人材ビジネス経験は平均15年以上。古今東西、老若男女の転職を見てきた現役のヘッドハンター達が、今起こっている転職現場の「ホントですか?」を分かりやすく解説。転職成功やキャリアアップのヒントも、5人のヘッドハンターが交代で紹介します。

「転職で給与アップ」は、たったの2割って本当?

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■8割の人は転職しても給与は上がらない

まず最初に見ていただきたいのは、このデータ。
今年7月に厚生労働者が公表した労働市場分析レポートによると、何と約8割の人が転職後、給与が「変わらない」か「減少した」と答えています。つまり、客観的データでは、「転職で給与アップはたったの2割」というのは"本当なのです"。

転職後の年収増減グラフ.jpg

「え~何だそうなのか、じゃあやっぱり転職しないほうがいいのか!」と、言いたくなるのも無理はありません。「でも電車の広告やらで"年収600万→800万に!"なんてキャッチコピーをよく見かけるぞ!?」-そんな声も聞こえてきそうですが、それも、ごもっともです。

この矛盾感はどこから来るのでしょうか?

■給与が下がる要因

まず、給与が下がる要因は下記のような理由が考えられます。

1) 会社都合等により自分の意思に関わらず退職を余儀なくされた場合、十分な転職活動ができずに妥協してしまうケース
(※)退職理由によっては転職に不利になるものもあります

2)職種や業種を変えた場合、新しい勤め先では未経験者扱いとなり、自分のキャリアにおける価値が一時的に下がるケース

何となく納得、ですよね。
では、同じ職種で転職を検討している自分は、1にも2にも該当しないから、給与アップできるのか?というと、残念ながら、これがそうとも限りません。それには在籍中の企業の給与水準が大きく関わってきます。あたりまえのことですが、給与水準の低い会社から高い会社へ行けば、自ずと給与は上がります。「そんなわかりきったこと言われても・・・」とお思いでしょうが、ご自身の会社の給与水準が高いのか低いのか知らない方は、意外と多いのです。

業界内で低い水準の会社に属しているのであれば、今のキャリアをそのまま活かせる「同業界・同職種」へ転職した場合、給与が上がる可能性は著しく高くなります。また、その業界自体の水準が他業界と比較して低い場合は、他業界に移ることができれば給与を上げることも可能です。

もし、貴方が転職で給与を上げる事だけを目的とするならば、徹底的にこれらを調べて自分のキャリアで一番年収アップが狙える会社を選んで応募するべきです。

■転職によって得たいものは?

しかし、お金を重視するあまり、それと引き換えに失うものもあるでしょう。
それは「時間」かもしれませんし、「やりがい」や、「キャリア」そのものかもしれません。

ヘッドハンティングのコンサルタントとして、私が常日頃感じているのは、人はお金だけでは動かない、ということです。もちろん、お金で動く人もいます。でもそれはひとつの重要なファクターであって、それだけではないはずです。逆に全くお金は気にしない、という人もいないはずです。

実は、給与の2割増しが一般的とされる「ヘッドハンティング」で転籍された方ですら、給与が下がる方もいます。そういった方は、お金よりもやりがいを求めたり、一時的に給与が下がったとしても長期的な視点で見た時に得られるものを重視して、決断されています。全てはバランスなのです。転職によって、自分が得たいものは何か。その価値観をハッキリと認識した上で判断すれば、自分が納得いく着地点に必ず出会えるはずです。

■30代、40代の転職の視点

ここでひとつ付け加えたいのは、30代・40代のミドル層の皆さんなら、「今年の年収と来年の年収、というような直近の給与だけを比較するのはやめましょう」、ということです。まだまだ身軽な20代とは異なり、社内にも家庭内にも存在感と責任を持つこの世代の転職は、非常に勇気が要ります。失敗したからと、そう何回も転職を重ねることはできません。その為、将来を見据えた上で、給与条件も点と点で比較するのではなく、必ず生涯年収で比較すること。会社の業績や成長性、社内の評価基準や昇給のタイミング、退職金などの社内制度をしっかりと確認することです。

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大事なのは、5年後、10年後、20年後の自分のキャリアと、最終的に自分が満足できるだけの報酬を見込めるかどうか。長期的な視点で自分の価値観に従って決断できれば、給与の増減だけが転職の良し悪しではないと思えるのでは無いでしょうか。( (株)プロフェッショナルバンク 櫻井 八重)

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