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小さな会社のウェブマスターがパーソナルブランディングについてごにょります。

【ブックレビュー】川上徹也さんの『物を売るバカ』を読むべきバカは、あなたかもしれない。

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大好きな著者、川上さんの新刊がおもしろかったのでご紹介したいと思います。

おもしろかったというか、すぐに手を動かされたから、ですね。つまり、本を読んですぐに(正確には読んでいる途中から)仕事に反映させる行動をとった、ということです。

単におもしろいなと思う本は多いですが(特に大企業社長の成功譚など)、実際に自分の仕事に直結する妄想を起こさせてくれる本というのは、なかなかないもの。

Schlitz (この画像の意味は13ページを読めばわかります。)

それでどんな内容かと言いますと、今回の本は川上さんの代名詞ともいえる「ストーリーブランディング」の集大成であり、逆に新書にコンパクトにまとめているという点では、初心者向けに最適な入門書でもあります。

でもって「ストーリーブランディング」とはなんぞや?ですが、簡単にいえば「物を売るな、物語を売れ」ということ。
単純に物を売っていれば、いつかは価格競争に陥ってしまい、小さな会社は疲弊して倒れてしまう。しかしその商品のバックにあるエピソード、エピソードがなければ売っている会社、社員のキャラ、思いを語ることで、お客様に特別な感情を抱いてもらうのです。
その結果、常に選ばれる会社、お店になり、競争とは無縁の世界に身を置くことができる、というわけです。

弊社つばめやも、文具店ですので扱っている商品はよそとまったく同じです。
商品だけを売るには、価格での訴求をするしかありません。しかし、SNSなどで自己開示をし、うちはこんな会社ですというキャラを披露、また他社がやっていない取り組み(うちの場合は文具イベント開催など)で地道にファンを増やしていくことで、ファーストコールを獲得、また浮気を防ぐのです。

言うのは簡単ですが、実行するのはなかなか大変です。うちもまだまだ発展途上ですが、徐々に手応えを感じはじめています。

さて、今回の本を読んですぐに取り掛かったのは、サイトに自社のストーリーを掲載すること。
いや、ストーリーと呼べるほどのものではありませんが、つばめやという「お店のない文具店」ができた理由について、書かせていただきました。

>>普通の文具店ではありません

実は、うちがお店をやめてしまってから、渋谷宮益坂近辺には文具店がなくなってしまい、お困りのお客様からの問い合わせ電話がかなり多いのです。しかもたいていはウェブで検索して電話番号を調べています。
だったら、その際に少しでもうちのことを知っていただければと思ったのです。
商品についてほかと同じことしか語れないのであれば、自分のことを語るしかないですからね。すごく共感していただくには程遠いですが、まずは最初の一歩です。

ほかにも、機密文書処理サービスという事業では、なぜこの仕事をしているか書いています。

>>ありがとうの秘密

個々の販売ページでも、もともと商品スペック以外のことを書くように心がけています。

例えば、名入れペンの販売ページも、ほかの大手のお店はスペックだけでとにかく多品種攻勢ですが、うちは逆に品番はかなり絞って説明をなるたけじっくりするようにしています。

これはほかの狙いもあるのですが、名入れペンというのは注文ボタンを押して終わりではなく、別注品ですからお客様との間で必ずやり取りが発生します。お客様もそれはわかっているので、どうせ買うなら波長の合いそうなショップから買おうという潜在意識があるはずなのです。
そこで、サイトの中身は何気なくうちの雰囲気が伝わるようにしているのです。うちのように小さな会社は、合うお客様にだけ買っていただければ十分ですから。

あ、うちのことばかり書いてスミマセン。
でも、体力のない小さな会社が生き残っていくには、このやり方しかないと思うんですよね。

だから、ストーリーブランディングを初めて聞いた!という方には、『物を売るバカ』は絶対に読んでいただきたいのです。最新の事例も満載で、必ず何か「ピン!」とくるものがあるはずです。

物を売るバカ売れない時代の新しい商品の売り方 (ワンテーマ21)

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