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簡単そうで意外と細かい手順と心配りが必要な「事務局」。ビジネスセミナー、周年パーティ、小規模勉強会からPTAイベントまで、事務局の現場から、企画からスムーズな運営、場づくりの失敗と成功を紹介します。

アートオークションに潜入

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アートオークションというと、サザビーズやクリスティーズなどが重厚な建物の中でゴージャスに開催し、謎の富豪がピカソなどの名画を数億円で落札、庶民には縁遠い、みたいなイメージが根強い。


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実は意外と身近に日本でも美術品のオークションが開催されている。


日本にはシンワアートオークションや毎日オークション、マレットジャパンなど数社のオークション会社があり、誰でも見に行ける公開のオークションも結構開催されている。美術品だけでなく、ジュエリー、ワインなどを扱う会社もある。


見るだけであればほとんどが登録不要で、参加したい場合は身分証明書を提示して登録。パドル(入札する際の番号札)を受け取って欲しい物にパドルを上げれば入札も可能である。


先日、ギャラリー クオリア・ジャンクションの方の紹介で、マレットジャパンとSBIアートオークションがそれぞれ主催するふたつのオークションに訪れた。誰でも参加できるので、潜入といったほどではないが、一般の人が日本のオークションの開催日を知る機会がないため、ほとんどが業界関係者だという。


マレットジャパンが開催するオークションはギャラリーなどの業者が対象で、数万から数百万の作品がテンポよく次々に落札されていく。シャガールやアンディ・ウォーホル、ベルナール・ビュッフェなど有名な作家が出品されている。


SBIアートオークションは、ややラグジュアリーなオークション。見た感じは業者や個人の資産家のような人が参加しており、スピードもゆったり。数十万円のものもある一方、数百万円、数千万円へと競り上がるものもある。奈良美智や岡本太郎が着実に落札される中、白髪一雄が予想を超える高値がついていた。それを上回るこのオークションの目玉は草間弥生だった。


オークショニアが場を動かす


オークションでは作品がもちろん主役だが、オークションの売上げの鍵をにぎるオークショニアはとりわけ重要な存在。壇上から会場のパドルを指し「20万円、25万円、25万円、他にいませんか?」と独特のイントネーションで金額を確認する。ごくたまに作品の希少性をほのめかす説明を補足し、さりげなく会場の心をくすぐる。値段が決まると、ハンマーを振り下ろす。心地よい音が会場に鳴り響きわたり落札。


固唾をのむ落札


作品の価格がどこまで上がるか、という期待もオークションのワクワク感を高める。

オークションにはカタログが用意され、作品の目安の金額が150〜200万円という形で書かれている。下限を下回ると基本的に落札はできない(ただし高額な場合はその限りではないようだ)。上限を少し上回る程度であれば、淡々と進められて行くが、大幅に値が上がりはじめると会場が静まる。例えば500万円と想定されていた作品が700万円まで競り上がった際には、会場におめでとうの拍手があがる。


主役はトリじゃない


目玉作品の演出も独特である。

最も高額になると期待されている作品は一番最後ではなく、中盤の少し後、もしくは最後から数点前くらいに登場する。うかつにも、マレットジャパンのときは遅く行って見逃す事に。SBIアートオークションは最後から3点目だったのでしっかりその様子を見学。メインの草間弥生の10mの作品(*)は、いきなり数千万円からスタートし、次々に値があがる。最終的には1億1千万円で落札され、会場はどよめきとともにやはり拍手がおこった。オークショニアの人は大役を終えて安堵した様子。会場をクールダウンさせるかのように残りの作品のオークションを行い、閉幕した。

*写真のDMとカタログの表紙に使われた作品


プライマリーもセカンダリーも


オークションは一旦だれかの手に渡った物を売るセカンダリーマーケットのひとつ。著名な作品が色々登場するが、値段もそれなりに高い。気に入ったものを手軽な金額で手に入れたい人は、ギャラリーなどで新しい作品を買うプライマリーマーケットから入ると、日本のアートマーケットの裾野が広がり、若手作家の支援になる。アート業界を支える人たちが切に願うのが、実はここだったりする。


いずれにしても、プライマリーもセカンダリーもあまり意識せず、オークションの会場に足を運んでみたり、ギャラリーをのぞいてみるのはおススメ。中に入るのは無料だし、意外とギャラリーの人は放置してゆっくり見せてくれるし、新たな発見や好きなものが見つかる。


[オプンラボ 小林利恵子]



アートとビジネスパーソンの交差点

一夜限りの立ち飲みギャラリー・ワインバー(4/26開催)

http://www.opnlab.com/events/artwinebar


オプンラボでは、ビジネスパーソンとアートをつなぐイベントを開催する。

先進国の中でも日本では特にアートを買わない・家に飾らない国なので、日本のアーティストが活躍する場がなかなか無い。と話すギャラリー クオリアジャンクションの伊藤さんとの会話がきっかけに企画したイベント。アートとおしゃべりを楽しむとともに、アートビジネスの解説やエルド吉水と渡邉英弘のアーティストトークを通じて、アートを一歩近く感じる、かも。マレットジャパンの代表取締役会長 千種さんによる数千円からのプチオークションも開催予定。 


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