような準備を怠らず、またその熱意が当該人材へも伝わるのです。

私がこれまでハンティングでお会いしてきた女性達は皆、とても優秀で素晴らしい方ばかりでした。しとやかな方、豪快な方、堅実な方、男らしい方。タイプはもちろんそれぞれ異なりますが、共通して言えるのは、皆さん「タフ」で「バイタリティ」があるということです。そして、お話を聞くうちに、「タフ」でならなければならなかった苦悩の背景を知り、女性が社会で活躍する事のハードルの高さを痛いほど思い知らされました。男性には計り知れないような仕事と家庭の両立。家庭を諦めなければ掴めなかったポジション。・・・そんな女性達が新たなフィールドとして女性登用を望む企業に入社した時、必ず何らかのかたちでその企業に変革が起こるのだと思います。

sakurai.jpg"なでしこ"の花言葉は純愛・無邪気・純粋な愛・思慕という女性的なイメージが強い一方、才能・大胆・快活などもあるそうです。日本の女性の才能と大胆・快活さは、日本経済を良き未来へ変えて行けると心から思っています。(櫻井 八重)

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