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戦略は後付け、まずは好きな「農業」をやってみた

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あたらしい有機農業の旗手 久松農園 久松達央さんの2冊目の著書『小さくて強い農業をつくる』(晶文社)が11/25に発売されます。週末(11/14)に「出版のセミナーを開いてほしい」という連絡がきた時、即答でOKし、12/15に出版セミナーを開催する準備を整えました。「農業と林業」をテーマにしたopnlabのトークイベントが大好評で、ぜひまたお話しいただきたいと思っていたからです。

そこで、12/15の出版セミナーの前に緊急インタビューを決行しました。

 

多くの人との接点を広げた1冊目

opnlab 小林(以下、小林):キレイゴトぬきの農業論』は順調に売れているそうですが、1冊目を出版して何が変わりましたか?

 

久松農園 久松(以下、久松):桁違いに多くの人が、僕自身や久松農園を知ってくれるようになりました。

 

小林:何部くらい発行されているのですか?

 

久松:8刷で、3万1千部です。

 久松農園 久松達央

 

小林:コンスタントにじわじわ売れていますね。そういう本が出版社にとってはありがたい1冊だというのを聞きます。周りでも農業に関心の高い人が増えていますし、久松さんが書いた内容に共感する人が多いのでしょうね。

 

久松:久松農園は支持してくれる方々のおかげで、好きな仕事でメシが食べられます。

 

小林:「少量多品目」という昔からの農家ではあまり手を付けたくない、効率が悪いと思われているスタイルを貫いていますよね。いろいろな野菜を作ることができる面白さを追求し、それが売れるというのは確かに幸せな仕事ですね。

 

久松:本を通じて広くリーチすることで、これまでより多くの人が久松農園の野菜を喜んでくれて、僕たちの仕事を支えてくれます。好きなことを貫いていいんだ、という勇気をもらいました。

小林:1冊目の『キレイゴトぬきの農業論』が好評だったので、2冊目の『小さくて強い農業をつくる』の出版にいたったのですか?

 

 

 

久松:1冊目が出る少し前に、既知の編集者から農業をやりたい人のためのガイドブックができないか、と企画を持ちかけられていたのです。

  

小林:プロの作家ではないのに、1冊目が出る前から2冊目の企画が進んでいたのはすごいですね。

 

久松:1冊目の感想が届くようになり、驚いたことがあります。多くの人が「久松さんは戦略的な人だ」と言うのです。でもまったく違います。

 

小林:以前のトークイベントでも、自分は戦略家ではないとおっしゃっていましたね。トークが上手ですし、文章も理路整然としているので、ネタかと思っていましたが、本気でそう思われているんですね。

 

久松:もちろん。

場当たり的で、若い時は特にモヤモヤした時期を送ってきました。まずやってみる、そしてそれを続けていく。戦略とかマーケティングとか、もともと考えていたように見えるかもしれませんが、後付けの枝葉のことです。これから農業に取り組もうという若い人に、そこを本やいろいろな場面で、きちんと伝えたいという思いは強いですね。

  

  

1冊目執筆のきっかけを作った人物と2冊目で対談

  

小林:今回出版記念のイベントということで、飲食業界やIT業界で大活躍のトレタ 代表 中村仁さんとの対談が実現しましたが、どのようなことを話してみたいですか?

  

久松:中村さんは尊敬する経営者です。スクーリング・パッドというビジネススクールで中村さんの講演を聴いたことにインスパイアされて『キレイゴトぬきの農業論』を書きました。 

 

トレタ 代表 中村仁

 

小林:お二人ともIT業界・飲食店に顔が広いので、面識はあるとは思っていましたが、そんな接点があったのですね。


私は以前、雑誌の取材で中村さんに飲食店の予約アプリ「トレタ」の話しを伺ったことがあります。アイデアが豊富なところ、ソーシャル・アナログいずれにおいてもコミュニケーション力が高いところ、理論的なところなど、共通する部分が多いような気がしたので、今回、久松さんから出版セミナーを開きたいという話しがきたとき、お二人の対談を実現してみたい、と思ったのです。

なかなかいい所をついていたんですね(笑)

  

久松:対談では、豚組・ミイル、そしてトレタと、次々に新しい事業を仕掛ける中村さんの中に、どんなロジックやひらめきが流れているのか、どんな本や映画が好きなのか、聞いてみたいことは100くらいあります。

  

小林:でも今回、久松さんの出版記念セミナーですよ。あ、でも中村さんも「久松さんに聞きたいことが山ほどある」とおっしゃっていたので大丈夫ですね(笑)

 

 

情報を頭に入れる本ではなく、心に届く本を

 

小林:出版することになった晶文社は何かご縁があったのですか?

  

久松:前出の編集者が晶文社の安藤さんという方を紹介してくれました。安藤さんは内田樹さん、小田嶋隆さん、長倉洋海さん、森達也さんなど、僕が好きな人とたくさん仕事をしています。

自分のような素人に何が出来るのか、という思いはありましたが、安藤さんが「面白い」と言ってくださったので、そうであればいい本になるのかもしれない、とも思いました。

  

小林:装丁も晶文社らしい温かみのある素敵な絵柄ですよね。

 

久松:中高生の頃、晶文社の本をよく読んでいました。切ない思い出にも結びついています。大人になった今、情報として頭に入れる本ではなく、心に直接届くようなグッと来る晶文社の1冊として書きたいと思いました。サイのマークを見ると心に何かが喚起されるような本になればと思います。 

 

  

小林:執筆中はどのような苦労がありましたか?

  

久松:自分史を軸に語っているので、遠い過去を思い出すのに苦労しました。

ブログなどで10年くらい前までは遡れます。しかし肝心な、農業をはじめてから最初の5年の記録がほとんどありません。恥ずかしい未熟な自分を思い出し、その時の自分の気持ちで仕事をとらえ直し、さらに今の自分がそれを評価する、ということを延々と繰り返すのは、かなりしんどいことでした。最後のほうはカラカラのぞうきんを絞るような日々が続きました。

  

小林:過去に向き合い、とことん深く掘り下げていったのですね。

 

  

小さくて強い農業をつくるために大切なこと

 

小林:そんなふうに書き上げた本の中から、『小さくて強い農業をつくる』ために必要なことを、まずはひとつだけ教えてください。

   

久松:競合にひっくり返されなければ「強い」。本当に好きなことを貫く、ということこそがオリジナリティーなのです。

  

小林:個人的にも勇気をもらう言葉です。
その貫く意志の強さは「告知」の部分でも感じます。2冊目の本では、積極に出版イベントを仕掛けられていますし、以前のトークイベントの時は、Facebookなどでまめに告知をしていただきました。招かれた人ではなく、パートナーのスピーカーとして一緒に作り上げていく感じがあり、運営側としても本当に心強かったです。

 

久松:本業も(野菜を)作って売る事。本も同じように自分で書いて、自分で売らないと活動が完結しない。むしろ、売る事に興味がない作者の気持ちが分かりませんね。

 

小林:その厳しくて真剣な姿勢があるからこそ、美味しく指示される「エロうま野菜」が生まれてくるのですね。

ありがとうございました。12月15日(月)の対談、楽しみにしています!

 

*写真:すべて久松農園の野菜
*参考:「小さくて強い農業をつくる」前書き

 

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「小さくて強い農業をつくる」出版記念セミナー
 久松農園・トレタ対談「農業とIT/飲食店とIT」
 日時:12/15(月)19:00-21:00
 会場:SSKセミナールーム(新橋)

opnlab(オプンラボ)
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